1 設立の必要性と果たす役割
JA茨城みどり管内の農業環境は、高齢化の進行・担い手の減少、輸入農産物の激増に伴い農産物価格の低迷等、極めて厳しい状況が続いています。
土地利用型農業を振興するためには、需要に応じた計画的な生産が求められており、特に水田を有効利用した麦・大豆の生産振興は、自給率の向上及び実需者の希望に沿った品質・生産性の向上が求められており、大きな課題となっています。
これらの解決のため水田を中心とした土地利用型の農業振興を図っていくと共に、受け手となる担い手が少ない状況を考え、JAが出資するJA指導型農業生産法人を設立し、農家の過剰な設備投資をなくし、しかも大切な財産としての優良農地を保全し、地域農業の維持発展に努めています。
また、大宮町農業公社の農地保有合理化事業と連結を図り、農地の受け手として計画的な作付けを実施し、あわせてJAのライスセンター・育苗センターの管理受託を行い、効率的な利用を図り、農作業受託作業に加えて、農業経営受託事業に取り組む必要がありました。具体的には次の5点に取り組みました。
@農業公社が行っている農地保有化事業の受け手
AJA主導での後継者・担い手の育成
B麦・大豆の団地化促進による米生産調整の達成
C荒廃地の管理
DJAの育苗センター・ライスセンター等の管理 受託
2 設立の経過
平成14年8月当社を設立、その契機となったのは、平成13年度T集落の10haの麦・大豆集団転作のJAによる全面作業受託でありました。
そこで、農業経営もできる農業生産法人を設立し、大宮町農業公社との事業調整をして、当JAの大宮地区を業務区域とし、大宮営農センターが管理運営するライスセンター、大型農機全部を貸与し、オペレーター職員を社員として再雇用しました。
この設立を待っていたかのように、新たに集落の集団転作、約17haを2年間受託することになり、事業がスタートしました。
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3 事業の推移
JAが行ってきた農作業受託事業の一部(大宮地区)を独立採算制にして切り離し、農業生産法人になることで、JAができなかった農地の所有が可能になり、地域の農地を管理できるようになりました。
農作業の受託では、トラクター、コンバイン、田植機など農家個人で設備投資が難しい農機具を当社が保有し、農作業を受託する。作業料金は町農業委員会で決めた価格としています。山間地ほど採算を考慮すれば避けたいが、そういうところほど作業受託の要望が高く、農地管理という目的のためには有益性ばかり考えていられない等の矛盾もでています。
これまでのJA職員から、専門的専従社員にオペレーターが変わり、機械の保守点検がよくなり、また、JA職員の現場作業も減少しました。
4 まとめ
現在、農業生産法人の設立が全国的に取り組まれています。JA遠州夢咲(静岡県)の大東特定農業法人、JA会津みどり(福島県)のグリーンファーム、JAいわて花巻などが水田農業確立対策事業(大規模集団転作)取り組んでいますが、同事業の集団転作助成金(10a約12万円)により法人の収支が確保されている状況であります。
当みどりサポートも同様で、この助成金が大幅に削減されれば、法人の経営が成立しないという共通の悩みを抱えています。このことに、行政もJAグループも注目すべきであると考えます。
各生産法人は、土地利用型農業経営に取り組む一方、自給粗飼料の生産、ブランド米の生産、野菜苗の育苗販売・雑穀の生産販売、除雪作業など、地域条件にあったユニークな事業に取り組んでいます。
みどりサポートは、今後、個別農家からの経営受託の拡大、野菜苗の育苗販売、干しいも用さつま芋の生産、他地区(旧町村)への業務拡大に取り組み、管内農業生産活動の地盤沈下を防いでいきます。
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