「地域の耕種農家と結びついた酪農経営」


山口 康彦さん夫妻


















  山口氏の経営は、酪農専業経営で飼養頭数は成雌牛頭数40頭、育成雌牛頭数15頭にあります。
  この規模からの生産状況は、生乳生産量328,000kg、乳量経産牛1頭当り8,300kgの成績になっています。




@地域の概況

 当地域は、水と緑にも恵まれた豊かな都市近郊型農業が行なわれているところであります。
 農業としては、水稲を中心にネギ、イチゴ、ゴボウ等の野菜、トルコキキョウ等の花きの作付も多いところであります。
 畜産の状況は、酪農農家戸数20件、頭数1,040頭、肉用牛農家戸数20件、頭数570頭、 養豚農家戸数20件、頭数5,280頭、養鶏農家戸数10件、羽数347,000羽にあり地域としては、酪農も盛んなところであります。
 畜産部門の粗生産額は、酪農45,000万、肉用牛7,800万、養豚39、600万、養鶏94,300万の合計186,900万になっています。




A活動の状況

 経営内から生産された良質堆肥を地域内において、流通させ地域と結びついた酪農経営を目指すとともに、堆肥の効率的な処理を目標に実施した。


昭和53年 ハウス発酵乾燥処理施設の導入
平成 7年 堆肥舎新設(補助事業利用)
平成10年 特殊堆肥 「有機大王」 が認可され販売を本格的に開始

販売方法  袋詰め18g及びバラ対応

堆肥原料  牛糞にモミガラ添加・微生物資材利用












@糞尿処理技術の概要

 牛舎からバンクリーナで集められた牛糞は、太陽熱を利用したハウス発酵乾燥処理施設に投入され、処理後堆肥舎で堆肥化し、堆肥舎には、最低でも6ヶ月、6回以上切り返しを行なう。
 堆肥の原料は、牛糞とモミガラ、微生物資材のみを使用し、堆肥は糸状菌で白くなり表面にキノコが多数見られるようになってから出荷する。




A生産から販売までの取組み

 当初、堆肥販売を開始した頃は、組織に属していないこともあり販売先等の開拓に時間がかかったが、良い製品を造れば評価が得られると思い生産してきた。
 結果として、自己所有地による処理が難しいこともあり、堆肥販売することにより処理体系が確立され容易に処理できるようになった。
 それと、堆肥生産販売によって耕種農家や一般消費者との結びつきができ、畜産に対する理解が得られるようになった。








@施設や流通等の問題点

  現在、堆肥は年間をとおして生産しているが、耕種農家の需要が季節的に偏っており、需要期は品薄になり需要期以外はストック過剰になりやすい。




@改善方法

地域の畜産農家と耕種部門農家が、堆肥流通についての研究会設立を検討中である。
 地域内での堆肥流通は、十分可能であり、今後、学習会や先進地検討会を開催しその実現を目指す。