平成21年11月13日に,小美玉市の四季文化館(みのーれ)において,市町村,県関係者等約150名が参加して,高病原性鳥インフルエンザ(以下,HPAI)防疫シミュレーションと講演会が開催されました。
防疫シミュレーション

防護服着脱
 HPAIの発生を想定して,異常鶏届出から,病性決定,殺処分等の防疫対策,経営再開まで,一連の防疫措置について,スライドによるシミュレーションが行われました。発生時の防疫対策の実施に際しては,県と市町村の迅速円滑な協力体制が大変重要となりますので,市町村における防疫作業の役割に重点を置いて説明が行われました。
 また,作業時に着用する防疫服等の着脱訓練は,市町村の担当者4人の協力を得て行われ,参加者の理解を深めました。


ウズラ岸茂行先生


HPAI新型インフル西藤岳彦先生
 
 特別講演として,2題の講演がありましたが, その概要は以下のとおりです。
 講 演 1
「愛知県におけるHPAIの発生状況」
 愛知県東部家畜保健衛生所   岸茂行先生
〈 講演要旨 〉
愛知県内のうずら農場(約26万羽飼養)について,HPAIモニタリング検査を実施したところ,本年2月27日に弱毒タイプのH7N6亜型ウイルスが分離され,1例目の発生となった。
移動制限区域が設定され,その区域内の農場検査を実施した結果,新たに,うずら農場において,2〜7例目の発生が確認された。
防疫措置として,7農場160万羽のうずらが殺処分された。
緊急実施した全国調査の結果,38道府県174ヵ所のうずら農場について,異常はなかった。
その後,発生はなく,5月11日に移動制限が解除され,終息宣言が出された。
発生農場の経営再開について,来年5月までに飼養羽数を100%回復する計画を立てているが現在の回復率は40%とほぼ計画どおり順調に進んでいる。
原因ウイルスは,5年以上前に,農場内に侵入していたことが推定されているが,侵入経路は不明である。

 講 演 2
「HPAIと新型インフルエンザ」
 独立行政法人動物衛生研究所 西藤岳彦先生
〈 講演要旨 〉
2007年(宮崎県,岡山県)のHPAI発生事例の原因ウイルスは,2004年( 山口県,大分県,京都府)のウイルスと同じH5N1亜型であるが,両者は,遺伝的に明らかに異なっていることが判明している。この結果から,2004年に発生した事例の原因ウイルスは,当時の防疫措置により,的確に淘汰されていることが実証された。
2008年に秋田県,青森県,北海道で,オオハクチョウから分離されたウイルス(H5N1亜型)は,当時アジア地域で発生しているものと遺伝子の相同性が高かった。従って,アジア地域でHPAIの発生が続く限り,そのウイルスが野鳥を介して国内に侵入する経路は依然として存在すると考えられる。
新型インフルエンザは,ヒトから豚や七面鳥へ の感染が確認されており,注意が必要である。
新型インフルエンザの豚等への感染防止対策と して,@防護服等着用A機材,畜舎出入り時等の消毒Bインフルエンザ様疾患発症者は,作業に従事しないC立入制限等の実施,などがある。

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●HPAIの発生を防止するためのポイント●
1 車両消毒,踏込消毒槽設置,消石灰散布。
2 鶏舎に防鳥ネット設置,ネズミ対策等の実施。
3 飼養羽数,換気等,適正な飼養管理の維持。
 ※ 飼養鶏の健康状態の確認日常的に飼養鶏の健康
   状態を確認し,鶏に異常が確認された場合,直ちに
   家畜保健衛生所に通報することが必要です。