高病原性鳥インフルエンザ(H5N1亜型)は平成16年1月〜3月に山口県、大分県、京都府で発生し、平成19年1月〜2月には宮崎県、岡山県で発生しました。過去の発生事例から考えると、これからの季節が発生を最も警戒しなければならない時期となります。
 その対策として野生動物の侵入を防ぐため防鳥ネットなどを鶏舎に設置することが有効であり、平成16年12月に施行された家畜の飼養衛生管理基準においても、野生動物の侵入を防止する設備を設けることとなっています。今回は、管内の採卵養鶏場における防鳥ネットの設置事例を2つ紹介します。

(1)ケース1(市販の防鳥ネットを利用)
@農場 採卵鶏2,500羽飼養 ケージ飼い 鶏舎は約25m×4m×2m 3棟
A資材(約7万円) 果樹用防鳥ネット(7m×35m、2角)、アニマルネット(2m×50m、2角)、コートバンド(梱包用ビニールひも)、ステイプル針(大型ホッチキスの針)、塩ビパイプ
 果樹用防鳥ネットはインターネット検索し、希望サイズに裁断して農場へ配送してもらった。それ以外の資材はホームセンターで購入。
B設置の概要 
 アニマルネットは果樹用防鳥ネットと比較して野生動物の侵入防止効果が高いものの、高価で幅が狭いといった特徴があります。そこで鶏舎側面(軒下から地面)にはアニマルネットを設置し、地面に接する部分には重しとして塩ビパイプを結束し、ネットのめくり上がりを防止しました。設置以前はイタチなどによる獣害がありましたが、設置以降はなくなりました。また屋根上には換気口があり、さらに屋根と梁の間に隙間があるため、屋根全体を果樹用防鳥ネットで覆いました。ネットの鶏舎への固定は、ステイプル(大型のホッチキス)でネットを梁に固定して隙間をなくしました。設置手間は延べ3日、15名を要しました。
(2)ケース2(防鳥ネットを漁網で代用)
@農場 採卵鶏3,500羽飼養 平飼い 鶏舎は36m×7.5m×3.5m 5棟
A資材 ネットは漁網(無償)で代用、それ以外はケース1に準じる。
B設置の概要
 既に野生動物の侵入を金網で防いでいましたが、網目が大きいため(5角)スズメが侵入していました。そこで金網の外側に漁業で使用しなくなった廃棄漁網(網目2角)を防鳥ネットとして設置しました。漁網は十分な大きさがあるため屋根の高い鶏舎でもゆったりと覆うことができます。漁網の入手は漁業協同組合と交渉しました。この方法は、水産業が盛んな本県の特色を生かした低コストでネットを設置する有効な手段と考えられます。
 鶏舎の出入口は(図1)作業性と侵入防止効果を考えて、ネットを2重にし、中央のひもを引くと中央から左右にネットがまき上がるようにコートバンドをかけて設置しました。(出入口にカーテンレールを設置して、そこにネットを引っ掛けて開閉している例もあります。)また鶏舎南側にツル植物を植栽しネットに絡ませ、暑熱対策を行っています。設置には網加工も含め、延べ7日、14名を要しました。
 
 この機会に鶏舎を再点検して、破損があればすぐに修繕し、高病原性鳥インフルエンザ侵入のリスクを減らしましょう。

図1 出入口へのネットの設置