社団法人日本養豚協会から県内の全養豚経営者について調査を委託されました。全国の調査については日本養豚協会から「養豚基礎調査全国集計結果(平成18年度)」が発表になっているので、今回は、茨城県内の結果について紹介します。調査基準日を平成18年8月1日現在として、経営状況や認定農業者、給与飼料(リサイクル飼料)などに関する事項を郵送により回答を得て集計しました。

1.調査結果の概要
 本年度の調査対象経営戸数は、平成18年2月1日現在の全戸数613戸を対象に調査を行い、349戸(無記入を含む)で回答率は56.9%である。平均年齢は60.1歳、全国平均57.8歳と高齢化であった。

2.養豚経営
 養豚経営の労働形態は、家族経営87.9%、会社経営8.6%である。
前年比家族経営が2.4ポイント増(85.5%)、会社経営1.3ポイント減(9.9%)である。(全国集計では家族経営が増で会社経営が減である)
経営タイプは一貫経営74.6%、繁殖経営14.5%、肥育経営10.9%と前年と同傾向である。
3.肉豚の出荷
 肉豚の出荷時日齢は平均188日齢、出荷時体重は112.9kg、枝肉重量は73.8kgで前年とほぼ同傾向である。
肉豚出荷状況については、出荷頭数が増加した16.9%、出荷頭数は変わらない41.9%、出荷頭数が減少41.2%で1/3以上の養豚生産者が前年より減少したと回答している。
肉豚の出荷頭数の減少要因をみると、@気象変動で生産性が低下した A疾病の侵入で事故率が増加したが多くなっている。
 
4.飼養頭数
 種雌豚の全頭数は26,194頭で、そのうち純粋豚は1,551頭(5.9%)、種雄豚の全頭数は2,015頭で、そのうち純粋豚は1,904頭(94.5%)である。
 種雌豚の品種割合は、交雑種94.1%でうちLW(78.1%)、WL(8.2%)と多く、純粋種のランドレース種(3.1%)、バークシャー種(1.0%)、大ヨークシャー種(0.9%)、デュロック種(0.7%)となっている。
種雄豚の品種別では、止め雄としてデュロックが88.8%(前年比0.6ポイント減)を占めている。
交雑種種雄豚では、海外ハイブリットが91.9%(前年87.6%)を占めている。
5.人工授精実施状況
交配方法は自然交配78.9%、自然交配と人工授精の併用19.9%(前年20.6%)、人工授精のみ1.1%(0.8%)となっている。
精液の入手方法については、全て自家生産が26.0%、全て外部導入が62.0%、併用が12.0%となっている。全国集計でも同様の傾向である。
6.種雌豚の繁殖成績
 全体の1腹あたり平均哺乳開始頭数は、純粋種(L、W)10.3頭、交雑種(LW、WL)10.6頭、海外ハイブリッドは11.0頭である。
 1腹当たり平均離乳頭数は、純粋種(L、W)9.0頭、交雑種(LW、WL)9.3頭、海外ハイブリッド9.6頭である。
平均育成率は、純粋種(L、W)88.4%、交雑種(LW、WL)87.7%、海外ハイブリッド88.1%である。
母豚の平均分娩回転率は、純粋豚(L、W)2.0回、交雑種(LW、WL)2.2回、海外ハイブリッド2.2回である。
7.事故率
離乳から出荷までの事故率は6.9%で前年比0.7ポイント良くなった。事故率の主な要因は呼吸器疾患が約80.3%を占めている。

8.担い手(認定農業者)
認定農業者とは、自ら経営改善に取り組むやる気と能力のある農業(養豚)経営者が、いわば「農業(養豚)経営者のスペシャリスト」をめざす計画である「農業経営改善計画」を作成し、その計画を市町村が認定する「認定農業者制度」によって認定を受けた農業(養豚)経営者である。 平成18年8月1日現在の認定農業者状況は、回答者数283戸に対して認定農業者が39.2%、未認定農業者が60.8%である。 未認定農業者の中で、今後認定農業者を予定している経営者は45.5%、認定農業者にはなりたくない50.0%で、今後の農業(養豚)経営に半分の方は不安を抱いている。


地域肉豚生産安定基金等の経営安定対策等について、平成19年度以降対象が「認定農業者」を基本とした「担い手」となることとなっているが、「このことを知っていた」、また、「努力したい」を合わせると31.4%であるが、この調査で初めて知ったが「認定農業者」になるつもりはないが68.6%である。この傾向は全国集計と同様の傾向である。
9.経営形態
経営形態は、個人経営80.5%、有限会社系11.6%、株式会社2.2%である。

10.環境問題
畜産環境問題で、「困っていることがない」が58.0%、「困っていることがある」が54.9%である。特に問題事項は @悪臭問題 A水質汚濁問題 B害虫問題の順である。
農場周辺対策では、@畜舎周辺への花木の植栽 A周辺住民の生産物の配布 B地域活動への協賛・協力の順となっている。
畜産環境対策としては、今後実施して欲しい支援対策としては、堆肥の流通対策59.3%、処理コストの低減58.7%となっている。
11.リサイクル飼料の利用
現在、養豚経営者が使用している給与飼料は、市販配合飼料が98.7%、リサイクル飼料5.4%、自家配合飼料2.2%である。
リサイクル飼料の主なものとして、加工された乾燥飼料47.1%、食品製造工場(事業所)35.3%、レストラン・ホテル・給食センター17.6%の順となっている。
リサイクル飼料において、原材料の種類は、パン類63.6%、ご飯、米加工品54.5%、和菓子、洋菓子、ケーキ、ビスケット、煎餅など菓子類36.4%が主なものである。リサイクル飼料の原材料の種類はパン類が中心である。
入手された原材料の利用方法は、「加熱乾燥」63.6%、「加熱して利用」27.3%、「常温保管してそのまま利用」27.3%の順となっている。
リサイクル飼料を利用している方に、今後の意向については、「利用を拡大したい」が12.5%、「現状を維持したい」が87.5%である。
リサイクル飼料又は原材料としての入手形態は、@パン類、Aご飯、米加工品が中心となっているが、地域別では地域の特産品等により異なっている。
リサイクル飼料を利用していない方に、今後の意向については、「リサイクル飼料を利用する又は利用したい」の割合は33.8%てある。これは全国集計と同様の傾向である。