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畜舎排水処理水における硝酸性窒素等の低減について
茨城県畜産センター 生産技術研究室


 1.はじめに
  汚水を浄化し放流する際,水質汚濁防止法の健康項目のうち硝酸性窒素等(アンモニア性窒素と硝酸性窒素)については,一律排水基準(100mg/L)で規制されています。

 2.硝酸性窒素等暫定基準の改正について
  水質汚濁防止法に基づく「排水基準を定める省令の一部を改正する省令の一部を改正する省令」が公布されました。畜産業については硝酸性窒素等の暫定基準は900 mg/Lに設定されていましたが,平25年7月1日から暫定基準値の700mg/Lが適用されます。
 しかしながら,今後も一律排水基準対応に向けた畜舎排水処理が求められていることから,その対応に向けて,畜舎排水処理水中の窒素を効率的に除去するための運転方法について検討しましたので,その結果を紹介します。

 3.試験概要
  試験は,県内の養豚場から糞を分離した尿汚水を用いました。(表1)

表1


  あらかじめ,活性汚泥の量を希釈調製し,運転条件は連続曝気(22時間)間欠曝気(1時間毎に運転・停止の交互運転)としました。(図1) 試験装置は,BOD容積負荷を0.3〜0.4kg/m3/日,窒素容積負荷を0.18kg/m3/日を満たし滞留期間が9日間,SV30で40%となるよう事前に調製しました。酸素供給量は,連続曝気と間欠曝気で同量に設定しました。

図1


 4.試験結果
  運転開始から,連続曝気と間欠曝気共に原尿と比べると硝酸性窒素濃度は低くなり,2ヶ月程度で間欠曝気で排水基準値を満たす水準にな りました。
 連続曝気では試験期間を通じて300 mg/L以上の硝酸性窒素濃度でしたが,間欠曝気を組み合わせた運転を行うことにより,硝酸性窒素等は排水基準(100mg/L)をクリア可能な処理が期待できる結果が得られました(図2)。

図2


 5.おわりに
  今回行った条件で処理を行った場合では,一律排水基準を満たす処理が期待できる結果が得られました。
 また,畜産茨城第441号で紹介されました県西地域の例では,浄化処理施設での設計頭数以上の汚水を処理することで硝酸性窒素等の値が高くなる傾向が示されていることから,設計数値に見合った量の汚水を処理することが硝酸性窒素処理では重要です。また,日常の管理においては,簡易キット等を利用し所有施設の水質を把握し,対応していくことが必要となります。


SV30 : 1Lのメスシリンダーに曝気槽内の混合液を入れ30 分間置いたとき底の部分に沈殿した汚泥の量のこと。汚泥量は一般的に400〜600mlの範囲。