県内における飼料用米の取組
1.生産の概要
本県の飼料用米の取組は,平成20年度に新た
な転作作物の重点推進作物として指定されたこ
とがきっかけとなり,その後,国際的な穀物
価格の高騰や戸別所得補償制度等の支援が充実
し,急速に生産面積が拡大しております。
年次別の飼料用米生産面積は,平成20年度24ha(15市町村
数),21年度122ha(20市町村),22年度555ha(30市町村),23年度1,635ha(31市町
村)と年々増加して
います。(図1)
2.流通の概要
当初の生産面積が小さい状況では,畜産農家
との地域内相対流通が主流でしたが,面積拡大
に伴い飼料メーカーや全農スキームによる全国
流通が70%以上となっています。(図2)
また,畜産農家との地域内相対流通における
畜種別利用割合は,乳牛・肉牛:41%,豚:30%,
鶏:29%であり,給与形態としては,乳牛・肉牛で
は破砕籾米または破砕玄米,豚では破砕玄米,
鶏では籾米で給与されています。(図3)
技術体系化チーム活動について
農業総合センターでは,飼料用米の効果的な
家畜への給与技術の確立が期待されているなか
で,普及センターや畜産センターと連携しながら,
肥育牛及び肥育豚への給与技術確立に取り組ん
でいます。(平成23〜25年度)
取組の1つとして,価格が高い子豚期飼料の
コスト削減を図るために,離乳後子豚への飼料米
の給与についての検討した経過を紹介します。
1.飼料用米の給与方法
飼料用米は,飼料用米(玄米)を粉砕する時に
生じた米粉状(粒径
2mm以下)のものを
用いました。(図4)

図4 子豚期へ給与した飼料用米
また,試験区は,
表1のとおり慣行区,25%代替区,50%代
替区としました。
表1 子豚期の試験設定
○供試豚:LWD
・同時期生まれの6腹分の子豚48頭から各区とも去勢
3頭・雌3頭を選抜し,調査した。
○試験区
@慣行区:市販子豚用飼料100%の不断給餌
A25%代替区:市販子豚用飼料75%+飼料用米25%の
不断給餌
B50%代替区:市販子豚用飼料50%+飼料用米50%の
不断給餌
○給与期間:離乳時(3週齢)〜6週齢
○調査項目
発育性(体重・健康状態),経済性(飼料費)
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2.飼料用米の給与結果
(1)発育性
体重は,慣行区>25%代替区>50%代替区の
順に高くなりました。(表2)
飼料用米を給与した試験区では,個体間のバ
ラツキが見られました。バラツキの原因としては,
軽度な下痢の発生が示唆されました。
表2 体重及び1日あたり増体重
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体重(kg) |
DG(累計) |
3週齢 |
4週齢 |
5週齢 |
6週齢 |
3-4 |
3-5 |
3-6 |
慣行区 |
7.3 |
9.7 |
10.9 |
11.6 |
0.34 |
0.26 |
0.20 |
25%区 |
6.3 |
8.0 |
8.4 |
9.7 |
0.23 |
0.15 |
0.16 |
50%区 |
6.8 |
8.4 |
7.5 |
8.2 |
0.24 |
0.05 |
0.07 |
※DGとは,1日当たりの増体重(kg/日)
(2)経済性
試験期間中の1sあたり増体にかかる飼料費
は,慣行区(123.3円/kg)>50%代替区(123.2円/s)>25%代替区(93.9円/kg)と25%代替
区が低いことから飼料費の低減につながると思
われます。
今回の結果から飼料用米は,子豚期飼料とし
て,コスト削減が示唆されたので,今後は,飼料用
米の給与割合や給与時期を検討し,より効果的
な使い方を確立する予定です。
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