公益社団法人茨城県畜産協会では、平成16年度より一貫経営のモデル農場としてドリームファームの経営支援に取り組んでいる。支援内容は、経営診断によって増頭を行っていく中で複雑になる経営内容の把握し、繁殖部門と肥育部門それぞれ技術・経営成績の評価を行った。また、県内の支援機関と連携し、飼養管理、育種改良、飼料生産といった分野ごとの課題解決にも取り組んでいる。
飼養管理面では、一貫経営を始めた当初は質量ともに個体間のバラつきが大きく、枝肉販売価格が導入型の肥育経営と比べ大きく下回る成績であった。そこで茨城県畜産農業協同組合を中心に一貫経営のメリットを活かす早期肥育開始のための肥育マニュアルの作成、個体間のバラつきを減らすための群編成方法の指導など改善に向け取り組んだ。
育種改良面では、繁殖牛の育種価情報の提供や茨城県畜産センターによる受精卵移植技術指導により、母牛群の改良促進を支援した。飼料生産面では、結城普及センターを通して県草地協会の自給飼料コンクールに出品し、品質評価と技術指導により自給飼料の高品質化と増収に取り組んでいる。
また、放牧指導については、国の研究機関である農研機構の試験研究の一環で行われておりましたが、中央畜産会の実施する専門家派遣事業により、経営診断実施日に中央農研の研究者を派遣していただくことで、多面的な支援が実現できた。
近年では、1年1産である分娩間隔12カ月以内の成績を維持し、育種価上位牛を多く作出し、一貫経営でありながら2年連続で出荷頭数全頭が枝肉等級4以上のみに刻印される「常陸牛」となるなど経営の基礎をなす技術が特に優秀であり、経営内容も大幅に改善してきている。また、低コスト、省力化、自給率向上につながる耕畜連携による稲WCS生産や放牧等に積極的に取り組む一貫経営のモデル的な事例となっている。
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