はじめに
本県の銘柄和牛「常陸牛」は,昭和52年に組織化され38年目を迎えるブランド牛であり,現在,常陸牛の販売指定店,推奨店数は499 店,昨年度の出荷頭数(刻印頭数=常陸牛として認められる枝肉)は過去最高の9,517頭に達し,全国においても出荷頭数の上位を占めるなど,安定した供給頭数を確保しています。
輸出の始まり(ベトナム)
平成26年10月,橋本昌県知事を団長とする茨城県ベトナム訪問団が,ベトナムを訪問した際,シェラトンハノイホテルで開催されるレセプション用の食材に「常陸牛」が取り上げられたことで,初めて常陸牛が輸出されました。
これがきっかけとなり,同ホテルでの継続的な常陸牛メニュー化をしていただけるよう関係機関を通じ要請したところ,ホテル側の快諾もあり,常陸牛を扱っていただけるようになったのが始まりで,同ホテルのレセプション会場にて,知事からホテルの総支配人に「常陸牛肉海外販売推奨店第1号」の指定証が手渡され,本年3月にも,同ホテルにおいて148ヶ国の国賓級の来賓を集めた「列国議会同盟(IPU)」定例会議の晩餐会にて,常陸牛が提供されました。
ベトナムでは,日本国内の口蹄疫の影響により輸出が出来ませんでしたが,平成26年4月に輸出再開が認められたこともあり,その後,ベトナム国内の日本食卸販売業(Akuruki)の協力のもと,ホーチミン市にある日本食レストラン「海味=うみ」を,平成26年12月18日付けで海外推奨店第2号店に指定しました。
海外販売促進員の設置(県畜産協会)
アジア圏を中心に「常陸牛」の販売促進を図るため,県,常陸牛振興協会の支援のもと,今年度から,当協会に海外販売促進員(1名)が
設置され,海外との調整や,更なる海外推奨店等の販路拡大を進めるため業務に臨んでおります。
これまでの海外活動と推奨店報告(タイ・ベトナム)
今年度,最初の取り組みは,5月中下旬の3日間,タイ,バンコクにおいて毎年開催されている,国際アジア食品見本市「THAIFEX2015」(出店者数1,675店舗,業界関係来場者約35,000人)で,現地の常陸牛サプライヤーである(株)小松水産(日立市)との共同出展で,常陸牛PR(サーロインの試食)を行い,タイを初めとする海外の方々にも大変美味しいとの意見を数多くいただきました。
また,バンコク市内の飲食店に対して常陸牛のPRと商談を進め,日本食レストラン「酒茶翁=ささおう」を,タイにおける常陸牛海外推奨店第1号(海外3号店)に結びつけることが出来ました。
次いで7月には,県と海外販売促進員とで,タイ・ベトナムへ渡り,常陸牛海外推奨店の確認と更なる開拓を進め,タイ(バンコク)で2号店(海外推奨店4号店)となる焼肉レストラン「和牛浅草」,更には,ベトナム(ハノイ)で3号店(海外推奨店5号店)となる日本食レストラン「真=まこと」をそれぞれ認定することが出来ました。
9月には,タイにおいてJETRO主催の「日本産農水産物食品輸出商談会inBangkok」へ出展し,バンコク市内の日本食レストラン「藤花=とうか」が,海外販売推奨店3号店(海外推奨店6号店)となったところです。


ベトナム・タイでの常陸牛について
元々,宗教や調理法から,牛肉を食べる文化が無かった国でも,近年は日本食ブームもあり,若者と富裕層を中心に食文化も変化してきています。
ベトナムでは,鉄板焼きやステーキが好まれ,タイでは焼肉がブームと言われているが,牛肉については,豪州和牛が世界各国に輸出され,更にはアジア圏でも,日本から様々なブランド和牛が入っている状況であることから,今後常陸牛を扱ってもらうためには,他の和牛と常陸牛の違いが外国人にも簡単に伝わるよう,特徴作りを進める必要があると思われます。
最後に
常陸牛が食べられる海外推奨店は現在2ヵ国3都市で6店舗まで展開しておりますので,皆様もベトナムやタイへ行かれる場合には,是非,お店に足を延ばしていただき,常陸牛をご賞味いただければ幸いです。
※常陸牛の定義 指定生産者が県内で最も長く飼育した黒毛和牛の内,(公社)日本食肉格付協会の枝肉取引規格が歩留A等級又はB等級かつ肉質等級が4等級と5等級のもので,常陸牛振興協会が認定したもの。
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