近年、高病原性鳥インフルエンザの発生が世界各国で確認されております。特に昨年12月以降、隣国の韓国や中国、タイ、ベトナム等の東南アジア等においても発生が認められました。本病は伝染力が非常に強く、人にも感染する例が報告されるなど最も注意しなければならない家畜の伝染病の一つであります。我が国では平成16年1月12日山口県で79年ぶりに発生が確認され、その後大分県、京都府でも発生し、合計4例の発生が確認されております。このため、本病が発生した場合の防疫活動は生産者、関係団体、行政が一体となって取り組むことが重要で、特に初動防疫の良し悪しが流行防止の成否になります。養鶏農家の皆様には日常衛生管理はもとより毎日の飼養鶏の観察を励行し、特に突然の死亡鶏の増加等が認められた場合は、管内の家畜保健衛生所、市町村、獣医師等に必ず届け出るようお願い申し上げます。 今回の本病の発生に対し、本県で実施した主な防疫対応を説明いたします。 1.異常鶏の早期発見・早期届け出の徹底 鶏飼養農家及び関係団体に対してはがき等により発生情報を通知し、消毒の実施や異常鶏の早期発見・届け出を呼びかけてきました。また、大分県で愛玩鶏の発生があったため愛玩鶏飼養者向けのリーフレットを作成し、市町村の回覧板等を活用し予防対策の周知をいたしました。 2.立入検査 3月第1週目に鶏飼養農家全戸の立入調査を行い、異常鶏の有無の確認、さらに過去1週間程度の死亡羽数について調査しました。 3.相談窓口の設置 鳥インフルエンザ発生当初より県内4カ所の家畜保健衛生所に相談窓口を設け、県民等からの鳥インフルエンザに関する正しい知識の啓蒙につとめました。 相談の受付は合計で1,166件(2月18日から4月15日まで)あり、内訳は一般418件、市町村391件、県機関93件、その他264件でした。 4.モニタリング調査 (1)高病原性鳥インフルエンザ防疫マニュアルに基づくモニタリング調査 高病原性鳥インフルエンザの県内への侵入をいち早く把握するため、昨年5月から毎月県内4農場(各10羽、計40羽)で、高病原性インフルエンザの検査を実施してきました。さらに、今回の国内の高病原性鳥インフルエンザの発生により、2月から調査農場を5農場にしました。
|
その結果、3月まで抗体、ウイルスとも検出されず、県内の清浄性を確認しています。また、16年4月からは調査対象農家数を各家保3農場、計12農場に拡大し毎月検査を実施します。 (2)緊急的な清浄性確認検査 3月上旬緊急的に県内38市町村50農場で、3月下旬と4月上旬にウイルス分離検査を実施しましたが、高病原性鳥インフルエンザウイルスは分離されませんでした。また、今年度につきましても流行期と思われる1月と3月にモニタリング調査農場以外の50農場で清浄性確認検査を実施します。 5.野鳥の検査 県生活環境部(環境政策課、各地方総合環境保全課)と農林水産部(畜産課、各家畜保健衛生所)が連携し2月19日以来、死亡野鳥を家畜保健衛生所で検査してきました。さらに、環境省が実施するカラス等からの鳥インフルエンザウイルス調査についても4月上旬まで県内分のサンプリング行いましたが、ウイルスは分離されませんでした。 今後もウエストナイル感染症の調査等で死亡鳥を採取した場合、鳥インフルエンザの検査を実施します。
6.放置鶏の検査 県警本部(会計課、各警察署)、県農林水産部(畜産課、各家畜保健衛生所)、各市町村が連携協力し、各地に放置された愛玩鶏を回収し、計81件202羽について家畜保健衛生所で簡易検査キットにより検査を行いましたが、鳥インフルエンザが疑われる放置鶏はありませんでした。 7.死亡鶏の報告 高病原性鳥インフルエンザの発生を早期に把握するため、家畜伝染病予防法第52条の規定に基 づき、1,000羽以上の家禽(鶏、アヒル、ウズラ)を飼養する農場での死亡羽数を1週間に1回、3月7日より当分の間家畜保健衛生所に報告することが義務化されました。 4月末現在まで304農場の報告では高病原性鳥インフルエンザを疑う報告はありませんでした。 国内の発生に対しての移動制限は4月13日に総て解除されましたが、本県では以上の対応により高病原性鳥インフルエンザの清浄性の確認を実施しました。 |