去る10月6日(土)、茨城県初生雛鑑別師会の創立30周年を記念して、「茨城県初生雛鑑別師会創立30周年記念初生雛雌雄鑑別大会」(以下、「鑑別大会」)が初生雛鑑別師(以下、「鑑別師」)16名、初生雛鑑別研修生(以下、「研修生」)8名が参加し、茨城県畜産センターにおいて開催されました。
 初生雛の鑑別は、1925年(大正14年)に日本人(増井、橋本、大野)の研究によって実用化された日本の技術であり、正確さ及び速度において、最も実用的な雌雄の鑑別法であると言われています。
 鑑別師は98〜100%の正確度で、1時間に1,000羽(6分で100羽)前後の雛を鑑別し、日本はもちろん世界各国の養鶏経営の効率化、養鶏産業の発展に寄与しています。
 現在、日本には218名(全日本初生雛鑑別師協会会員)の鑑別師が国内や海外で活躍しており、茨城県内では8名(茨城県初生雛鑑別師会会員)が活躍しています。
 茨城県初生雛鑑別師会は、鑑別師の全国組織である全日本初生雛鑑別師協会の中で唯一、県単位で活動している組織であって、毎年雛鑑別研修会や技術検討会を開催し鑑別師の技術向上に努めています。
 茨城県初生雛鑑別師会は昭和53年に設立されましたが、設立当時、県内では鑑別師が独自に活動、活躍しており、鑑別羽数の多少や孵化場からの連絡等に非効率な面が多くみられました。そこで、初生雛鑑別の連絡体制の整備等を通じて雛鑑別の効率化を図るため、県内の鑑別師11名により「茨城県初生雛鑑別師会」が設立されました。
 このことにより、孵化場からの初生雛鑑別依頼の窓口が一本化され、連絡調整、鑑別師の派遣が合理的、効率的に行えるようになるとともに、県内や県外からの初生雛鑑別依頼に対して、迅速かつ的確な対応が可能となりました。
 鑑別大会には、茨城(9名)、栃木(8名)、群馬(3名)、千葉(3名)、新潟(1名)の各県から、鑑別師及び研修生の合計24名が参加しました。
 鑑別大会では、孵化当日の卵用種の雛100羽を肛門鑑別により雌雄を鑑別し、それに要した時間並びに正確性を審査しました。雌雄の判定は解剖により確認し決定しました。
 成績順位の決定は得点の高い順とし、得点の算出方法は(社)畜産技術協会初生雛鑑別師資格検定規程により行いました。
 その結果、栃木県の阿久津正さんが第1位となりました。その得点は、98.1250で、100%正確に雌雄を鑑別(鑑別率100%)し、鑑別時間は5分0秒でした。以下、第2位は群馬県の岩瀬拡さんで、得点は98.0562、鑑別率100%、鑑別時間5分11秒、第3位は栃木県の梅宮建太さんで、得点は97.9375、鑑別率100%、鑑別時間5分30秒、第4位は栃木県の平野優一さんで、得点は97.5312、鑑別率100%、鑑別時間6分35秒でした。
 以上の4名(参加者の16.7%)が100%正確に雌雄を鑑別しました。
 第5位は茨城県の草野蕃さんで、得点は97.5026、鑑別率99%、鑑別時間4分2秒でした。茨城県内の鑑別師では、次いで第6位に菊地雄二さん、第9位に川又勝男さんが上位に入りました。
 今回の大会では、(社)畜産技術協会初生雛鑑別師資格検定規程により成績を判定しましたが、鑑別率(雌と雄の正解率)97%以下、鑑別に要した時間が8分を超えた場合は自動的に失格という基準が適用されたため、失格者が15名(62.5%)という結果になりました。失格者となった中には、全国大会で何回も上位に入っている鑑別師も含まれており、初生雛鑑別という仕事の厳しさが伺えました。
 そうした中で、研修生が第3位と第4位に入ったことは素晴らしいことであり、今後の活躍が大いに期待される結果となりました。