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家畜名の由来を探る
(公社)茨城県獣医師会 諏訪 綱雄

   私達が普段に何気なく呼んでいる家畜の牛・馬・豚・鶏等のこの名称は,一体どうして,何故このような日本語のウシとかウマとかブタなどの名前になったのか,不思議に思ったことがありませんか。
 なぜ日本語で,牛とか馬とかあるいは豚などと言うかを,色々な語源字典や古い書籍類更にパソコン等で調べてみますと,中々面白いことが段々に分かってきました。そのことを家畜ごとに,その名前の由来の概略をお知らせいたします。興味のある方は読んで見て,話の種にして下されば幸いです。


 1.ウシ 牛  牛の古名は「うしし」だった
   牛の名前の由来は,いろいろな説があります。古書の『東雅』と言う本には,韓国語の方言で牛のことを「う」と言っているので,この「う」が日本にも伝わって「うし」になったと書かれております。また『日本名言集』では,牛は「うしし」と言っていたものが,「うし」になったとしております。その理由として牛は,農耕などの使役のとき牛を鞭で打ちながら労働させたので「打ち使う獣」と言う意味で「うし」になったと解釈しております。
 因みに牛の起源は,今では絶滅した野牛の「オーロックス」が家畜用に改良されたものとして知られております。

 2.ウマ 馬  古代では馬のことを「むま」と言っていた
  日本で古代の頃には,馬のことを「むま」と言っていたようです。馬の語源についても数多くの説があります。古い言葉では馬は,「ま」と呼んでいたのですが,その後古墳時代になって,大陸から改良された大型の馬が導入されるようになったようです。これらの大きい形の馬を「大馬(おおうま)」と呼んだとされ,この大馬が「うま」になったとされております。

 3.ブタ 豚  ブーブーの鳴き声から豚になった
   ブタと言う名前の由来は判然としませんが,ブタの鳴き声のブーブーからきていると言う説が正しいようです。更に丸々と太った姿から「太い」が「ぶっとい」になって,「ぶっとい」が,ブタと言う名前に変化していったようです。人の場合にも太った人を罵って言う場合には,豚野郎などと呼ぶこともあるのです。
 因みに英語では,豚の鳴き声は「オインク」と表現していますから英語のピックは鳴き声と全く関係が無いものと思います。

 4.ヒツジ 羊  干支の未の刻「日辻」が名前の由来
   ヒツジは古代の日本には,家畜として飼われていなかったために,羊の古名はありません。時代の流れに伴って,その後中国から羊が到来したのですが,日本名を付けるときに十二支の干支の未(ひつじ)としたようです。その理由として,未の刻(時刻)が真昼の太陽が西の空に沈み行く発端の時,これを日の辻としております。そのため,この「日辻」が羊の名前とされたと古書『和訓栞』に記述されております。
 なお,山羊の名前については,朝鮮語のヤングに由来するようです。

 5.ウサギ 兎  兎の古名は「う」だった
   ウサギの古名は,「ウ」と呼ばれていたようです。古代人が獲物の狩猟のときに,鹿は「カ」,猪は「イ」,ウサギを「イ」と小さく短い言葉で 仲間同士連絡していたようです。ウサギの本名は「ウ」でした。「サギ」はあとから付け加えた補足語とされ,この「ウ」が「ウサギ」に変名していったとされております。では,ウサギのサギはどこから付いたのでしょう。梵語で兎のことを舎舎伽(ササカ)と言うそうですが,このササカがウサギに転じた,と言う説があります。中国では,ウサギのことを兎(ト)と言いますが「ト」は吐く,の意味だそうです。母兎は三口から子供を吐き出したからだ,と伝えられているようです。

 6.ニワトリ 鶏  庭で飼われていた鳥で鶏
   ニワトリの歴史は,古く弥生時代には既に飼われていたと思われ,鶏の埴輪が県内でも出土しています。
鶏の語源については,次の事が一般的です。屋敷の空間を庭と言い,その空間に暁の時を告げる鳥として飼ったので,ニワトリと命名されたとされております。古事記や万葉集等の古い本にも,鶏として記述されておりますので鶏の名前は古くからあったようです。

 7.アヒル 家鴨  家鴨は足広が由来
   アヒルは,アシヒロ(足広)から付けられた名前で,水鳥特有の水かきが,名の由来になっているようでアシヒロが転じてアヒルになったとされております。地方によっては,アヒルをアヒロとか,関西方面では,単にヒルとも呼んでいるとも聞きます。家鴨は野鴨を家畜化したものです。

 8.シチメンチョウ 七面鳥  七面鳥を日本に始めて導入したのは水戸黄門様だった
   シチメンチョウは,キジ目キジ科の鳥で北アメリカが原産とされております。七面鳥は,頭から首にかけて皮膚が露出し,その色が赤,青,紫などに変化することから七色に変わる鶏で七面鳥とされたようです。古文書によりますと,徳川光圀が中国から寛文六年( 1666年)日本に始めて輸入して吐綬鶏の名前として江戸水戸屋敷内で,観賞用として飼っていた,とされております。現在肉用として飼育されているターキーは,ブロードブレステッドホワイト種でクリスマスや収穫祭等の料理に使用されております。