県北の中山間地では,耕地が狭く傾斜が多いことから,ほ場が点在し,大型機械などによる効率的な飼料生産ができない現状です。また,輸入飼料価格の高騰が続き,畜産経営においては早急に飼料を安定的に確保することが課題となっています。
そこで,県北農林事務所では県央農林事務所と連携して酪農家と耕種農家を結び付けたデントコーン生産・利用システムを構築し,酪農家の飼料費低減を目指すこととしました。
きっかけは,那珂市の耕種農家から露地野菜の連作障害軽減と土壌改良のために,デントコーンの作付や堆肥施用を行いたいという相談からでした。そこで,茨城北酪農業協同組合里美事業所管内の酪農家と飼料(デントコーンラップサイレージ)・堆肥についてそれぞれ利用協定を締結し,那珂市田崎地区において10haのデントコーンの栽培を開始しました。
取り組みにあたり,耕種農家が播種作業から生育管理(除草作業等)を,酪農家が収穫調製作業と運搬作業を業者へ委託する方法で,役割分担しました。
キャベツとの輪作のため,デントコーンの収穫は8月上旬に設定し,早生品種を選定しています。昨年度は生育も良好で約540t収穫し,畜産農家の購入価格は15円/kgとなりました。牛への給与時の評価も良く,次年度へ期待が寄せられる結果となりました。
また,耕種農家でも,デントコーン収穫後のほ場は,水はけが良くキャベツの病害の発生が抑えられ,製品率は高かったと好評でした。
昨年は取り組み初年度ということもあり,播種や除草作業,電柵の設置など,機械の貸し出しも含め,酪農家の助言・協力無しにはできなかったと思われます。併せて,普及部門では,酪農家が安心して給与できるよう,デントコーンの利用者研修会を開催し,ほ場での生育確認や,ラップサイレージの取扱い,保管,給与方法を説明したり,適正な価格設定が出来るよう種々の調整をしてきました。
2年目となる今年度は,作付面積を17.5haに拡大し,4月下旬までに播種が終了,8月上旬の刈取りに向け現在,順調に生育しています。堆肥の利用については,今年度の作付前に酪農家が運搬した堆肥20 t程度を,耕種農家が散布する取組も始めました。
今後も作付面積を拡大し,畜産農家と耕種農家お互いの利益につながるよう支援を行っていきます。



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