平成20年10月31日に、小美玉市の四季文化館(みのーれ)において、市町村、県関係者等約150名が参加して、高病原性鳥インフルエンザ(以下、HPAI)防疫シミュレーションと講演会が開催されました。
『防疫シミュレーション』
HPAIの発生を想定して、異常鶏届出から、病性決定、殺処分等の防疫対策、経営再開まで、一連の防疫措置について、スライドによるシミュレーションが行われました。
発生時の防疫対策の実施に際しては、県と市町村の迅速円滑な協力体制が大変重要となります。特に今回は、市町村における防疫作業の役割についてクローズアップされており、演技者が実演する方法で説明が行われました。
また、発生農場における鶏殺処分作業の動画映写や、作業時に着用する防疫服等の着脱訓練も行われ、参加者の理解を深めました。
『講 演 会』
講演は、「高病原性鳥インフルエンザと野鳥との関わり」と題して、鳥取大学農学部獣医学科教授伊藤壽啓先生から貴重な御講演をいただきました。
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【講演要旨】
○カモ類は、感染していても病原性を示さないが、ウイルスが腸管で増殖し、糞便とともに湖水中に放出され、水系感染を繰り返す。ウイルスが鶏に感染すると、ごくまれに変異が起き、鶏に病原性を示すウイルスが出現する。
○2005年に茨城で分離された弱毒タイプのウイルスを鶏雛に接種して、気嚢継代を17代、さらに脳継代を11代実施したところ、強毒タイプのウイルスに変異した。
○2008年春、国内で死亡衰弱したオオハクチョウから分離されたウイルスと、同年春の韓国の発生事例(鶏、アイガモなど)から分離されたウイルスは、遺伝子的にほとんど同じウイルスであることがわかった。
○渡り鳥は、警戒心が強いので、鶏舎に立ち入る可能性は少ないが、スズメ、カラスなどの留鳥が鶏舎内に侵入する可能性は高い。
○渡り鳥の国内への飛来を妨げるのは不可能だが、養鶏場において、ウイルスの鶏舎内侵入を遮断することは可能であり、鶏舎内外の清掃、消毒の徹底、野生動物の侵入防止など、衛生環境の整備が重要となる。
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●HPAIの発生を防止するためのポイント●
1 消毒の徹底
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農場入口の車両消毒及び鶏舎入口の踏込消毒槽による長靴等の消毒。 |
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鶏舎周辺、農場敷地内へ、消石灰の散布。 |
2 野鳥・野生動物の侵入防止
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鶏舎には2p角以下の網目の防鳥ネットを張る。 |
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ネズミ対策として、鶏舎、倉庫の間隙を塞ぎ、捕獲装置の設置、殺鼠剤の使用。 |
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B |
飼料タンク付近、倉庫等に、野鳥、ネズミ等が侵入しないように、清潔を保つ。 |
3 適正な飼養管理
飼養羽数、換気など、適正な飼養管理の維持。
※ 飼養鶏の健康状態の確認
日常的に飼養鶏の健康状態を確認し、鶏に異常が確認された場合、直ちに家畜保健衛生所に通報することが必要です。
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