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大子町アグリネットワークへの支援や,新規繁殖和牛入門講座を
とおした和牛生産振興について
茨城県県北農林事務所企画調整部門振興・環境室

 大子町における和牛生産の現状
 本県の北西端に位置する大子町は,那珂ICから国道118号線を約1時間半,久慈川沿いを北上したところにあり,日本三大瀑布の一つ袋田の滝をはじめ,緑豊かな自然や温泉など観光資源が豊富な町です。町では,畜産が基幹産業の一つとなっており,農業産出額全体の約5割を占めています。本県の肉用牛農家の約4分の1がここ大子町に集中しており,県のブランド「常陸牛」素牛(子牛)の一大産地となっています。2ヶ月に1回,大子町畜産農業協同組合主催で開かれる家畜市場には,町内の繁殖和牛農家及びその家族,町外の肥育農家等大勢が集まり賑わいをみせます。
 しかし一方で,中山間地域共通の悩みでもある農家の高齢化と後継者不足により,農家の戸数及び繁殖和牛飼養頭数は減少傾向にあり,耕作者の減少による遊休農地の拡大も課題になってきています。

 大子町アグリネットワークへの支援
 大子町アグリネットワークは,農業が衰退すると地域に魅力が感じられなくなり,若い町民が一層離れていくことに危機感を感じ,和牛繁殖を通じた農業の活性化に取り組もうと,主に稲WCSの作付けから収穫調製・供給までを請負うコントラクターとして平成23 年に設立されました。
 大子町アグリネットワークは,遊休農地等を活用した放牧に取り組み,放牧牛の管理が困難な冬季でも,簡易運搬器具や可搬給餌柵を用いて稲WCSを給与する周年放牧を行い,地域における耕畜連携を進めています。その中で,県の農産振興条件整備支援事業により飼料用稲専用収穫機を導入し,平成25年度は約4.8ha(稲WCS110t)の作業を受託し,繁殖和牛農家への飼料供給を行いました。
 また,稲WCSの作付けを拡大する鉄コーティング直播栽培技術の導入を試験的に行っており,現在,県単補助事業による乗用播種機導入の検討を進めています。
 大子町アグリネットワークが目指しているのは,“耕・畜・民連携”による飼料づくりです。“耕”種農家と“畜”産農家の連携はもちろんのこと,そこに町“民”を巻き込み,余力のある町民にも収穫等の作業員として協力してもらうことで,飼料作物を生産するシステムを作ろうという構想です。
 例えば,稲WCSの耕起から田植えまでを耕種農家が行い,バインダーによる刈り取りを町民が行い,運搬からサイロ詰めまでを畜産農家又は大子町アグリネットワークが行う役割分担としてはどうかというものです。
 これらの取組みに対し,農林事務所では,作業料金の支払い等に当たり,水田活用の直接支払交付金の他,耕畜連携助成などの補助金が有効に活用されるようアドバイスを行っています。



 新規繁殖和牛入門講座の開催
 県北地域における和牛生産振興の一環として,県北農林事務所では,平成23年度より「新規繁殖和牛経営入門講座」を開講し,繁殖和牛経営への新規参入者等を支援しています。
 同講座は今までに24名が受講し,8名が既に繁殖和牛経営を開始しました。うち1名が大子町で就農し,2名が新規参入及び大子町アグリネットワークへの加入を検討しているところです。
 講座では,繁殖和牛経営に係る基礎知識はもちろん,農家体験実習や交流懇談会などを通して,農家と受講生とのネットワークづくりも支援しています。
 講座は本年度も開催し,現在,平成26 年度の受講生を募集しています。(募集〆切:7月22日(火))
【申し込み・問い合わせ先】
《事務局》茨城県県北農林事務所 企画調整部門振興・環境室(担当:日野)
: 0294-80-3303 / Fax:0294-80-3304




 将来茨城県で和牛繁殖での就農を希望している方,複合経営の一部門として和牛導入を希望している方,耕作放棄地対策として放牧を考えている方,和牛の飼育に興味がある学生等も受講可能です。県北地域の畜産を一緒に盛り上げてくださる方の積極的なご参加をお待ちしています。