総論 / 貸付対象者 / 貸付条件 / 経営改善計画 / 融資機関支援計画/審査基準
経営改善指導の強化 / 債務保証 / 他の負債整理資金との関係 / その他 / 資料


1 総論

 (問1) 大家畜・養豚特別支援資金とはどのような資金でしょうか。

(答)
  大家畜・養豚特別支援資金は、酪農経営、肉用牛経営又は養豚経営(以下「大家畜・養豚経営」という。)に係る借入金の償還が困難となっている資金を長期低利資金へ借り換える負債整理資金です。
  両資金は、毎年計画を見直すことを前提として、
  (1)  毎年の約定償還額(元金+利息)のうち償還不能なものを借り換える「経営改善資金」
  (2)  親等から後継者が経営を継承すると認められる大家畜・養豚経営に対して経営の安定に必要な範囲で既借入金を一括借り換えるのに必要な資金を融通する「経営継承資金」
 の2資金で構成されています。



 (問2) 大家畜・養豚特別支援資金の留意点について。

(答)
  大家畜・養豚特別支援資金は従来の資金同様、営農負債を長期低利の資金に借り換えることにより経営再建を図る対策として措置されています。
  その留意点は以下の通り。
  (1)  借入者への経営改善指導事業の更なる強化を図るため、県団体(畜産協会等)が間接補助事業実施主体として事業を実施。
  (2)  借入の経営改善計画の承認は、都道県知事又は審査委員会を構成する団体であって知事が指定する団体の長も可能とし、当該承認に係る協議先は(独)農畜産業振興機構理事長。
  (3)  大家畜・養豚経営における毎年の借入金の償還額の軽減を目的に、経営改善資金のうち特認及び残高一括借換に係る償還期間及び据置期間を経営継承資金と同様に設置。
  (4)  資金の貸付実行日は年2回(5月末及び11月末)とし、畜産情勢等を勘案し必要に応じて別に理事長が定めることができるとしている。



  (問3) 大家畜・養豚特別支援資金において、「経営改善資金」を借り受けた後に「経営
        継承資金」を借り受けられますか。
          また、「経営継承資金」を借り受けた後で「経営改善資金」を借り受けることについて
        はどうですか。

(答)
  1  「経営改善資金」を借り受けている経営が「経営継承資金」の借受要件を満たすこととなった場合には、「経営継承資金」を借り受けることは可能です。

  2  一方、「経営継承資金」を借り受けている経営において、経営主の病気、天災等やむを得ない理由により当初計画を上回って償還困難な額が生じ、これを対策しなければ計画達成が困難と認められる場合には、必要最低限の額に限り「経営改善資金」により借り換えることが可能ですが、借換えに当たっては、計画内容の十分な検討を行って下さい。(再度、経営継承資金を借り受けることはできません。)



 (問4) 大家畜・養豚特別支援資金を大家畜・養豚特別支援資金で借り換えることは可能
        ですか。

(答)
  同じ対策の大家畜・養豚特別支援資金を再度大家畜・養豚特別支援資金で借り換えることは原則出来ませんが、以前の対策で措置した畜産特別資金等については、大家畜・養豚特別支援資金で借り換えることは可能です。




2 貸付対象者

 (問5) 貸付対象者の要件である「借入年度を含む近年に約定償還金の一部の返済が可
      能であること」とはどのようなことでしょうか。

(答)
  1  この要件は、再建の見通しのないものを貸付対象者から除外するための規定です。ただし、病気、事故・天災等やむを得ない事情又は経営改善のための規模拡大等による一時的なものであると判断された場合、この限りではありません。

  2  これまでも過去の経営状況により判断いただいていますが、大家畜・養豚経営の直近数年間の経営状況を分析した上で判断することが重要となりますのでご注意下さい。



 (問6) 経営継承資金の要件である「現に大家畜・養豚経営に従事している概ね40歳以
      下の後継者が、経営継承資金の貸付年度又は将来において当該大家畜・養豚経
      営の主たる従事者となることが認められること」とはどのように確認すればよいでしょ
      うか。

(答)
  1  後継者が当該経営の主たる従事者となることについて、後継者と現経営主の両者が了承することを証した書面によって確認します。

  2  書面の内容等については、特に示していないものの、前資金の時に使用していた確認書に準じて作成願います。

  3  なお、本資金の対策年度以前に、「税制上の経営主の変更」を行っている場合については、既に後継者によって経営が継承されていることから本資金の対象となりません。



 (問7) 貸付対象者が、貸付対象部門と関連のある事業、例えば食肉販売業、飼料販売業
      等を営んでいる場合、どのように対処すべきでしょうか。

(答)
  このような場合、貸付対象者の当該大家畜・養豚経営は、関連事業部門と密接な関わりを有していることから、要領で定められている計画書の様式だけでは資金貸付の必要性等について十分な審査を行うことが困難である場合もあるので、関連のある事業の決算書等の提出を求めるなど、次の点に留意することが重要です。
  (1)  同一法人で複数事業(例えば小売部門)を営んでいる場合は、生産部門(例えば肥育部門)から小売部門への振替額(生産部門では販売価格、小売部門では仕入れ価格となる)が把握できる資料等の提出を求め、十分な審査を行うこと。
  (2)  別法人で複数事業を営んでいる場合は、生産部門以外の関連事業の決算書の提出を求め、生産物の販売価格等について十分な審査を行うこと。



 (問8)  後継者が農業経営・技術等を取得するため の学校等(以下「学校等」という。)に就
         学している場合、経営継承資金の貸付対象とすることは可能ですか。

(答)
    
  農業近代化資金等については、「貸付対象者が60歳以上であるときは、その後継者が現に主として農業に従事(学校等に就学している場合等を含む。)しており・・・」となっており、後継者が学校等に就学している場合においても、経営主に対して資金の貸付を行うことができます。

  大家畜・養豚特別支援資金については、経営改善資金について、「・・・貸付対象者が60歳以上である場合には当該者の大家畜・養豚経営に係る後継者が確定していること。」となっており、後継者が学校等に就学している場合においても、経営主に対して資金の貸付を行うことが可能と考えられます。

  しかしながら、経営継承資金について、「現に大家畜経営に従事している概ね40歳以下の後継者が、借入れを希望する年度以降において当該大家畜・養豚経営の主たる従事者となることが認められること」とされており、学校等に就学している後継者は、現に大家畜・養豚経営に従事しているとはいえないので貸付対象とはなりません。

  この場合、後継者が学校等を卒業して大家畜・養豚経営に従事するまでの間、改善支援資金の借受を行い、後継者が卒業した後、経営継承資金の借受を行うこと等により対応が可能です。



 (問9) 大家畜・養豚特別支援資金の貸付回数とスケジュールについて。

(答)
  大家畜・養豚特別支援資金の貸付は原則として5月31日及び11月30日とするが、畜産情勢等を勘案し機構理事長が別に定めることとしています。貸付にあたっては、貸付前の機構理事長ヒアリング及び協議に間に合うように、各都道府県で計画の審査を行う必要があります。



 (問10) 限度額の関係で、経営主(夫)とその妻がそれぞれの名義で借り受けている営農
         負債について、経営主(夫)が一括して大家畜・養豚特別支援資金で借り換えること
         は可能か。

(答)
  農業近代化資金等については、家族経営協定を締結しており、@経営のうち一部の部門について主宰権があり、かつ、Aその部門の経営の危険負担及び収益の処分権があることが明確になっていることを条件に、経営主以外の農業者を貸付対象としています。

  しかしながら、大家畜・養豚特別支援資金については、「貸付対象者が借り入れた大家畜経営に必要な資金のうち、償還が困難であるもの」とされているので、妻名義の営農負債について、経営主(夫)が一括して借り換えることはできないと考えられます。

  この場合、妻名義の営農負債について経営主(夫)が妻が行っていた部門経営と一括して債務引受を行うこと等により、経営主(夫)の営農負債にすることにより、大家畜・養豚特別支援資金での対応が可能です。



 (問11) 貸付対象者要件に、農業環境規範に基づく点検を行うことが出来る者であること
         とされていますが、どのような背景があるのでしょうか。

(答)
  「環境と調和のとれた農業生産活動規範(農業環境規範)」は、環境との調和なしに生産活動を長期的に維持することはできないという考えから、農業者が取り組むべき環境との調和のための基本的な取組の内容について示したものであり、その実行状況については、農業者自らが点検シートにより点検することとされています。

  環境規範は、食料・農業・農村基本計画において、「環境問題に対する国民の関心が高まる中で、我が国農業生産全体の在り方を環境保全を重視したものに転換することを推進する」との考えの下、「農業者が最低取り組むべき規範を策定し、平成17年度より可能なものから、その規範を実践する農業者に対して各種支援策を講じていくこととする(クロス・コンプライアンス)」との方針が定められていることから、大家畜・養豚特別支援資金の借入者にあってもこれに取り組むことを要件としたものです。



 (問12) 農業環境規範の点検とは具体的にどのように行ったらよいのでしょうか。
          また、新規借入者のみが取り組めばよいのでしょうか。

(答)
  点検は、「環境と調和のとれた農業生産活動規範について(平成17年3月31日付け16生畜第8377号 農林水産省生産局通知)」に示されている様式、または都道府県等が定めるこれと同様以上の内容を含む様式(点検シート)を用いて、借入者自身で年に1回行います。点検の結果、実行が十分でない点等が明らかになった場合はその改善に努めることが重要です。

  この点検は、 新規借入者のみならず、既に畜産特別支援資金を借受けている者も実施して下さい。

  なお、点検シートは、求めがあった場合に提示出来るよう、借入者本人が保管して下さい。




3 貸付条件

 (問13) 大家畜・養豚特別支援資金の借換対象資金は何ですか。

(答)
  大家畜・養豚特別支援資金は、営農に必要な資金を借り受けたために生じた負債(いわゆる「営農負債」。)の借換えのための資金です。当該資金の借換対象資金としては、
 (1)農協系統一般資金
 (2)農業近代化資金、(株)日本政策金融公庫資金等の制度資金
 (3)一般金融機関資金
 (4)その他借換を実施することにより経営改善及び安定が図られると認められる資金
となります。

  なお、次のような負債等の借換えは対象となりません。
 (1)生活及び農外事業に必要なものとして借り入れた負債
 (2)(独)森林総合研究所又は土地改良事業の負担金その他借入金以外の負債
 (3)営農勘定、買掛未払金等の貸越勘定等に係る負債



 (問14) 貸付対象者の要件である飼養頭数の規模について、複数の経営(例えば酪農
          と乳用種肥育経営)を行っている場合は、どのように考えれば良いのでしょうか。

(答)
  貸付対象者の要件である飼養頭数の規模については、その換算率は別添の別表1〜4によります。

  複数の経営を同時に行っている場合の貸付対象の判断となる飼養頭数は、主たる経営の頭数を別表1〜4の換算率により加算した頭数とし、この頭数がおおむね実施要領に定められた、主たる経営の飼養頭数規模以上の場合、対象となります。




 (問15) 実施要綱別添1の第2の1の2)の(9)のイの(ア)に規定する知事特認の要件で
          あるbについて、「遊休資産の処分等」とは、具体的にどのようなことなのか教えて
          下さい。

(答)
  大家畜・養豚特別支援資金は、必要額の借換と併せて経営に対する指導を実施する資金であります。

  本資金借入希望者は、過大な設備投資や既に使用されていない資産を有している場合が多く見られます。

  このため、償還財源の圧縮による経営改善に努めることを明文化しているものです。



 (問16) 営農勘定、買掛未払金等の貸越勘定等は、借換対象となりますか。

(答)
  営農勘定等の素畜費、飼料費は、肥育牛等を販売する時点で清算可能なため、本資金の借換対象になりません。しかしながら、営農勘定等に素畜費が累積し、肥育牛等の棚卸評価額を上回り固定化している経営も見られることから、固定化した部分として、営農勘定、買掛未払金等から、家畜、飼料等の棚卸評価額を差し引いた額を証書に書き替える等借入金とした場合には、借換対象とします。



 (問17) 固定化した部分として営農勘定、買掛未払金等を証書に書き替える時、家畜、
          飼料の棚卸評価額を差し引くこととなっていますが、この評価額の基準はどのよ
          うに考えるのでしょうか。

(答)
  棚卸評価額の算出方法には、原価法、時価法等があり、いずれの方法を用いてもかまいませんが、期首と期末の評価方法を同一にする必要があります。



 (問18) 据置期間を設ける場合の考え方はどのようなものですか。

(答)
  投資関連資金の場合には、事業効果が発現するまでの間は、償還財源の確保が難しいことから、一定の据置期間を設定しているところです。
  一方、負債整理資金の場合、経営改善効果が発現するまでに一定の期間を要するものの、据置期間中は残高が減少しないことに加え、据置期間の分だけ元本の償還期間が短縮し、元本償還時の償還負担が増加することとなります。
  経営改善資金は3年以内(特認は5年以内)、経営継承資金は5年以内の据置期間を償還期間の内数として設定することが可能となっていますが、据置期間は必要最低限の年数とし、早期に元本の償還を開始するよう、計画作成に指導して下さい。



 (問19) 新規投資の取扱いはどのようにしたらよいのでしょうか。

(答)
  大家畜・養豚特別支援資金においては、経営改善計画書に記載されていない新規投資がその後の当該計画の達成の支障となることが想定されることから、現有施設の収容能力を超えた規模拡大、飼養管理方式の改善等に係る新規投資については、経営状態を勘案し慎重に判断する必要があると考えます。

  なお、新規投資については、真にやむを得ない場合を除き、その妥当性や経営改善効果等について、審査委員会が審査し、承認して下さい。



 (問20) 大家畜・養豚特別支援資金には貸付限度額が設定されていますか。

(答)
  本資金の貸付限度額は定めていません。貸付額は、個々の大家畜・養豚経営の経営改善計画の内容に応じて判断して下さい。




4 経営改善計画

 (問21) 経営改善計画の各年の計画期間は、どのように設定したらよいのでしょうか。

(答)
  経営改善計画は、原則として、1〜12月の計画期間としますが、当該借入者の決算時期等に合わせて都合のよい期間で設定して差しつかえありません。
  ただし、特別の事情(農協の営農年度の変更等)がない限り、当初設定した計画期間は変更しないようにして下さい。



 (問22) 「経営収支計画」における経営費は、いつの時点を計上したらよいのでしょうか。

(答)
  経営改善計画書の「経営収支計画」は、償還財源を算出するため現金収支を算出するものです。このため、当該年の現金決済及び当該年以前の買掛未払金等の清算額を記入する必要があります。
  従って、経営費の決済が2カ年以上にわたる場合は、当該年に支払う現金部分について計上して下さい。



 (問23) 経営改善計画書を見直す際、経営の悪化により経営収支計画の償還財源の実
          績が計画より少なくなり、負債整理計画の実質過不足がマイナスとなる場合はどの
          ようにしたらよいでしょうか。

(答)
  経営改善資金は、見直し期間中、毎年度作成しますので、不測の事態等により経営収支計画が達成できず負債整理計画の実質過不足がマイナスとなる場合であっても、当該計画見直しにより、翌年に調整されることになります。

  具体的には、当該年度の実績過不足のマイナス分を翌年の前期繰越欄に繰り越します。翌年の償還財源が繰越分だけ減少するので、対策額が増加し、間接的に対策されることとなります。
  ただし、借換え額は、当該年の大家畜・養豚経営に係る借入金の約定償還額の範囲となります。



 (問24) 大家畜・養豚特別支援資金について、経営改善計画及び支援計画の見直しを
          行った場合の機構理事長協議は要しないと規定されていますが、貸付金額等の
          機構理事長協議はどのようにすればよいのですか。

(答)
  経営改善計画及び支援計画は資金貸付後5年間(都道府県知事等が必要と認めた場合にあっては10年以内)にわたり見直しを行うこととしており、、実施要綱別添1の第2の1の2)の(11)のオの規定に基づき、審査委員会を開催して承認する必要がありますが、同項ただし書きにより、見直しに係る機構理事長への協議は要しないこととされています。

  よって、貸付金額等の機構理事長への協議については、新規貸付がある場合にのみ協議を要することになります。




5 融資機関支援計画

 (問25) 融資期間は支援計画を提出する際、大家畜・養豚経営の作成した、経営改善計
          画の妥当性や償還の可能性について意見を付すこととしているが、そのポイントは
          何ですか。

(答)
  融資機関が支援計画及び経営改善計画を都道府県県知事等に提出する際、経営改善計画について意見を付することを求めています。
  これは、融資期間が借入を希望する大家畜・養豚経営における負債の発生要因の分析を行った上で、経営改善のための今後の指導体制を強化、推進することにより、経営の再建が図られると判断した根拠等を示してもらうためのものです。




 (問26) 融資機関が銀行、信用金庫及び信用組合の場合、融資機関支援計画はどう作
          成するのですか。

(答)
  融資機関は、支援計画において償還条件の緩和等の措置内容を記載するとともに、飼料会社、食肉販売業者等の関係機関と協議し、大家畜・養豚経営の改善のための指導方法等について記載して下さい。




6 審査基準

 (問27) 都道府県が定めた審査基準は適宜見直す必要がありますか。

(答)
  大家畜・養豚特別支援資金他の制度資金と比較して、本資金の保険事故率が高いことから、都道府県の実情にあった審査基準の作成を義務づけているところです。
  ところで、畜産経営を取り巻く環境は、年々厳しさを増しており、審査基準についても必要に応じて見直しを図り、適切な経営指導に役立てて下さい。




7 経営改善指導の強化

 (問28) 平成25年度から大家畜・養豚経営の経営状況について重要項目を月次モニタリ
          ングの手法により把握していることとしていますが、その目的及び対象はどうす
          ればよいですか。

(答)
  大家畜・養豚経営の経営状況について、経営技術や収支に係る重要項目を月次モニタリングの手法により迅速かつ定期的に把握することにより、的確な改善指導方策を講じることとするものです。

  月次モニタリングの対象となる大家畜・養豚経営は、原則として濃密指導の対象者を対象とし、各都道府県における選定基準に即して選定して下さい。




8 債務保証

 (問29) 大家畜・養豚特別支援資金等の畜産特別資金の貸付けに際し、「連帯保証人の
          なり手がいない」、「担保が不足する」等の理由から、借入が困難となっている声が
          一部に聞かれますが、このような場合にはどのようにすればよいのでしょうか。

(答)
 
  大家畜・養豚特別支援資金等の畜産特別資金の融通に当たっては、信用力が足りないところを補完するため、農業近代化資金と同様、農業信用保証保険制度の活用しつつ、次の事項を考慮の上円滑な推進をお願いします。

(1)  大家畜・養豚特別支援資金等の畜産特別資金の融通は、既存債務を長期低利資金に借換えるものであることから、基本的には、既存債務の担保保証を引き継ぐことが可能であり、また、担保・保証の徴求緩和も期待されること。

(2)  担保・保証の徴求の取扱いの留意事項については、「農業信用基金協会の監督に当たっての留意事項について(「事務ガイドライン」)」(平成10年6月17日付け蔵銀第1659号大蔵省銀行局長・農林水産省経済局長通知)において示されているが、今後とも基金協会の信用補完機能を考慮し、担保・保証の徴求の軽減に努め、被保証者に過重な負担をかけないよう留意すること。

  なお、大家畜・養豚特別支援資金においては、都道府県農業信用基金協会が引き受けた保証債務の弁済及び求償権の償却に伴う費用に充てるための補助(畜産特別資金保証円滑化事業)を行っているところです。
  従って、これらの制度を活用し、十分に保証基盤を拡充することにより、債務保証が受けられるようにすることが重要です。



 (問30) 畜産特別資金保証円滑化交付金の補助は、どのような内容なのですか。

(答)
  大家畜・養豚特別支援資金等の畜産特別資金の融通の円滑化を図るため、畜産特別資金保証円滑化事業を実施しています。
  同事業では、都道府県農業信用基金協会に対する畜産特別資金に係る保証債務の弁済等に伴う費用の一部に充てるため、保証円滑化交付金として国が1/4以内の補助を行っています。(残りの3/4は地元負担)

  また、
(1)最近の畜産特別資金の保証の状況から保証倍率を5倍以内としている基金協会であり、かつ、
(2)機構理事長が別に定める基金協会に対しては、国が3/8以内の助成を行っています。



 (問31) 代位弁済の申請に当たってあらかじめ都道府県知事と協議(償却の場合は報
          告)の上、中央畜産会に承認申請(償却の場合は通知)することとされていますが、
          都道府県知事は何をすればよいのですか。

(答)
  代位弁済の場合は、都道府県知事は、要綱に規定されている代位弁済の承認を行わない場合に該当しないことを確認してください。
  また、求償権の償却の場合は、求償権の償却に至った経緯・理由等の書類から求償権の回収が困難であることを確認してください。




9 他の負債整理資金との関係

 (問32) 借入者が、経営改善資金と農業経営負担軽減支援資金のそれぞれの借り受け
          要件を満たす場合、いずれの資金を選択すればよいのですか。

(答)
  借入希望者の実態、経営改善資金と農業経営負担軽減支援資金のそれぞれの貸付条件、貸付方式の相違、借換実施後の償還金の負担能力等を勘案して、借入者が融資機関等との間で十分に相談の上、判断することとなります。




10 その他

 (問33)  大家畜・養豚特別支援資金のうち経営改善資金の残高一括借換の基準に
          ついて教えてください。

(答)
  今後の対策期間において、残高一括借換については、事業最終年度に実施し、約定償還の借り換えのみでは経営安定を図ることが困難と都道府県知事が認めた経営であること、かつ前年度までに大家畜・養豚特別支援資金等の畜産特別資金を借受けており、複数年度にわたって営農指導を受けている経営であることが必要になります。



 (問34) 最近の低金利情勢を農家の経営改善に役立てるため、過去に貸付けを行った
          大家畜・養豚特別支援資金等の畜産特別資金の末端金利を自助努力により引き
          下げることは出来ますか。また、金利が上昇した場合、元に戻すことは出来ますか。

(答)
  大家畜・養豚特別支援資金等の畜産特別資金の末端金利は、地元における自助努力が可能なところでは事業実施要綱に定める率より低率で貸付けが行われている事例も見受けられます。
  貸付実行後であっても末端金利を自助努力により更に引き下げることは可能であり、この場合も国の利子補給率は変更されません。
  最近の調達金利の低下を反映して末端金利の引き下げが可能な融資機関については、農家の経営改善のためにも更なる金利の引き下げを検討して下さい。
  なお、金利水準が上昇した場合、当初の金利水準に戻すことは可能です。
  ただし、当初の金利水準を超えて引き上げることはできません。





○大家畜特別支援資金 飼養頭数規模換算表


(別表1)経営改善資金の一般基準



(注)上段は個人経営、下段は法人経営に適用する。

【例】
  個人経営で酪農と乳用肥育を行っており、乳用成雌牛10頭、乳用種肥育牛5頭の場合、主たる経営の頭数は乳用成雌牛の10頭、従たる経営の頭数は乳用種肥育牛5頭で、換算率は縦軸の酪農経営と横軸の乳用種肥育牛の交点で×1.0となります。
  従って、10頭+(5頭×1.0)=15頭となり、実施要領の酪農経営の基準に達しています。



(別表2)経営改善資金の特認基準及び経営継承資金の基準



(注)上段は個人経営、下段は法人経営に適用する。




○養豚特別支援資金 飼養頭数規模換算表


(別表3)経営改善資金の一般基準



(注)上段は個人経営、下段は法人経営に適用する。

【例】
  個人経営で養豚の一貫経営を行っており、繁殖雌豚12頭、肥育豚120頭の場合、主たる経営の頭数は繁殖雌豚の12頭、従たる経営の頭数は肥育豚120頭で、換算率は縦軸の養豚繁殖経営と横軸の肥育豚の交点で×0.1となります。
  従って、12頭+(120頭×0.1)=24頭となり、実施要領の養豚繁殖経営の概ねの基準(概ねは8割相当)に達しています。



(別表4)経営改善資金の特認基準及び経営継承資金の基準



(注)上段は個人経営、下段は法人経営に適用する。


    

畜産特別支援資金融通事業に係る一問一答集

            (未定稿)

農林水産省生産局畜産部
独立行政法人農畜産業振興機構
公益社団法人中央畜産会