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第39回茨城県畜連常陸牛枝肉共励会
茨城県畜産農業協同組合連合会





平成27年9月23日(水)〜25日(金),東京都中央卸売市場食肉市場において「第39回茨城県畜連常陸牛枝肉共励会」を開催しました。本共励会は本会が主催し,茨城県・全国畜産農業協同組合連合会・東京食肉市場株式会社の後援を受け,常陸牛のブランド化及び生産農家の肥育技術向上等を目的として昭和52年から毎年継続して開催しております。今回は,本会傘下の常陸牛指定生産者が丹精込めて飼育した黒毛和種の中から,過去最多の45頭(去勢39頭・雌6頭)を厳選して開催しました。
 このたびの関東・東北豪雨により,境町の常陸牛生産者潟Vバサキ(柴ア哲夫代表)様において牛舎が水没し約150頭の和牛が犠牲になるという多大な被害を受けました。潟Vバサキ様には心よりお見舞い申し上げますとともに,1日も早く再建されますことをお祈り申し上げます。
 その影響により水害の支援活動や出品牛の変更を行うなどと慌ただしい中での共励会開催となりましたが,全国的にもトップクラスの良質な枝肉を揃えることができました。肉質的には上物率(常陸牛となるAB−4等級以上)は95.6%,うち5等級率は73.4%とレベルの高い成績でした。特に脂肪交雑に優れた枝肉が多く,BMS10以上が16頭,そのうちBMS12(最高の霜降り)が6頭という審査員を悩ませる品揃えとなりました。また,枝肉重量(去勢平均)564sは本共励会の過去最高で,「張りのある良い体型の枝肉が揃っている」との買参人の評価もあり,まさに肉量・肉質・体型と3拍子揃った常陸牛をPRすることができました。
 現在の枝肉相場は,和牛生産頭数の減少による影響により下位等級を中心に高値取引が続いております。反面,高級品の動きは活発化せず上物の価格帯は低迷しているため,肉質等級による価格差がない状況で,銘柄牛にとっては恩恵を受けにくい情勢であります。本共励会においても,平均販売金額127万円は過去最高の金額となりましたが,名誉賞の枝肉単価2,502円は(平均2,310円・最低2,009円に比べて)最高品質の割に安値で落札された点が惜しまれます。







名誉賞 研修農場



  現在,和牛子牛の取引は史上最高値のバブル相場が継続しており,今後の出荷時期において採算割れとなる懸念が出ております。TPP大 筋合意によって,今後安価な牛肉輸入が増加すれば和牛の枝肉価格にも影響があるのは当然です。これからの難局に立ち向かうためには,@枝肉重量のアップ,A和牛子牛の増頭,B他銘柄との差別化の3点が課題になると思われます。
@ 枝肉重量に関しては,本共励会のような大きな牛づくりとして「肥育前期の丈夫な腹づくり」と「肥育中期でのビタミン対応」に留意し,日常の飼養管理に取り組むことが重要です。 
A 子牛の増頭においては,本会でも周年放牧による繁殖経営の取り組みを開始しましたが,「お金と手間をかけない繁殖経営」を普及させていきたいと考えます。
B 他銘柄との差別化には,美味しさの追求が必要です。今後2極化(安い牛肉か,美味しい牛肉か)すると見込まれる牛肉業界においては,オレイン酸の測定開示など美味しさをPRできる取り組みが重要になると思われます。
 最後になりましたが,本共励会を開催するにあたり,ご協力いただいた関係機関の皆様,審査をしていただいた諸先生方,出品された生産者の皆様に,心よりお礼を申し上げます。