1 はじめに
ローズポークをはじめとする優良な三元交配
豚(LWD,WLD)を安定的に生産し,高品質豚
肉の生産性向上を図るため,茨城県畜産センタ
ー養豚研究所では平成23年度より優良なデュ
ロック種作成に向けた系統造成試験を開始しま
した。
2 系統造成試験とは
まず基礎豚となる優秀な豚を全国から(ある
いは海外からも)集め最初の親となる集団を形
成します。この集団から交配を開始し,分娩,
選抜,交配のサイクルを一年一世代として数年
に渡り繰返して遺伝的能力の優れた集団を形成
していきます。また遺伝的
能力を正確に評価するため,能力検定を行う際
には環境等の条件を揃える必要があり,できる
だけ集中的に交配,分娩を実施します。
このように形成された,より遺伝的に均一で
優秀な能力を持つ集団が系統豚で,系統豚を作
る過程が系統造成試験です。
当所におけるデュロック種系統造成試験では
集団規模♂8頭,♀40頭,改良目標値を一日
平均増体重(DG)1000g,飼料要求率(FCR)
2.9,筋肉内脂肪含量(IMF)5%と設定し,
さらに養豚農家からの要望が高い肢蹄の強健性
向上を加え,平成28年度に5世代で完了する
見込みです(表1)。
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表1 全体計画
表2 年間サイクル
これまでの経過
試験開始初年度の平成23年度は,それまで
に導入した県外の系統豚等および平成22年度
に輸入した米国IBS 社製造の凍結精液,県内
からの導入豚等を用いて生産した所内飼養豚よ
り基礎豚として♂13頭♀48頭を選定しました。
これらの基礎豚を10〜11月に交配し,表2の
年間サイクルに従って分娩,一次,二次選抜,
交配を実施しました。
今年度(第一世代豚)の成績
今年度は平成23年度(2〜3月)に生産した
第一世代候補となる364頭について第一次選抜
で♂38頭,♀74頭および肉質調査のための調
査豚79頭(去,♀)を選抜し,さらに第二次選
抜により次世代豚生産の交配に供する♂10頭,♀
48頭を選抜しました。
調査豚については105sに到達した個体より
順次と殺し,筋肉内脂肪含量検査に供しています。産肉検定を終了した第一世代候補豚と第二
次選抜豚の選抜形質の平均値を表3に示しまし
た。現在は第一世代豚の交配が終了し,第二世
代豚の分娩を開始しています。
第一世代豚 ♂(105s時)
表3 第一世代豚 改良目標形質表型値
育成豚(2次選抜除外豚)の配布
検定終了時の
第二次選抜によ
り除外された育
成豚のうち15頭
および交配の終
了した種雄豚5
頭について配布
希望のあった養
豚農家に譲渡し
ました。
平成25年度も検定終了時(8〜9月)に選抜
除外育成豚の配布が可能ですのでご希望の方は
お早めに茨城県畜産センター養豚研究所・育種
研究室までご連絡いただきますようお願いしま
す。
平成25年2月に生まれた第二世代豚
連絡先
〒300-0508 茨城県稲敷市佐倉3240
茨城県畜産センター養豚研究所 育種研究室
TEL 029-892-2903
FAX 029-892-3384
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