茨城県は関東地方の北東に位置し、東に太平洋、北は福島県、西は栃木県、南は利根川を経て千葉県、埼玉県に接し大消費地である首都東京に100km圏内にある。本県は温和な気候と広大で平坦な耕地に恵まれ主要な農産物にはメロン、鶏卵、レンコン、栗、水菜などは全国一位で畜産では常陸牛、ローズポーク、いばらき地鶏等があり、採卵鶏は全国一位 の他養豚を始めとする酪農、肉用牛等の畜産も盛んなところである。



・歴史 黒毛和牛(常陸牛)の歴史
 1833年に(天保3年)徳川斉昭公が水戸に桜野牧場を開設し、黒牛が繋留されていた記録がある。  しかし本格的に黒毛和牛を導入したのは1957年(昭和34年)に馬産地帯であった高萩市と大子町に繁殖素牛250頭が導入されたのが契機である。
 常陸牛とは、指定生産者が茨城県内で最も長く飼育した黒毛和牛の内、(社)日本食肉格付協会の枝肉取引規格が歩留A等級又はB等級かつ肉質等級が5等級と4等級以上のもので、茨城県常陸牛振興協会が認定したものとする。


・常陸牛の定義



 1976年(昭和51年)に常陸の国に因んで多く応募の中から「常陸牛」と命名され、翌年に常陸牛振興協会が茨城県家畜商業協同組合、茨城県畜産農業協同組合連合会、全国農業協同組合連合会茨城県支部(当時県経済連)の県内の全体の肉牛飼養者を統括できる組織を中心とした構成によって設立された。



 飼養管理技術・経営管理技術に優れた生産者であって一定の基準をクリアしたもので21年度の指定生産者数は190名となっている。



 常陸牛の品質保持と販売に対する信頼を高めるために、県内外の店舗の営業成績等によって、販売指定店及び推奨店を認定し認定証を発行する。平成21年度は店舗数373店となっている。



推進体制の整備強化=平成16年県がブランド推進プランを策定し17年より常陸牛振興協会に専任の販売専門員(営業マネージャー)を設置すると共に県農産物販売推進東京本部との連携を密にした首都圏対策を推進した。

生産・出荷対策=指定生産者の肥育技術のレベルアップを図るために研修会、共励会等の開催と併せて、常陸牛産地証明書の発行をすることによって市場関係者から高い評価を得る等販売対策の強化が図られた。

イメージアップ=新聞雑誌テレビ等多くのマスコミにも取り上げられると共にインターネットの活用した消費者対策、大手企業とのコラボレーションによるイベントの実施、有名芸能人監督の野球チームとの連携により知名度の向上に努めた。

販売・流通対策=販売指定店、推奨店を対象に販売促進キャンペーンを実施する他、生産現場の理解醸成を図るために消費者や飲食店を対象に農場視察研修会の実施。

 また食べられる店を紹介するためのグルメマップを作成し広く一般に配布する他、インターネットにおいても配信しPRに努めている。



認知度の向上=16年〜21年にわたり、知名度についてアンケートを行った結果左のグラフに見るように食べたことがある、知っているが回答の90%以上に認知度が向上した

指定生産者数・指定店数・認定頭数の増加=平成13年のBSE発生に端を発して牛の個体識別情報の実施に伴い各生産地の其々の銘柄牛の区分が明確化されたことと平成16年から 実施されたブランドアップ対策により生産頭数・販売指定店・推奨店共に飛躍的に伸びた。
常陸牛のPRの効果=イベント・キャンペーン等によりPR活動を展開したことによって テレビをはじめとする各種新聞雑誌等に取り上げられPRの成果が目覚ましく向上した。

 それに伴って常陸牛指定生産者が出荷し常陸牛に認定された枝肉は左表にあるように高く取引される等経済効果も表れている。




 1、県の特産品「常陸牛」として認知された。(食べたことがある知っているが90%)
 2、常陸牛取扱店が日々増加し身近なものとなった。
 3、常陸牛の生産を通じて生産者の意識が一体化された。
 4、県民へのアピールによって郷土愛が定着した。(牛肉なら常陸牛・地産地消の定着)
 5、常陸牛を通じて畜産物生産実態の理解醸成を図ることができた。




 常陸牛のブランド力を高めると共に販路や消費を戦略的に拡大し県の食全体の振興とイメージアップを図った功績からいばらきイメージアップ大賞の奨励賞を受賞した。  常陸牛のブランドアップ取り組みの成果として「茨城県功績賞」を受賞した




 今後は更に品質が安定し、食べてより美味しい常陸牛とするため産地システムの活用や生産基準をより明確化し市場を始め消費者の求める牛肉生産に県が一体となって取り組んで 行く。