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     ホーム >  畜産茨城平成24年度 > 7月号 : 豚尿由来の液状コンポストを追肥した飼料用米栽培


豚尿由来の液状コンポストを追肥した飼料用米栽培
畜産センター 環境保全研究室


 1.はじめに

  近年,食の多様化などから食用米の消費が減 少し,生産調整が拡大する中で,飼料用米の生 産は食用米生産に替わる水田の有効利用や自給 飼料基盤の拡大という点で注目され,本県でも 飼料用米の生産は拡大しています。一方,畜産 経営における家畜ふん尿の多くはたい肥として 利用されていますが,利用にあたっては,環境 負荷を考慮した耕畜連携が求められています。
 今回,豚ふん尿のうち液状物について,液状 コンポストとして飼料用米に追肥した時の肥効 率,粗玄米収量について紹介します。


 2.液状コンポストとは?

  一般的に,「積極的な混合攪拌によって好気 発酵させ,臭気がなくなり圃場に施用しても作 物の発芽障害などになる有害物質がなくなって おり,安全な肥料として利用できるように調整さ れた液状取扱いの家畜糞尿」とされています。


3.栽培試験について

1)供試液状コンポスト
好気発酵させた豚尿由来液状コンポスト
(表1)


2)供試品種:飼料用米(品種 べこあおば)

3)試験方法
 茨城県農業総合センター農業研究所内の水口 側に配管をした7.1a(7.4m×96m)の水田圃場 にて試験を実施しました。2011年5月25日に苗 を移植し,追肥(7月8日)は,液状コンポスト (無機態窒素量として5kg/10a)を水口からか んがい水と混合しながら施肥しました。


4)試験結果
@液状コンポスト由来窒素利用率及び肥効率
 収穫時における飼料用米の液状コンポスト由 来窒素利用率の分布は,圃場中央部分で窒素吸 収量が高く,水口と水尻部分で窒素吸収量が低 く,窒素成分の希釈がみられました。窒素利用 率は約50%,肥効率は約80%でした。(表2)


A粗玄米収量
 液状コンポストの追肥利用により粗玄米収量 は高くなり,化学肥料と同様の効果が得られま した。(表3)



4.まとめ

 液状コンポストを追肥利用することで粗玄米 収量が高くなり,化学肥料の追肥と同様の効果 が得られました。また,液状コンポストを水口 から施肥する際は,圃場の高低差等により拡散 しにくい場合もあるので,事前に完全に落水をさ せるなど圃場毎の対応が必要な場合があります。
 液状コンポストを利用する際には,環境負荷 を考慮し,成分量の把握や土壌診断に基づいた 施肥が大切です。環境にやさしい利用を心がけ ましょう。