平成14年8月1日を基準日とした養豚基礎調査の結果から前回、家族経営と後継者に係る部分について報告したところであります、今回は、雇用労働力の利用状況や糞尿処理場所等について紹介します。
 雇用労働力の利用状況(家族経営)
 家族経営と回答の有った403戸について常時雇用有りは肥育経営の62.9%が利用しており、次いで一貫経営41%、繁殖経営32.4%であった。パート雇用の有無では肥育経営で、11.4%で最も多い。常時・パート雇用とも肥育経営で最も多く活用されており、管理作業が単純化しやすいのでないかと思われる。繁殖経営においては常時・パートとも雇用率は少なかった。一貫経営はいずれも肥育と繁殖の中間を示していた。

問3 雇用労働力の利用状況(家族経営)  戸数
項 目 戸 数 常時雇用 有 パート雇用 有 備 考
雇用率 雇用率
一貫経営
繁殖経営
肥育経営
300
68
35
123
22
22
41.0
32.4
62.9
29
4
4
9.7
5.9
11.4

403 167 41.4 37 9.2

 畜舎の所在地
 経営継続中で報告のあった456戸について用途区分毎の戸数を示したもので農用地区域で行っているものが最も多く321戸(70.4%)であり、市街化区域は17戸でした。未記入・わからないが48戸(10.5%)ありました。

問6 畜舎の所在地
用 途 区 分 戸 数 割 合% 備 考
1 市街化区域
2 市街化調整区域
3 農用地区域
4 その他の地域
5 わからない
6 未記入
17
57
321
13
25
23
3.7
12.5
70.4
2.9
5.5


456 100.0

 ふん尿の主な処理場所
 全量を自家施設で処理するものが、374戸と82%を占めており、共同施設利用は全量または一部利用を含めて32戸7%であった。
 特殊な処理事例としては、全量または一部を処理業者に委託している農場もあった。これらのふん尿処理に関する項目は養豚経営規模別にどの様に成っているかを検討できれば非常に参考になったと考えられるが、飼養頭数等の経営に係わる項目が8月1日を基準日としたことや、経営状況の公表を望まない経営者が多く、調査項目が未記入のものが多く、これらの関係を検討するに至っていない。
問7 ふん尿の主な処理場所
1 全量を自家施設 374
2 全量を共同施設 9
3 固形物、尿汚水とも自場施設、共同施設の両方で処理 13
4 固形物を自場施設、尿汚水を共同施設で処理 1
5 固形物を共同施設、尿汚水を自場施設で処理 9
6 全量を処理業者委託 1
7 自場施設処理+業者委託 3
8 その他 27
9 未記入 19

 ふん尿処理状況の記録
 平成14年11月からふん尿処理に係る記録が義務付けされるのは多くの経営者が承知していると考えられるが、実施の3ケ月前の時点とはいえ何らかの記録を行っているものが35戸しかなく、394戸(86.4%)が記録していないと回答している。関係法令の周知徹底が求められるのでないか。

問9 記録
1 全部記録 10
2 年間発生量を記録 11
3 処理方法別数量は記録 14
4 記録していない 394
5 未記入 27

 法が施行されたから記入が即始まるとは考えられず、趣旨の徹底を図り、粘り強い指導が必要と考えられる。

(農家における記録の様式(養豚))
平成 年度 家畜排せつ物の発生量等に関する記録
(記入日:平成 年 月 日)
1年間の家畜排せつ物の発生量
種 類 平均的な
飼養頭数
(頭)
@
1頭当たり排せつ物量 1年当たり排せつ物量
ふん
A
尿
B
ふん
C
(@×A)
尿
D
(@×B)

E
(C×D)
肥育豚
0.77 1.39


繁殖豚
1.20 2.56


合 計



注1) 平均的な飼養頭数は、2月1日現在の頭数又は当該年と前年の2月1日現在の平均頭数等を用いる。

2 処理の方法及び処理の方法別の数量
処理方法 割  合
ふ ん 尿
@自家処理し、自己の経営内で利用
A自家又は経営外で処理し、経営外で利用
B浄化処理施設で処理
C焼却施設で処理
Dその他(          )
      (          )
合 計
注1) Aは、たい肥センター等の共同処理施設、耕種農家等に譲渡したものについて記入。
注2) ふん尿混合で処理を行っている場合は、固形物として処理している場合はふん、液状物として
処理している場合は尿に記入する。
注3) 割合は、過去1年間の処理方法に基づいて記入する。