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自社農場産の食材を使った洋菓子が大好評!!
茨城県県西農林事務所振興・環境室農業振興課


 筑西市深見の泣tァームオアシスは,環境の保全と生態系との共存を目指した循環型農業を実践する農業生産法人です。繁殖和牛や乳牛を飼養するほか,水稲,麦などの普通作物や園芸作物のイチゴを生産する有畜複合経営に取り組んでいます。
 同社は農産物の生産に加え,加工と販売を行う6次産業化への取り組みとして,農場内に洋菓子店「パティスリー ラシーヌ」をオープンしました。自社農場産の生乳,米粉,イチゴを使った洋菓子が地元で評判を呼び,6次産業化を目指す農業経営者からも注目されています。




 有畜複合経営へのこだわり  
 『人々のオアシスになりたい』という思いから,社長の篠崎毅さんご夫妻がファームオアシスを立ち上げたのは平成18年4月。水田10ha,イチゴ25a,繁殖和牛15頭からのスタートでした。
 作物栽培と牛の飼養を組み合わせた有畜複合経営は,篠崎さんが理想とする農業のスタイルです。牛ふんを堆肥化して農地に還元する土づくりを基本とし,循環型農業を進めています。
 現在では繁殖和牛は50 頭に増えました。転作田や水田裏に放牧することで,繁殖成績の向上につながるとともに,景観づくりにも一役買っています。
 これまで,繁殖雌牛は九州からの導入が主でしたが,牛白血病感染を防ぐため,自家育成の割合を増やしているところです。
 また,子牛の下痢の防止効果および親牛の受胎率向上のため,分娩直後から1週間以内に親子を分離する超早期離乳により子牛を育成しています。




 「6次産業化」による夢の実現
 平成26年7月にオープンした洋菓子店「パティスリー ラシーヌ」は,篠崎さんの次女聡美さんがパティシェを勤めています。聡美さんは専門学校で製菓技術を学んだ後に,水戸市の洋菓子店で修業を重ねました。接客は長女の瑞穂さんが担当し,姉妹が主体となって店を営業しています。
 材料は自社農場産や地元産にこだわり,以前から直売で好評だったイチゴや,有機栽培米の米粉を使った洋菓子が評判を呼んでいます。
 特に,こだわりの材料として注目したいのは自社農場産の生乳です。ジャージー種の乳牛から搾乳した生乳が,プリン,カスタードクリーム,ジェラート等の材料として使われています。




  ファームオアシスではこれまで繁殖和牛を飼養してきていますが,乳牛の飼養は新たな挑戦でした。酪農経験者の社員が飼養管理を担当し,安定した生乳生産に努めています。
 現在使用しているジャージー種の乳牛は2頭ですが,4頭同時に搾乳できるパイプラインミルカーやバルククーラーを備えているので,自家育成による増頭も検討しているとのことです。今回お店を訪問したのは,週末にバレンタインデーを控えた時期でした。店内には,バレンタイン贈答用に彩りよくラッピングされた焼き菓子が並び,花が咲いたようでした。
 店名の「ラシーヌ(Racine)」はフランス語で「根」を意味します。農作物にとって「根」は養分吸収の要となる部位です。お店の洋菓子が農作物を材料としていることを象徴するとともに,地域に根をおろすお店でありたいという願いがこめられています。
 その名の通り「パティスリー ラシーヌ」は,「地元のオアシス」として根付き始めています。