経営部門 [優良賞]
「水田転作地利用による粗飼料生産と機械の共同利用」


枝川 裕実さん夫妻




 枝川氏の酪農経営の概要は、水田90a(借地36a)の水稲とで経営が営まれています。経営規模は成牛頭数40頭程度、育成牛20頭程度の飼養にあり、自給飼料(粗飼料)生産の基盤は、飼料畑200aと集団転作田1300aを酪農家4人(転作組合機械施設利用部)で借地し、利用しています。
 経営の労働力は、本人と奥さん、両親の4人で作業を分担しながら行い、効率よく管理をしています。





 飼料畑の借地圃場が5〜35Kmと点在化していて作業効率が悪かったため行政の支援をいただき、平成3年に自給飼料生産を経営の柱と考えている酪農家4人で町内の集団転作田を借入れ、転作組合機械利用部を設立、県単事業で高能力の機械を導入し共同作業を開始した。同時に作業の基本料金を設定、コスト低減に努めた結果として、自給飼料生産におけるTDN1Kg当たり生産費、トウモロコシサイレージ22.6円、イタリアンサイレージ42.1円、エン麦サイレージ58.2円で生産し生産性にあいても経産牛一頭当たり年間産乳量7,575Kg、乳脂率3.81%、無脂固形分率8.71%、牛乳100Kg当たり生産原価6,945円、経産牛1頭当たり所得233千円、所得率31.4%の収益を確保しています。
 転作組合機械施設利用部の共同利用・共同作業は、短期間で終了するため共同作業に拘束されず個々の作業を進められるメリットがあり、大変役立っています。





1.
 牛群の改良が進んだこともあり、牛舎の老朽化が目立ち牛群の能力にあった牛舎改築か新築を計画したいが、最近の酪農情勢の厳しさにより現在検討しているところであります。

2.
 飼養管理技術の向上により生産性の高い牛群に改良し、自家産牛の活用で安定した余裕のある酪農経営実現に一歩一歩進み、あわせてヘルパーを利用するなどして、家族全員での旅行を一日でも早く実現していきたい。

3.
 酪農家を取り巻く様々な条件の中で、生産者の乳価は一向に値上がりせず厳しい状況にあります。購入飼料は国際情勢によって価格が変動する不安があるので、まず「土を作り、草を作り、牛を作る」を目標とし、さらに転作機械施設利用部を拡充させて地域の仲間と協力し合い、足腰の強い経営を続けていきたいと思っています。