畜産課長に就任し、3度目の春を迎えることとなり、また新たな気持ちで、全力を尽くして頑張ってまいりますのでよろしくお願いいたします。
いま、日本の経済はシステムの構造改革が急ピッチで進められており、深刻なデフレ不況が続いております。イラク戦争の長期化が懸念される中経済の先行きは不透明な現状にあり、必ずしも先行きは明るいものとはなっておりません。
一方、畜産情勢をみますと、畜産物の産地間競争の激化や輸入畜産物の増大が畜産物価格の不安定さを招いております。これらに対処し本県の畜産経営の健全化を図るには、家畜の生産性向上と経営の合理化による生産コストの削減への取組みが重要であり、さらに安全で高品質な畜産物生産体制の構築を図ることが必要であります。
特に、一昨年国内で初めて牛海綿状脳症(BSE)が確認されたことに続く、畜産物の偽装表示事件等により、消費者の畜産物に対する信頼が大きく損なわれております。この信頼を回復するためには関係者が一丸となって取組むことが大事であると考えております。このため、本年度は@生産基盤の増強、A畜産経営の体質強化、B安全な畜産物の生産、C畜産環境対策の充実、D試験研究の推進と指導体制の充実を大きな柱とし、以下の施策を推進してまいります。
生産基盤の増強対策につきましては、家畜改良による生産能力の向上に努め、産肉性に優れた肉用牛の生産と高品質な牛肉生産を推進するとともに、系統豚や能力の高い種豚の造成を進め、高品質な豚肉生産体制の整備を推進してまいります。
また、水田を活用した飼料作物の生産や栽培技術の高度化により、飼料自給率の向上のための取組みを進めてまいります。畜産経営の体質強化対策につきましては、BSEの発生により経済的に影響を受けた大家畜経営農家に対して、いまだにそのダメージが十分に回復していないことから引き続き経営支援対策を実施してまいります。また、肉豚の価格補償事業を実施する等経営の安定化に努めてまいります。
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さらに、本県の銘柄畜産物である「常陸牛」、「ローズポーク」、「奥久慈しゃも」のブランド力の向上のほか、特定JAS規格に基づき認定された「いばらきの地鶏」の普及に努めるとともに、ローズポーク生産集団を育成することによる高品質肉豚生産基盤の強化を図ってまいります。こうした経営の安定対策と生産性向上対策により、経営の合理化を進め、より生産性の高い経営体を育成してまいりたいと考えております。
安全な畜産物の生産対策につきましては、消費者の視点に立ち安全・安心な畜産物を供給する生産体制の確立が緊急の課題となっております。このため、安全な畜産物を生産するために必要なHACCPに準じた生産管理マニユアルを作成するほか24ヶ月例以上の死亡牛のBSE全頭検査の実施、個体識別番号を活用した牛肉のトレーサビリテイをモデル的に実証展示すること等、畜産物の信頼性の回復に取り組んでいくこととしております。
畜産環境対策につきましては地域社会に根ざした畜産経営を確立するためには、家畜排せつ物の適切な処理が必須であり、平成16年10月末までに「素掘り」・「野積み」等の家畜排せつ物の不適切な処理を全面的に解消するため、関係機関・団体が一体となった「家畜排せつ物処理施設整備ローラー作戦」を展開し、施設整備の促進に努めてまいります。
試験研究の推進と指導体制の充実につきましては、畜産経営技術の高度化に対応した指導体制の確立と先端技術の活用や家畜排せつ物の低コスト処理の技術開発を初めとした試験研究の推進に努めてまいります。
こうした対策を円滑かつ効率的に実施に移すことが重要なことから、畜産課内の体制をこれまでの畜種ごとから、施策を効率的に推進できる体制に改め、「衛生・安全G」、「生産振興G」、「経営・環境G」とし、畜産課総力を挙げて取組んで参る所存です。
畜産業界は現在大変な変革期に当たっており、現在積み残されている畜産課題の解決のために、畜産農家の方はもとより、関係市町村、団体が一体となり対応することが必要でありますので、皆様の一層のご協力を重ねてお願いいたします。
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1.生産基盤の増強
事項名 |
予算額 |
摘要 |
家畜改良増殖対策事業
乳用牛総合改良推進事業
高品質生乳生産牛群整備事業
農協有家畜導入事業
広域検定推進事業
優良種豚育種効率向上推進事業
優良国産鶏作出体制整備事業
優良受精卵供給確立対策事業
牛海綿状脳症対応自給飼料確保
緊急対策事業緊急対策事業
稲発酵粗飼料増産事業
畜産基盤再編総合整備事業
飼料特別対策事業 |
7,200
860
2,760
17,336
7,981
4,483
30,000
16,000
72,218
6,964
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乳用牛の能力を検定し、群としての能力の向上を図るとともに、
飼養管理の改善に資する。
乳用牛の導入を行うための基金造成に対して補助することにより、
経営に合理化を図る。
肉用牛の導入を行うための基金造成に対して補助することにより、
肉用牛資源の拡大を図る。
優良な肉用繁殖雌牛群の整備と計画的な交配により、産肉性の高い
種雄牛の造成を図る。
民間の種豚生産者を組織化して種豚改良群を確保することにより、
能力の高い種豚の生産を図る。
優良国産鶏を普及することにより、養鶏農家の経営の安定化と実用
鶏の作出を図る。
公共育成牧場を活用した供卵牛の休養制度の採用により、優良受精
卵供給体制の確立を図る。
稲発酵粗飼料の収穫・調製用機械の導入に対し補助することより、
自給飼料の増産を図る。
未利用地の集積による草地造成・整備による自給飼料生産基盤の
強化並びに生産施設及び家畜排せつ物処理施設の整備をすること
により中核的酪農家の育成を図る。
飼料増産推進運動の展開や放牧利用技術の確立により、飼料作物
等の生産性の向上及び利用の促進を図る。
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2.畜産経営の体質強化
事項名 |
予算額 |
摘要 |
牛海綿状脳症対応経営維持資金利子補助金
大家畜経営維持資金利子補助金
BSE対応畜産経営安定資金利子補助金
広域農業開発事業対策
畜産振興資金貸付金
畜産物流通対策事業
肉畜鶏卵生産出荷調整事業
肉用子牛価格安定対策事業
畜産物価格補償事業
銘柄畜産物対策事業
いばらきの地鶏銘柄確立事業
常陸牛銘柄確立事業
地域肉豚生産集団育成事業
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6,500
12,700
346,541
841,000
3,298
1,330
12,954
350
2,244
2,500
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BSEの発生により経済的に影響を受けた大家畜経営者等に対し、
融資機関がら借受けた大家畜経営維持資金、BSE対応畜産経営
安定資金に対する利子補給を行うことにより、大家畜経営の安定
化を図る。
広域農業開発事業により整備した施設等の譲渡に伴う償還事務と
参加農家の経営安定対策を行う。
畜産関係団体が実施している経済事業を円滑に推進する資金を融資
することにより、畜産農家の経営の安定と畜産物の流通合理化を図る。
肉豚、鶏卵、子豚の生産出荷動向予測調査の実施により、鶏卵等の
安定的な生産と経営の安定化を図る。
肉用子牛生産者の経営の安定化を図るため、肉用子牛価格の低落時
に生産者補給金を交付する事業の事務費。
豚肉卸売市場価格が基準価格を下回ったときに、基準価格と価格差
補填を嫉視することにより、養豚生産者の経営の安定化を図る。
特定JAS規格に基づき登録認定された「いばらきの地鶏」のPR活動に
補助することにより地鶏の普及と銘柄の確立を図る。
常陸牛の品質向上と消費者へのPR活動に補助することにより、
銘柄の普及を図る。
銘柄豚肉(ローズポーク)生産を目指す集団活動に補助することにより、
生産集団の育成とローズポーク生産基盤の強化を図る。
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3.安全な畜産物生産
事項名 |
予算額 |
摘要 |
家畜衛生対策事業
監視・危機管理体制整備対策事業
生産性向上対策事業
畜産物安全確保対策
牛海綿状脳症発生防止指導事業
畜産物生産ガイドライン策定事業
家畜固体識別システム化事業
情報活用促進指導事業
情報円滑化事業
牛海綿状脳症検査体制整備事業
死亡牛牛海綿状脳症検査補助委託事業
家畜伝染病予防事業
自衛防疫強化総合対策事業
自衛防疫強化総合対策事業
地域防疫推進事業
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7,730
8,932
8,372
1,094
1,300
526
2,000
83,208
18,859
37,435
8,163
23,080
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家畜の伝染性疾病の発生予防、まん延防止措置を的確に
実施するための事前対応型防疫体制の整備を図る。
生産現場で問題となっている疾病について検査・調査を実施し、
防除マニュアルの作成により、家畜の損耗防止と生産性の向上を図る。
動物由来の感染症対策の推進により畜産物の安全性の確保対策の
充実強化を図る。
大家畜飼養農家に対する飼料給与の適正化指導を実施することにより、
安全な畜産物生産を図る。
消費者から信頼される畜産物の生産を普及するため、これからの
いばらき畜産を目指すHACCPに準拠した生産管理マニュアルを策定する。
牛の個体識別のための情報の管理及び伝達に関する特別措置法に基づく
牛への耳標の装着と異動の記録報告の指導事務費。
個体識別番号を活用した「牛肉のトレーサビリティー」をモデル的に実施する。
24ヶ月齢以上の全ての死亡牛についてBSE検査を実施する。
死亡牛の全頭検査を円滑に実施するために、サンプルの採取や死亡牛の
管理業務を委託する。
家畜伝染病の発生予防及びまん延防止のための検査等を行う。
各種家畜伝染病の発生を防止するため実施する自衛防疫活動に対し
補助することにより、自衛防疫組織の強化を図る。
口蹄疫等悪性伝染病の発生を想定した、市町村単位の防疫体制を整備する。
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4.畜産環境対策の充実
事項名 |
予算額 |
摘要 |
資源循環型確立指導事業
資源循環型確立事業
畜産環境リース事業
いばらき畜産環境保全促進事業
地域資源循環畜産環境対策事業
畜産資源リサイクル事業
液状コンポスト活用地域育成モデル事業
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3,817
544,711
199
23,000
1,000
856
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畜産農家に対する巡回指導や実態調査を実施することにより
畜産経営に起因する環境問題を防止する。
畜産農家の組織化や耕種農家との連携による家畜排せつ物処理施設等の
整備に対し補助することにより、地域環境の保全を図る。
「素掘り」、「野積み」を解消するために家畜排せつ物処理施設をリース事業
により整備するための事務費
畜産農家の組織化や耕種農家との連携による家畜排せつ物処理施設等の
整備に対し補助することにより、地域環境の保全を図る。
「茨城県たい肥利用促進協議会」が行う活動に対し補助することにより、
良質堆肥の生産や堆肥利用の促進を図る。
液状コンポストを活用するモデル地域を育成することにより、畜産経営の
安定化を図る。
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5.畜産指導体制の充実
事項名 |
予算額 |
摘要 |
畜産経営指導事業
畜産経営指導体制円滑化推進事業
畜産経営指導体制円滑化推進事業
畜産経営改善技術指導事業
畜産協会組織強化事業
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8,968
1,180
15,723
10,176
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経営指導体制を整備し、畜産コンサルタント団による指導や研究会・研修会
を開催することにより、畜産経営の高度化を推進する。
畜産に関連した情報の収集、収集した情報の分析、及び畜産農家への
情報の提供を行うことにより、時代に即応できる畜産経営の確立を図る。
畜産コンサルタントを設置し、畜産農家に対する経営指導を行うことにより、
畜産経営の高度化を図る。
畜産情勢の変化に対応した経営指導ができる体制を整備するため、
(社)茨城県畜産協会の組織体制の強化を図る。
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