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地元に美味しい我が家の牛肉を「直売所よってくべ」
県西農林事務所振興・環境室農業振興課




 筑西市で肉用牛肥育経営を営んでいる海老沢喜造さんは,「自分たちが愛情を込めて育てた牛さんの肉を,1人でも多くの人に食べてもらいたい。」との想いから,地元に「直売所よってくべ」を作り,自分で肥育した牛肉を直接地元消費者に販売しています。直売所は平成24年の4月にオープンし,もう少しで2年になろうとしています。店員は,親戚の方や奥さん,娘さんが担当しファミリーで運営している小さな直売所です。「多くの人に食べてもらいたい」とのコンセプトから,牛肉の価格も他より割安に設定しています。
 牛肉は,全てブロックでの販売となっています。部位毎に表示されており,「肩ロース」「ランプ」「内もも」「外もも」「しんたま」等が通常 販売されている肉です。この他,よそでは手に入りにくい「牛もつ」や「牛すじ」も売っています。また,他の部位が入荷した時などは,「よってくべのブログ」で「センマイ,ハチノスが入荷しました。」等の情報を流しています。
 「直売所よってくべ」で扱っている商品は,地元への想い入れから,牛肉の他,地元でとれた野菜、花や地元の障害者支援施設の利用者が作った手造りパン等も販売しています。


 海老沢さんの牛飼い
  海老沢さんは,筑西市で主に交雑種の雌牛を肥育する肉牛農家です。肥育頭数は,530頭で,毎月25頭程度の牛を群馬県の群馬食肉卸売市場に出荷しています。当初,芝浦にも出荷していましたが,交雑種が主であることから,次第に群馬市場だけに出荷するようになりました。群馬市場では,「サクセスビーフ」と銘打ち販売しています。
 海老沢さんが,牛を飼い始めたのは昭和48年からです。以来,お父さんが飼っていた牛を引き継ぎ,4,5頭の小規模経営でスタートし,現在の頭数まで規模を拡大しました。当初は,近隣の酪農家を廻り,スモールを集め,ホル,交雑種,雄,雌を問わず飼っていましたが,規模の拡大に伴い海老沢さんの指定配合飼料サクセスと相性が良かった交雑種の雌に特化していきました。また,同時に,肥育素牛を導入し肥育する現在の姿に移行しました。
 肥育素牛は,千葉県の育成業者と契約し,生後6〜7ヶ月齢のものを導入しています。素牛が,たりない時は福島県からも導入しています。福島県のものは,家畜市場からの導入ですが,育成業者は2名に絞っています。素性の知れた,自分の飼い方にあった育成がなされてきた素牛を,導入しています。
 肥育期間は,概ね18〜19ヶ月,出荷月齢25〜27ヶ月。雌牛ばかりであることを勘案すると比較的早目の出荷となっています。導入から出荷まで,1ロット5頭単位で効率よく行なわれています。導入時の群分けのまま出荷まで行きます。




 直売所の開設
 直売所を作る以前から,近所の方から海老沢さんに「市場から肉を買ってきて」との注文があったそうです。そんなことから,何となく自分で肥育した肉を売れないかと考えていたところ,自分の土地の脇を新しい道路が開通することとなり,それを契機に直売所を作りました。
 販売する肉は,海老沢さんの肉をよく購入してくれる栃木県の大手の問屋をとおして,自分の肉を仕入れています。購入するに当たり,モモ・しんたま・ランイチなどは,価格を抑えるためモモを1本分まとめて購入し,カットして販売しています。牛モツ等は,海老沢さんの人脈を活かした全くの別ルートで千葉県から仕入れています。


 現在の状況
 「よってくべ」の売り上げ人気bPは,白モツだそうです。その他,牛タンやセンマイも人気が高いそうです。モツやタンは,他所では売っていないため,ブログで販売するとの情報を流すと,稲敷市や守谷市など,遠方からも買いに来られるとのことです。肉の方も順調に売り上げてはいるのですが,価格的にも手頃な白モツ等に1番人気の席を,明け渡しているそうです。当初目的とした,「自分で手がけた牛肉を地域の人に食べてもらう」ということでないのは皮肉な話ですが,地域の方々に牛の味を知ってもらい,喜んでもらえることには変わりがないと割り切り販売しています。
 記事の中に度々登場するブログですが,管理者は,つくば市在住の娘さんだそうです。休日は,販売の方も手伝っています。私たちが,お話しを聞きに行った翌日は,丁度,牛モツ,牛タン,センマイの入荷が予定されているとのことで,海老沢さんの話の中にも「娘が,今日あたり,ブログで牛モツ,牛タン,センマイが入荷しましたと流すだろう。」とコメントがありました。