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学校給食と牛乳の飲用
茨城県牛乳普及協会 事務局長 市村 章

 団塊の世代が還暦を迎えたのが5年前。いわゆる団塊の世代(1947年から49年生まれ)が,小学校の頃に食べていた学校給食はコッペパン・脱脂粉乳を主体とした献立でありました。
 1954年(昭和29年)が学校給食法交付の年であり,1965年(昭和40年)にはビン牛乳が献立に入り,この学校給食の牛乳が団塊の世代の成長に役立ったとも言われております。
 給食の歴史は,1889 年(明治22 年)山形県鶴岡町(現鶴岡市)私立忠愛小学校で,家が貧しくお弁当を持ってこられない子供達がたくさんい たことから,この小学校を建てたお坊さんがおにぎり・焼き魚・漬け物などの昼食を出して食べたのが始まりと言われております。
 学校給食における牛乳の変遷は,1965年(昭和40年)前後に,ビン牛乳が導入されブリックパックは1980年(昭和55年)以降に普及し始めました。






 茨城県牛乳普及協会が設立されたのが1979年(昭和54年)で,その「設立趣意書」は{牛乳は,あらゆる栄養バランスが良く含まれ,国民の健康づくり・体力づくり,栄養改善上極めて重要なものであり,特にカルシウムが多量に含まれ,且つ他のカルシウムと比較して容易に消化吸収され易い食品であり,一日一人当たり牛乳200tを飲めば日本人のカルシウム摂取不足を満たされ,設立当時の消費量が僅か80tに過ぎず,生乳生産と併せて酪農乳業は,なお一層の成長発展が期待でき,牛乳の消費拡大が出来ると信じて県民の健康づくり・体力づくり・栄養改善に貢献出来るものである}との内容でありました。
 しかしながら,掲げた一日一人当たりの牛乳200t飲用には現在まで到達しておりません。






 牛乳(飲用向け)一日一人当たりの消費量の推移は,1960年(昭和35年)29.3t,1970年(昭和45年)69.3t,1975年(昭和50年)76.9t,1980 年(昭和55年)92.9t。以後ピーク時は,1990年(平成2年)111.7tであり,現在も同様な数値で推移しているものの,少子化や茶系飲料への嗜好 移行や食品多様化の時代,まだまだ十分な普及の状況にはありません。
 日本における学校給食は,それぞれの自治体の方針によってやや事情がことなるものの,基本的には幼稚園や保育園から小学校を経て中学校までが一般的であると理解しております。
 2005年(平成17年)に制定された「食育基本法」の中で,「食育」を推進することが文化的な国民の生活を豊かで活力ある社会の実現にあり,食 生活指針「食事バランスガイド」には牛乳が必要なものの一つに入っております。
 そんな中で,人間の身体の中で大切なものの一つである「骨」については,最大骨量(ピークボーンマス)を重要視する必要があります。
 骨量は,一生のうちで10代までにしか増やせず,特に10代にはカルシウムがたくさん必要とされております。
 高校生で1,000t(牛乳を摂るとしてコップ5杯分)が必要とされ,その後の年をとってからの骨量を増やすことは困難とされております。高齢者での骨そしょう症の予防を含めた適度な運動をすることで「骨」をつくる意識が必要ではないでしょうか。
 牛乳にはこの他,生体調整機能と呼ばれる・免疫系・内分泌系・神経系・循環器系などに働きかける機能や,生活習慣病の予防・回復に役立つものがたくさん含まれております。
 そんな中で,義務教育では栄養教諭が配置されたり「食」に関する実践的な指導が行われており,一方で高等学校での「食育」については,家庭科の教科指導の中や,保育室での個別指導でその対応がされております。






 25年前の高校生における食生活の実態を比較検討した報告があり,その中から関連するところの実態が見えてきますので,その結果を報告させていただきます。
 ・朝食を摂ったが:89 . 2 %(一人で食べたが55 . 0 %)昼食を摂ったが:98 . 0 %(家からのお弁当が79 . 8 %)・夕食を摂ったが73 . 7 %(夕食となると肉,卵,魚,ハムが84.2%と,ごはんの80.4%より多くなる)となり,乳製品(牛乳,ヨーグルト,チーズ)は,各々25.4%,7.4%,18.5%の摂取割合にあり,特に夜食については前回調査より摂る時間が早くなり,反面,24時以降での摂取は多くなっている結果となっています。
 尚,夜食は19.9%の人が摂り,乳製品(ヨーグルト,チーズ,アイスクリーム,プリン等)は,甘い菓子類(ケーキ,あめ,チョコ,かき氷,ゼリー等),せんべい,スナック菓子類に続いて多く摂られています。
 普段よく飲む飲み物は,茶52.1%,炭酸飲料19.5%,乳酸飲料8.2%と乳酸飲料はスポーツドリンクと同等の結果にあります。
 又,食事の内容については,「ごはん」「肉,魚,鳥,ハム」「みそ汁,スープ」が前回調査より減少し,「パン」の摂取割合が2倍に増加している報告にあり,「パン」を摂ることが牛乳の飲用につながると期待されます。
 高等学校における牛乳の供給は,自動販売機からがほとんどであり,販売機に牛乳が入っていたとしてもそのほとんどがLL牛乳であるようです。
 日本の将来を担う学生,特に学校給食が途絶える高校生に対しては,牛乳は不可欠な飲み物と考えております。
 高等学校における自販機からの牛乳飲用への普及が「食育」の推進につながっていくことができればと思います。
 当初に述べました団塊の世代は高齢化に向かっております。又,日本の人口は減少傾向にあり,2050年には9千万人を割り込むと予想されております。
 ピークボーンマスのしくみを考え,若者への牛乳の飲用普及と併せて高齢化に向けた対応施設での牛乳理解醸成も必要と考えます。
 牛乳乳製品の量的普及には,1981年(昭和56年)続く牛乳乳製品利用料理コンクール開催によるレシピの紹介も消費拡大には必要であります。
 茨城県牛乳普及協会の活動は,2013・12月号農業いばらきで報告させていただきました。茨城県牛乳普及協会は,今後も生処販一体となって国民の健康づくりのお役にたてるよう事業を展開してまいります。