【簿記や生産記録の記帳】
コスト意識を持つために、経営データをしっかりと捉え、飼養管理(牛の個体
管理、治療履歴等)、生産費等(素畜費、
飼料代等)の費用記録をまめに記帳し
ている。
また、農業者を対象とした地元の青
色申告勉強会(笠間地区パソコン研究
会)でも農業簿記ソフト「ソリマチ」
を使った簿記勉強会に参加し、自身で
青色申告書の作成も行い、研究会の会
長も務めている。
【作業効率の改善】
安達さんの経営では現在、地元の定
年退職者を1人雇用し、飼養管理作業
全般を任せている。雇用に当たり、作
業マニュアルを作成し、作業内容を分
かりやすく解説。さらに、個体ごとに
血統や導入日を記録したボードを牛房
の入口に設置するなど、誰が作業して
も間違いが起こらないよう工夫してい
る。また、牛舎の飼槽の高さや用具の
位置など、作業導線に考慮し、効率よく作業
できるよう自身で設計、建築した。
従業員とは年に二度、互いの家族と一緒に
日帰りの旅行に出かけたり、生産した牛肉を
プレゼントしたり、福利厚生の充実も図っている。
【販売戦略】
一般に生産者は牛を育てることにのみ重点
を置き、販売対策が弱い面があるが、安達さ
んは6次化の流れを見込んで自身でも積極的
に常陸牛を売り込み、生産から販売、そして
消費までフードチェーン全体に力を入れてい
る。
そのためには、地域の・s場に安定的に良い
物(良い牛)を供給すること、自分のブラン
ド化(安達さんの育てた常陸牛として)を確
立することが収入の安定には何より大事なこ
とと捉え、生産から消費に至るまでの人間的
な信頼関係の上に成り立つものと考えている
ことから、次のことを実践している。
@出荷時は、必ず枝肉市場へ出向き、自分
の枝肉の確認や、自分より成績の良い枝肉の
状況を把握し、市場で会う生産者同士の情報
交流や、買参人との人間関係を深め、高く売
れるためにはどうするかなど、消費者のニー
ズの確認をしている。
A自分の枝肉を地域や友人などに広くPR
する(地元のイベントなどで肉を提供)。
B自身で育てた常陸牛を提供してくれる店
を開拓することにより、お店にも買参人を紹
介することができることや、友人やお客さん
を招待し、色々な意味で理解してもらうため
の試みとして実践している。現在、フランス
料理2店、寿司店2店に、安達さんが肉を市
場で買い戻して卸している。
C常陸牛指定生産者として、各種メディア
等の取材、研修にも惜しまない対応をとるこ
とにより、自分の経営のみならず、茨城県の
常陸牛を知ってもらうための努力をしてい
る。
【データ分析に基づく素牛の選定】
素牛導入型の肥育経営で、生産技術の高品
質化を図るため、データ分析等により、自分
に合った素牛の生産農家や血統などをいち早
く見極め、適正な価格で購入することが牛飼
いのポイントと捉えている。
【コスト削減の取り組み】
近年高騰している敷料用のオガコは製材工
場に収集に行くことで無償で譲渡してもら
う、稲わら収集を家族で行う、機械は中古の
ものを探して購入するなど、コストを極力抑
えることを徹底。また飼料メーカー2社に飼
料価格を競わせ飼料費の低減を図っている。
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