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イノシシによる飼料作物の被害と対策 |
茨城県県央農林事務所企画調整部門 振興・環境室 |
1.県内の被害の状況
茨城県では県北の山間部から筑波山麓にかけて広い地域にイノシシが生息し,18の市町(図1)で被害が報告されています。県のとりまとめている平成24年度のイノシシによる農作物の被害金額は6 , 216 万円でした。
農作物のうち飼料作物については,被害面積35a,被害量18,025s,被害金額約20万円ですが,これは氷山の一角とみられます。 県央農林事務所管内でも,小美玉市などこれまで被害の少なかった地域の被害が拡大しつつあることから,その対策について取りまとめました。 2.被害を防ぐイノシシ対策
@侵入防止
イノシシの成獣は1m以上の跳躍力を持つものの,障害物に対してはその下を潜って通り抜けようとする傾向があり,20p程度の隙間があれば潜り抜けられます。鼻は犬並みの嗅覚を持ち,土を掘ったり障害物を動かす(50〜60sの物を持ち上げる)際に利用され,視覚は100m先から人間を見分けられると言われています。 侵入防止には,トタン板,ネット,金網フェンスや電気柵が一般的に用いられており,適切に設置すれば高い侵入抑止効果が得られます(表1・図2)。 比較的安価な防除柵として「忍び返し柵」は効果的です。これは市販の1×2mのワイヤーメッシュの上部約30pを外側に20〜30度ほど折り曲げて横置きにします。通常は支柱をたてて固定しますが,牛舎やパドックの柵を活用し,そこに固定することもできます。
また,放牧でも使われる「電気牧柵」も有効です。イノシシは体毛が厚いため鼻が電牧線に触れないと効果がないので,地面から15〜20p程の高さから20p間隔で2〜3段に張り,最上段は60p程度とします。なお,漏電対策として電牧線の下の草刈りが不可欠です。トタン板などの視覚を遮断する柵と併用するのも効果的です。 A追い払い イノシシを威嚇し,追い払うために「音や光(爆音機やライト等)」「忌避物質」「動物(牛の放牧や犬等)」などを用いる方法があります。 しかし,資材はイノシシが慣れてしまえば効果の持続が期待できないので,根気よく新奇性を出しながら対応しなければなりません。 3.防護柵の設置は,播種直後からの早期設置や通年設置が重要
県央農林事務所では,畜産センターと連携し平成24年度から那珂市の酪農家の飼料畑(デントコーン)を実証圃として電気柵を設置しました。
24年度は資材の調達が間に合わず,播種直後に電気柵を設置することができなかったためイノシシに侵入され,ソルガムを追播しなおしました。 このため25年度は設置の時期を見直し,150aに実証圃面積を拡大し播種と同時に電気柵を設置したところ大きな被害もみられず,良好に生育し収穫を迎えています。 4.地域の取組
茨城県では産地振興課エコ農業推進室を事務局に,関係市町村や団体を構成員とする「茨城県イノシシ等被害防止対策協議会」が組織され,獣害防止に係る講習会等の開催や調査,捕獲事業等を実施し,地域の取組を支援しています。
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