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平成27年度畜産施策方針と重点施策 |
茨城県農林水産部畜産課長 永田 裕 |
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この度の定期人事異動により畜産課長を拝命しました。本県畜産の振興に全力を尽くして参りますのでよろしくお願いいたします。
ご承知のとおり,本県の平成25年農業産出額は4,356億円で,前年に比べ75億円増加し,平成20年から6年連続で全国第2位になっています。このうち畜産については,56 億円増の1,131億円で,農業産出額の約26%を占める基幹産業であります。 部門別でみると,鶏卵が全国第1位,養豚が第4位,乳牛が第8位,肉牛が第11位であるなど,全国有数の畜産県であり,首都圏へ畜産物を安定的に供給する基地として重要な役割を担っています。 しかしながら,近年,畜産を巡る情勢は,TPP交渉の進展や高齢化による生産者の減少,穀物価格や原油価格の高騰が続くなどの影響により,畜産経営は極めて不安定な状態が続いております。特に,配合飼料価格については,とうもろこし価格が高値で推移するとともに,円安の影響などから輸入飼料価格が上がり,生産者負担額は過去最高レベルとなっており,輸入飼料への依存度が高い畜産経営は,不安定で先行きの見えない状態になっています。 また,本県では,霞ヶ浦の負荷軽減への動きや混住化が進む中,県民の環境に対する関心が高まり,畜産経営においても環境負荷削減など環境保全型農業が求められるなど,多くの課題を抱えています。 ![]()
これらの課題を解決するため,県としては,畜産を取り巻く状況に的確に対応し,産地間競争に打ち勝つ畜産業実現のため,国の畜産クラスター事業等を有効に活用しながら,今年度改定予定の「茨城農業改革大綱」や「いきいきいばらき生活大県プラン」等に基づき,畜産振興施策に取り組みます。 消費者が求める安全・安心で,高品質な畜産物生産を促進するため,優良な種雄牛や系統豚等を活用した付加価値の向上,家畜改良・生産基盤強化に取り組むとともに,アジア地域で発生している口蹄疫や高病原性鳥インフルエンザ等に対して必要な防疫対策を講じるほか,さらなるブランド力向上を図るため,銘柄畜産物を牽引役として海外や首都圏に向けた県産畜産物の販路拡大対策を実施します。 また,輸入飼料に依存しない畜産経営基盤づくりのため,耕畜連携による飼料用米等の利活用やとうもろこし等の自給飼料増産への取り組みを支援するとともに,家畜排せつ物の適正管理と有効利用に加え,農地以外での利用を進めながら,畜産農家の安定経営の実現に向けて取り組みます。 さらに,原発事故による放射性物質汚染対策として,引き続き,畜産物の放射性物質検査を徹底して行い,検査結果を的確・迅速に公表し,畜産物等の安全性をPRします。具体的には以下のとおり,「生産基盤の増強」,「畜産物の流通促進及び畜産経営の体質強化」,「家畜衛生対策の充実と安全な畜産物の生産」,「畜産環境対策の充実」,「試験研究の推進と指導体制の充実」を5つの柱として施策を実施し,本県の畜産振興を図ってまいりますので,皆様方のなお一層のご理解とご協力をお願いします。 ![]()
(1)生産基盤の増強 家畜の改良を進めることにより,産肉能力や繁殖能力等の生産性の向上を図るとともに,水田や耕作放棄地等未利用地の活用や耕種農家と畜産農家の連携を進めることで,飼料生産基盤を強化して輸入飼料に依存しない安定した畜産経営の確立を目指します。 (2)畜産物の流通促進及び畜産経営の体質強化 本県の銘柄畜産物である「常陸牛」,「ローズポーク」,「いばらき地鶏」のブランド力向上を図るため,輸出や加工品開発に取り組むなど新たな販売拡大対策や重点的なPRを行い,それらを牽引役とした本県畜産物全体の消費・販路拡大を進めます。また,畜産経営安定対策を推進し,国内外の競争に打ち勝つよう,畜産経営の体質を強化します。 (3)家畜衛生対策の充実と安全な畜産物の生産 家畜伝染性疾病の発生やまん延防止を図るため,飼養衛生管理基準に基づく徹底した衛生指導を実施するとともに,口蹄疫や高病原性鳥インフルエンザなどの家畜伝染病の万一の発生に備えた危機管理体制を充実します。また,オーエスキー病の清浄化対策や動物用医薬品の適正使用を推進するとともに,死亡牛全頭の牛海綿状脳症検査を継続することにより,食に対する安全・安心を確保します。 (4)畜産環境対策の充実 霞ヶ浦の富栄養化や混住化が進み,県民の環境に対する関心の高まりから,環境保全型農業が求められているなか,畜産経営における高品質堆肥の生産や流通を促進するための機械等整備や堆肥の適正な利活用を推進するほか,家畜排せつ物の堆肥化以外の新たな処理や利用を推進します。 (5)試験研究の推進と指導体制の充実 茨城県農林水産試験研究推進構想(中期運営計画)に基づき,@新たなブランド化や上質感・高級感創出につながる優良な種畜等の改良・育種,A消費者サイドのニーズに対応した多様な畜産物生産技術の開発,Bエコ農業を核とした環境に優しい畜産技術の開発,C先端技術の活用による未来につながる新技術の導入及び開発の4つを柱として試験研究を推進するとともに,農業総合センター,行政機関及び関係団体等と連携し,家畜・飼料作物生産技術の高位平準化を進めます。 |
畜産茨城
平成27年5月号目次 1.大子町に新規就農繁殖農家が誕生 2.平成27年度 畜産施策方針と重点施策 3.新任あいさつ 4.ウシにおけるメラトニンが受精卵品質に及ぼす効果と卵巣でのメラトニン 関連遺伝子の発現 5.第32回茨城県ブラックアンドホワイトショウ 6.平成28年度茨城県農業大学校入学生募集 7.PEDを含む防疫対策の取り組みについて |
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