平成17年12月6日、水戸市の茨城県総合福祉会館において農林水産省、茨城県、(独)農畜産業振興機構並びに(社)茨城県栄養士会の後援のもと牛乳シンポジウムを開催しました。当日は肌寒い曇天のなか、酪農家、乳業メーカ、消費者など大勢の参加をいただきました。
  当協会会長大槻和夫の挨拶の後、シンポジウムを開会しました。

第1部  基調講演
  医学博士・管理栄養士の本多京子氏が「かしこく食べて牛乳美人に」という演題で講演を行いました。先生はスポーツ選手に対する栄養指導のほかにテレビや雑誌、書籍を通じて健康や栄養に関するアドバイスやレシピの作成など幅広く活動されている方です。講演要旨は次のとおりです。


(1)健康について
  @日本は平均寿命(男78歳、女85歳)も健康寿命も世界一の長寿国であるが、PPK(ピンピン暮らしてコロッと死ぬ)をめざしてさらに健康寿命を延ばしたい。A健康寿命は血管、骨、腸の各年齢に依存するので、それぞれの器官によいことを心がける。B生活習慣病は食源病ともいわれ、食事に大きく影響される。C現在は飽食時代といわれるが、若者に栄養バランスの偏りがみられる。

(2)骨について
  @日本人は胴長短足で骨折しにくい体型であるが、児童の骨折率が増えている。A老人では骨折がボケにつながるので要注意。B骨は骨を溶かす破骨細胞と骨を作る骨芽細胞の働きで毎日新陳代謝を繰り返しているので、日々カルシウムの補給が必要である。Cカルシウムの摂取が不足すると、血液中のカルシウム濃度を一定に保たせるために副甲状腺ホルモンの働きで骨のカルシウムが溶けて血液中に入る。Cこのホルモンが常に分泌されると骨密度が低下して骨粗しょう症の原因となり、また血液中のカルシウム濃度が高まって血管壁に蓄積して高血圧、脳の海馬に沈着して記憶障害を招く。D女性は出産により骨のカルシウムが溶け出し、また閉経後に骨のカルシウムの溶出を防ぐエストロゲンという女性ホルモンが低下するため、骨粗しょう症になりやすい。E大豆に含まれるイソフラボンはエストロゲンと同じ働きがあるので、大豆はとくに年配の女性に必須な食材である。

(3)腸について
  @日本人の腸が9mと欧米人の5mより長いのは、古来繊維の多い穀物を主食としたためである。A1日に必要な食物繊維は26gであるが、食生活が欧米化した現在は摂取量が14gと不足している。B便秘は主に心のストレスによって誘発されるが、これを防ぐには交感神経の興奮を抑えるカルシウムと繊維分の多い根菜を摂る。C大腸ガンは繊維だけでは抑えられず、腸内細菌のうち善玉菌を増やす必要がある。D腸が健康であれば、便はバナナ状である。E日本型食生活+牛乳は腸にやさしい食事法である。
(4)牛乳について
  @骨のカルシウムとマグネシウムの比は2:1であり、牛乳は10:1とマグシウムの割合が低いので、マグネシウムを多く含む大豆(納豆、きな粉)や青菜類、青汁と組合わせると骨の形成によい。A牛乳に含まれるオリゴ糖はビフィズス菌のエサになるので、腸内の善玉菌の増殖に効果がある。B牛乳を飲むと太る、またはコレステロールが高まると懸念する人もいるが、コップ1杯(200ml)の牛乳のエネルギーは138kcal、コレステロールは24mgと所要量(制限量)の8%程度と低く心配無用。C牛乳を含む動物性脂質と植物性脂質の摂取比は1:1が望ましい。D牛乳の良質たん白質によって免疫細胞が増え、免疫力が向上する。E牛乳には安眠と美肌効果もあり、健康と美容に最適な飲料である。

  講演では豊富な経験と知識をもとに内容の濃い話をソフトな口調で分かりやすく語りかけ、またご自身が見るからに健康的な体型のため説得力があり、会場から大変参考になったという声が聞かれました。

第2部  パネルディスカション
  茨城大学の長谷川幸介助教授をコーディネータに「からだにいいコト・牛乳に相談だ」というテーマで、パネリストの県PTA連絡協議会長の堤千賀子氏、県畜産センター酪農研究室長の関俊雄氏、いばらく乳業鰹務取締役の小本元氏、県酪農女性会議副議長の橘幸枝氏、潟Jスミ加工食品本部マネージャーの田所好美氏から牛乳との関わりについてそれぞれの立場で意見が述べられました。
  主な発言は次のとおりです。@知育、徳育、体育に食育が加えられたのは食生活の見直しが急務であるとの背景がある。A児童に偏食・固食・個食や朝食欠食などがみられ、学校給食まかせの親にも責任がある。B学校給食では牛乳を飲んでも、日常の習慣にはなっていない児童が多い。C小中学生の骨折率は昭和45年に比べて平成11年は2倍に増えている。D酪農家に嫁ぎ妊娠中に牛乳を大量に飲んだところ、生まれた子は4カ月で歯が生え、全く骨折せずに育ち、いまや見上げるほどの大男に成長した。E骨密度が低下する前の高校生など若者が牛乳を飲み続けると、現在1,000万人といわれる骨粗しょう症の問題が解決する。F親が率先して牛乳を飲むことが大切である。G家で牛乳を飲む習慣があるかないかが家庭バランスを推し量るバロメータとなる。
  討論のまとめとして、長谷川先生から健康年齢は個別的であり、生活習慣によって決まるので、「からだにいいコト・牛乳に相談だ」を実行しようと結ばれました。
  なお、第1部と2部の合間に受付ロビーにおいて牛乳と米粉パンの試食コーナーを設けたところ大変好評でした。
  最後になりましたが、師走のご多忙な時期に参加された皆様に対して厚くお礼申し上げます。


 南関東競馬場外発売所「オフトひたちなか」において、平成18年3月21日(火・祝)(大井競馬開催、開場予定時刻14:30、京浜盃(G2)競走実施日)に、先着500名様に畜産品をプレゼントいたします。さらに、当日、「オフトひたちなか」の有料指定席(500円〜)をご利用された方の中から、抽選で50名様に、茨城県の銘柄畜産品や乳製品等をプレゼントいたします。
 当日はぜひ、「オフトひたちなか」にお越しください。
《詳細》 http://ibaraki.lin.gr.jp/event/kokai.html

〈アクセス〉
    JR水戸駅より勝田駅経由で専用送迎バス
    (運行間隔約1時間)
    東水戸道路  ひたちなかI.Cから 車で約5分

オフトひたちなか:ひたちなか市新光町65
                          TEL  029−265−5800