肉質で勝負!!
(「美明豚」は高い繁殖技術、優れた肥育技術により生産されている。)






有限会社 中村畜産




 行方市は、茨城県の東南部にあり、東京都心から北東へ約70km、県都水戸市からは南へ約40kmに位置し、東西約12km、南北約24km、面積は166.33kuとなっています。
 市の東は北浦、西は霞ヶ浦に接し、地形的には東西の湖岸部分は低地、内陸部は標高30m前後の丘陵台地(行方台地)を形成し、西側の霞ヶ浦側は概ねなだらかであるのに対し、東側の北浦側は比較的起伏に富んでいます。
 農業は、台地の北部にタバコ、甘藷の大規模畑作と、軽量野菜の園芸地帯が形成され、霞ヶ浦、北浦湖岸一体は水田と果菜主体の施設園芸が展開し、南部は、関東一の水郷早場米産地と地形を生かした特徴ある青果物が生産されています。
 市の農業産出額は2,396千万円で、うち畜産は468千万円を占め、畜産の中でも豚は58%を占めトップとなっています。












 出荷は当初、父親が元食肉卸であった関係から東京の中央卸売食肉市場に行っていたが、平成12年からは全量、県内の(株)茨城県中央食肉公社に切替えた。食肉公社では当時、取り扱いの銘柄豚が少なく、新たな銘柄を探していたところであり、SPF豚を生産していた中村畜産の存在を知った事がきっかけで取引が開始された。
 東京出荷の時から出荷した豚肉のチェックは欠かさず行っていて、需要者に望まれる肉作りにかけては誰にも引けをとらないと自負している。品質が優れていることは、(株)茨城県中央食肉公社で毎年開催されている茨城県豚枝肉共励会(茨城県食肉流通振興会主催)で平成12、13年、15から18年と最近開催された7回のうち6回、最優秀賞(農林水産大臣賞)を受賞したことからも伺える。




 優れた品質のものを安定して生産出来てきたことが、市場、流通関係者からの高い評価につながっており、関係者の後押しもあって、平成15年春からは他との違いを明確にするため、「美明豚(びめいとん)」と名称をつけての販売を開始、平成15年秋には商標登録を取得した。



 「美明豚」の大きな特徴としてはSPF豚であることと、乳酸菌、ビフィズス菌、納豆菌、海草、パイナップル粉末、ウコン、酒かす等をバランスよく加えた美明豚専用飼料を60日以上給与していることがあげられる。
 肉質に関するこだわりは肥育経営時代からであり、飼料の内容については現在も検討を加えている。上記した専用飼料のベースには麦が25%加えられている他、子豚の飼料についても工夫が加えられている。良い飼料は発育も良く、肉質も向上はするが飼料代は一般の経営から見ると割高にはなっている。
 平成16年には「美明豚」の生産振興及び流通の確立を図ることを目的に(株)茨城県中央食肉公社内に「美明豚マーケティング振興協議会」が立ち上がっている。食肉公社がこのような協議会を持つ事自体稀であり「美明豚」にかける力の入れようが伺える。主な納入先は茨城県、千葉県、埼玉県であり、日増しに「美明豚」の取り扱い販売店、飲食店が増加している。
 管理技術では管理日報をつけ、全農の管理ソフト「Pigs」を利用し、その日の内にデータのパソコン入力を済ませている。
 子豚の生時体重、離乳時体重も1頭づつ記録、棚卸でも1頭の狂いも無く良く管理されている。




また、安心、安全は基本中の基本との考えから、SPF必須限定規則に沿って徹底した生産管理を行っていることが成績等に反映されている。 なお、飼養管理についてきちんと記録をとっているため、消費者から豚肉の生産履歴が見たいと言われればすぐにでも公開できる体制はつくられているが、流通、小売段階での体制が整っていないため、まだ実施はされていない。




(1)処理の内容






(2)利用の内容






 行方市内にある有機農業の地域展開を目指して設立された「POD要ファーム」の「おんらがハム工房」が製造しているハム・ソーセージの原料として「美明豚」が使用されている。
 行方市内における産業祭での焼肉の無料配布などでも常に先頭に立ち、消費者との交流を心がけている。
 生産されたたい肥は基本的には行方市内もしくは30分以内で配達できるところへ提供されている。
 ハウス豚舎からのたい肥は無料、醗酵施設より生産される堆肥についてはバラで20,000円/2t車、袋詰め300円/1袋15kgとなっている。品質が安定し人気があり、耕種農家では購入は順番待ちになるほどである。




 現在の母豚頭数は約330頭。「美明豚」の評判が良く、生産頭数を増やして欲しいとの要望が需要者から数多く出てきているため、長期的には規模拡大も視野にはあるが、現時点では「利益ではなく、おいしい豚肉の生産」をモットーに、農場全体に目が届く規模をしばらくは維持する方向である。