近年,自然環境への負荷低減,消費者の安全で安心な農産物への関心の高まりを受け,減化学肥料,減農薬への取組に代表される「エコ農業・資源循環型農業」の推進が進められています。
  県西地域においても,良質たい肥の流通促進,自給飼料の生産及び地域内流通の拡大などによる耕畜連携による資源循環型農業への取組が進められております。
  今回は,結城市において,良質たい肥と飼料稲(WCS)を軸とした畜産経営体(農業産法人:北村牧場)と耕種農家集団(農事組合法人:宮崎協業)によるエコ農業・資源循環型農業への取組事例を紹介させていただきます。
  北村牧場と宮崎協業では,平成13年に「きぬ土づくり組合」を組織化し,国補事業を活用してたい肥舎を建設すると共に,散布機械等の導入を行い,良質たい肥の生産・利用拡大に取組み,先ずたい肥を軸とした連携が進められ,地域内のモデル事例となってきました。
  また,平成18年から宮崎協業が市内圃場において飼料稲(WCS)作付けを開始し,そこで生産されたWCSを北村牧場で飼養する肥育牛への給与されるようになりました。
  このことにより,たい肥に加えて飼料作物を連携の軸とする耕畜連携(飼料稲・もみ殻 ⇔ たい肥)が推進され,年々その結びつきは強化されています。平成21年度には結城市内での飼料稲の作付けが約30haまで拡大され,土づくり・減化学肥料が叫ばれる中,たい肥と飼料稲を中核とした資源循環モデルの一翼を担い,市内外の畜産農家での飼料稲活用も年々拡大しており,北村牧場での取組が周辺地域への波及効果をもたらしております。
  21年10月には,北村牧場と宮崎協業の協力を得て,県西農林事務所,結城市などの主催による「いばらき農産物サポーター県西地域産地交流会」を実施し,サポーターへの取組紹介,関係施設の見学及び農産物収穫体験(えだまめ収穫)などを行い,昼食時にはサポーターと北村牧場及び宮崎協業との意見交換を実施し,エコ農業・資源循環型農業への理解を深めることができました。
  先に記したように,両法人の結びつきが耕畜連携への取組み事例として周辺農家に波及効果が認められつつあり,同時に,消費者がエコ農業を理解してもらうモデル事例とし,今後の展開が期待されるものです。


<飼料稲(WCS)収穫風景1>

  宮崎協業では,平成21年度交付金事業を活用して細断型飼料稲収穫機を導入し,より高品質なWCS生産に取組んでいる。
  平成21年度には,リーフスター,ホシアオバ,クサノホシなど複数の品種を作付し,収穫時期を分散して結城市内の圃場30ha以上で収穫調製を行い,市内外の畜産農家6戸へ提供した。

<飼料稲(WCS)収穫風景2>

  専用機で収穫調製(梱包)したWCSは,直後にラップ作業を行い,その日の内に圃場から搬出して保管場所へ搬入しています。
  21年度のWCS生産量は,10a当り約3t(300kg×10ロール)であり,たい肥の活用による低コスト化にも取組んでいます。

<県西地域産地交流会風景1>

  北村牧場が飼育するホルスタイン種肥育牛の牛舎を農産物サポーター(消費者)と共に見学し,国産牛肉への興味を持ってもらいました。
  サポーターからは,日常管理や給与飼料などに関する質問が出され,国産牛肉への理解を深めることができました。

<県西地域産地交流会風景2>

  宮崎協業圃場に近接して設置されている「きぬ土づくり組合」所有のたい肥舎をサポーターに見学してもらい,家畜ふんのたい肥化処理について説明を行いました。
  サポーターからは,資源循環型農業の有用性,安全安心な国産農産物を支援していきたいとの話が聞けた。

<県西地域産地交流会風景3>

  宮崎協業及び北村牧場で生産された野菜類及び牛肉を材料とした昼食を囲んで,サポーターと生産者による意見交換を行いました。
  互いに,農業の重要性,安全安心な農産物の生産に対する理解を深めることができました。