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畜舎汚水の新しい窒素除去技術〜アモナックスによる窒素除去〜 |
茨城県畜産センター生産技術研究室 |
はじめに
畜舎汚水には,環境負荷物質とされている窒素が多く含まれており,河川等へ放流する場合,適切な処理を実施し窒素濃度を規制値以下に下げる必要があります。特に霞ヶ浦流域では県条例により,厳しい排水基準が定められており,養豚場で一般的に用いられている浄化処理技術での対応だけでは困難な状況にあります。
そこで,本研究室ではアナモックス反応と言われる新しい脱窒技術に着目し,畜舎汚水での導入手法等に関する試験研究に取り組んでいます。 アモナックス反応による脱窒法
アナモックス反応とは1995年にオランダで発見された嫌気性アンモニア酸化反応のことで,自然界では海や湖などでアナモックス菌の存在が確認されており,高い脱窒能力があることが分かっています。 汚水処理における従来の脱窒は図1のようにアンモニア態窒素(NH4+)を硝酸態窒素(NO3−)にまで酸化させ,脱窒菌による脱窒反応を利用し窒素除去をしますが,通常の活性汚泥処理後の処理水には脱窒菌が必要とする有機物が少なく,メタノール等の有機物を添加する必要があり,コスト面から実施することが困難です。 一方アナモックス反応は図2のように,アンモニア態窒素と亜硝酸態窒素(NO2−)だけで脱窒反応が生じます。硝酸態窒素までの酸化が不要なので,従来法と比較して酸素供給をする曝気量を減らすことができるうえ,有機物の添加が不要であるため低コスト窒素除去技術としての利用が期待されています。国内では既に下水処理や工場排水では実用化技術が確立されていますが,畜産分野では研究段階であり実証まで進んでいません。 畜産センターでの取り組み
当センターでは平成25年度からアナモックス反応に関する研究に取り組み始め,これまでに県内の一部養豚場の汚水処理施設内にアナモックス菌が存在していることを確認し,その生育条件等の調査や,実験室内での人工排水を用いたアナモックス菌の増殖試験を行ってきました。 平成27年度からは,これまでの知見を元に,実際の豚舎汚水を用いた屋外での脱窒反応試験を開始しました。将来的には実規模でのアナモックス反応による脱窒の検証が行えたらと考えています。 情報提供のお願い
養豚汚水処理過程で自然発生するアナモックス菌の生育条件等の参考データを収集したいため,処理施設内の汚泥中に写真のような赤い塊がありましたら是非,当研究室までご連絡下さい。 連絡先:茨城県畜産センター 生産技術研究室 (担当者:大窪,須藤) 電話:0299-43-3333 E-mail:chikuse07@pref.ibaraki.lg.jp |
畜産茨城
平成27年7月号目次 1.平成27年度茨城県畜産大賞表彰式 2.畜産協会新専務理事 佐野元彦氏就任あいさつ 3.平成27年度家畜商講習会を開催します 4.牛白血病に係る死廃事故の取扱い見直しについて 5.自給飼料分析センターの活用を! 6.畜舎汚水の新しい窒素除去技術 7.広域流通を目指したデントコーン生産流通の取り組みについて 8.創立40周年を迎えて 9.茨城の逸品 10.農地中間管理機構を活用して飼料生産や放牧を拡大しよう! |
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