茨城県の銘柄牛「常陸牛」は、茨城県・常陸牛振興協会・生産者・団体等の努力によりブランドアップの効果が着実に出てきております。しかし、常陸牛となる素牛は県外導入が大半を占めており、茨城県産の和牛子牛が少ないという課題もあります。
和牛子牛の増頭への取り組みは、県内各地で始まったところでありますが、今回は、最近の取り組みとして3つの事例をご紹介します。
@和牛子牛の育成技術に関する講演会(大子町和牛繁殖経営活性化協議会)
7月12日(木)、大子町矢田の余暇活用センター「やみぞ」において、和牛子牛の育成に関する講演会が開催されました。この講演会は、大子町和牛繁殖経営活性化協議会・(財)日本農業研究所・茨城県畜連・雪印種苗(株)が共同で開催した繁殖農家向けの勉強会です。講師に、中丸畜産技術士事務所長(元岐阜県和牛試験場長)中丸輝彦氏を迎え、「和牛子牛の育成とブランド牛生産について」というテーマで、約2時間の勉強会となりました。
講演では、(a)育種改良と子牛生産 (b)子牛育成の基本事項 (c)市場で評価される子牛の育成法 (d)育成期粗飼料給与率と肥育成績 (e)飛騨牛の銘柄確立 等に関する内容についての説明があり、約100名ほどの参加者は、皆熱心に聞き入っておりました。また、講演後の質疑応答においても、活発な発言が多く出ておりました。
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A放牧説明会及び住民との交流会(常総市大生郷 菅原農園 & 常陸牛生産者 佐藤宏弥)
7月21日(土)、常総市大生郷菅原地区において、和牛放牧に関する現地説明会と交流会が開催されました。この催しは、菅原農園 菅谷新一・常陸牛生産牧場 佐藤宏弥・(独)農業食品産業技術総合研究機構・結城地域農業改良普及センター等が主催し、小雨模様の天候にもかかわらず、地域住民等150名が参加しました。
放牧説明会としては、「フィールドトリップ&クイズラリー」と称して、放牧地を案内しながら参加者に牛や草についてのクイズをしたり、(独)中央農業総合研究センターの千田雅之上席研究員の説明を受けたりしました。
また、地域住民との意見交換会では、常陸牛の試食会を行い美味しさを堪能しながら、地域住民との交流を図ることができました。
B優良繁殖経営の視察研修会(茨城県西肉用牛肥育技術研究会)
7月27日(金)、茨城県西肉用牛肥育技術研究会(谷島保会長)は視察研修会を開催し、生産者等約50名が参加しました。同研究会では、繁殖も含めた一貫経営への取り組みが始まっており、今回は繁殖経営と和牛改良についての研修となりました。
まず、優良な和牛繁殖農家の視察として、常陸大宮市野口の軍司英昭氏の牧場を視察しました。軍司氏は、繁殖和牛85頭・子牛50頭・肥育牛11頭を飼養する一貫経営の農家であり、全農いばらき家畜市場からは年間最多子牛出荷者として表彰されております。市場性の高い子牛を生産するために、管理観察・事故率の減少・繁殖成績向上等に力を入れていることが、よくわかりました。
次に、本県の和牛改良として、常陸大宮市東野にある茨城県畜産センター肉用牛研究所を視察しました。「千穂」「茨北安」「福徳」等の繋養種雄牛を見たり、改良研究室の笹沼清孝室長より検定成績等の説明を受けました。
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