平成25年12月2日(月)〜5日(木),茨城県中央食肉公社において「第57回茨城県肉用牛共進会」が開催されました。農林水産祭参加行事として
毎年開催されている本共進会は,常陸牛指定生産者が丹精込めて飼育した牛から1人1頭を厳選して出品し開催されます。まさに年に1度の県内最大の枝肉共進会であり,今回は111頭が出品されました。
出品牛の内訳は去勢81頭(平均月齢30.4ヶ月)・雌30頭(同29.9ヶ月)で,産地(出生地)は茨城県34頭・北海道21頭・栃木県20頭,等と本県産の素牛割合が増加してきております。枝肉全体の格付状況においては,「常陸牛」に該当するAB-4,5等級の上物率は82.0%と昨年(76.7%)に比べ良い結果となりました。このうち,去勢牛81頭についての枝肉測定平均値は,枝肉重量530.9s・ロース芯面積60.1cm2・バラの厚さ8.9p・皮下脂肪の厚さ2.4p・BMS ai脂肪交雑)7.7という成績でした。雌牛30頭についての測定値は,枝肉重量453.6s ・ロース芯面積60.0cm2・バラの厚さ8.2p・皮下脂肪の厚さ2.5p ・BMS 6.6という成績でした。審査委員からは「枝肉重量に富み,バラの厚さの充実したものが多く,肉質の良いものが大変多く見受けられましたが,一方で脂肪交雑・ロース芯面積・肉の光沢・脂肪の質等にバラツキが目立ちました。」との講評をいただきました。
厳正な枝肉審査の結果,名誉賞には澁澤誠氏(筑西市)の出品牛が,最優秀賞や他各賞には下記生産者の出品牛が選出されました。名誉賞の枝肉は,枝肉重量は560s ・BMS bヘ最高値の12で,枝肉単価は3,676円と希に見る高額な販売単価となりました。
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名誉賞枝肉 |
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名誉賞枝肉 |
現在の肉牛情勢は,原発事故による風評被害で低迷していた枝肉価格が回復してきた反面,全国的な頭数不足から子牛価格が暴騰するという新たな問題が生じております。この問題は,高値で導入した素牛が販売される約2年後に各生産者の経営収支に影響が生じることが予測され,不安が払拭されていないのが現実です。
素牛不足は,繁殖農家の高齢化や中山間地での農業経営が難しくなっていること等が原因となっておりますが,この問題には地域を含めて各所が連携し取り組むことが必要です。高齢化問題は農業や特定地域に限っての問題でなく新規就農が難しければ「分業化」により「できる仕事を,できる人が行いながら」取り組めるネットワークの構築が理想です。また,中山間地の耕作放棄地を有効に活用できれば,新たな産業に結びつき地域に魅力が生まれます。理想を現実にするには大変な努力が必要でありますが,本会でも生産者や関係各所と連携し素牛増頭対策に努力していきたいと考えます。
高品質な枝肉として評価の高まる常陸牛でありますが,今後は「茨城生まれ・茨城育ち」の「純粋」な常陸牛を数多く育て,さらなるブランドアップが図れるように茨城県全体として頑張りましょう。
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