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自給飼料分析センターの活用を!
茨城県農業総合センター 専門技術指導員 本谷 直

 はじめに
 茨城県内では,飼料作物が5,141ha栽培されていますがイネWCSを除いて,年々微減傾向にあります(表)。円相場や気象変動など購入飼料を取り巻く状況は年々変化しており,輸入に頼っている購入飼料は影響を受けやすく,その中で飼料作物を確保していくことは有効です。
 しかし,飼料作物の栄養成分は各農家の作付体系の違いから同じ品種でも大きく異なることがあるので,定期的に栄養成分を把握していくことが重要になります。茨城県では畜産センター内に自給飼料分析センターを設置し,農家が作った飼料作物の栄養分析を行うようになっており,平成26年度は130点の分析を行ないました。
 今回は,自給飼料分析の必要性と自給飼料分析センターの利用方法等について説明します。

 飼料作物の栄養分析はなぜ必要か?
  県内酪農家の中にも,妊娠後期の粗飼料としてイネWCSを中心に行ったところ,栄養不足となり分娩後に廃用になってしまった事例や飼料作畑に堆肥を多量施肥したことにより,飼料作物に多量の硝酸態窒素が含有し,それを食べた乳牛の体細胞数の上昇や硝酸塩中毒などみられた事例がありました。
 定期的な栄養分析を行うことにより,栄養成分が明確になり飼料設計が立てやすくなることや,堆肥多用施肥圃場で生産された飼料作物の過剰給与を未然に防ぐことなどが出来ます。

 利用方法について
  畜産センターでは2つの方法で分析を受け付けています。
@依頼方式
 飼料作物を直接畜産センターに持ち込んで分析を依頼します。この場合はあらかじめ電話等で連絡をしてから,申込書を添えて持ち込んで下さい。畜産センター職員が分析を行いますので,若干時間がかかる場合があります(10日間程度)。
A開放実験室方式
 地域普及センターの普及指導員等が農家から飼料作物を預かり,自給飼料分析センターで分析を行います。分析センターの分析機器が空いていれば,普及指導員が分析を行いますので,終了後すぐにデータを受け取ることができます(5日間程度)。
※分析機器が空いていない場合は多少日数を要します。

 カビ毒対応について
  近年,問合せが多いものでカビ毒があります。現在,約400 種類が知られていますが,現在飼料安全法で規制があるカビは次の3種類になります。
@アフラトキンB1 : 飼料摂取量の低下,乳量の減少,免疫力の低下
Aデオキシニバレノール:アフラトキシンより毒性は低いものの,サイレージからの検出頻度が高いカビ毒です。飼料摂取量の低下,胃腸炎,嘔吐
Bゼアラレノン:繁殖障害などの原因
 これらのカビ毒は,自給飼料分析センターでは分析が行えません。粗飼料を給与していて,牛の状態が悪くなった場合は,飼料メーカーにカビ毒の分析を依頼し,カビ毒を特定してください。また,カビ毒吸着材を使用したり,サイレージの使用量を減らすなどの対策を講じて下さい。

 最後に
  国を挙げて自給飼料率の向上を目指しており,茨城県でも茨城農業改革大綱で飼料作物面積6,300haを目指しています。残念ながら本県では年々,飼料作物の作付面積は微減が続いています。自給飼料分析センターを活用し,優良な飼料作物の増産につなげましょう。