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県西地域における浄化処理水の硝酸性窒素等の現状について
県西農林事務所振興・環境室


 水質汚濁防止法の改正について

  「大気汚染防止法及び水質汚濁防止法の一部 を改正する法律」が平成22年5月10日に公布 され,平成23年4月1日に施行されました。 その中で,畜産農業に係る特定事業場からの排 出水について,硝酸性窒素等(アンモニア,ア ンモニウム化合物,亜硝酸化合物及び硝酸化合 物)は,日排水量に関わらず1年に1回以上, 公定法により測定し,その結果を記録・保存す ることが義務付けられました。


 暫定基準値の見直しについて

  「排水基準を定める省令の一部を改正する省 令の一部を改正する省令」において,畜産農業 については,本年6月末までを期限とした硝酸 性窒素等の暫定基準値900r/lが設定されてい ます。この暫定基準は過去2回延長されました が,次回の改定では見直されることが想定され ています。


 県西地域の現状

  畜舎から排出される汚水を浄化して公共水域 に放流している畜産農家は県全体で38戸あり, その内県西地域は34戸と大部分を占めていま す。したがって,浄化処理水の問題は,県西地 域にとって特に大きな問題と認識されます。
 当室では今年度,畜産センターと共に管内の 畜舎汚水を浄化放流している31戸の養豚農家 を巡回し硝酸性窒素等に係る測定義務について 説明しました(11,1,2月に実施)。また,その 内23戸の浄化処理水は,畜産センターが試験 研究のために採取して硝酸性窒素等を分析しま したので,その分析結果についてご紹介します。
 分析結果では,23戸すべてが現在の暫定基準 である900r/lを下回っていました。その内, 一律基準である100r/lを下回っていたのは 11戸であり,最も高い農家でも500r/lは超 えていませんでした。
 処理方式は,連続式活性汚泥法による浄化処 理が12戸,回分式活性汚泥法が9戸,その他の方式が2戸となっていました。
 初めに,施設設計時の設計頭数と現在の飼養 頭数との関係を見たところ,設計頭数と飼養頭数 が同じか又は設計頭数の方が多い(能力に合って いる)施設の分析結果の平均は98.4r/l,飼養 頭数の方が多い(能力オーバー)施設の分析結果 の平均は230.5r/lと大きな差がありました。
 次に,処理方式と硝酸性窒素等の関係を見る ために,連続式活性汚泥法と回分式活性汚泥法 における分析結果の平均値を比較したところ, 連続式活性汚泥法が119.9r/l,回分式活性汚 泥法が177.6r/lと,回分式活性汚泥法のほう が高くなる結果となりました。
 ただし,回分式活性汚泥法の方が,能力をオ ーバーしている施設の割合が多いため,このよ うな結果になったことも否めず,処理方式の違 いによる差ははっきりしませんでした。


 今後の課題

 今回は各農家一回のみの分析であり,季節に よる変動については不明です。そのため,暫定 基準値が大きく強化された場合,季節によって は,改訂後の基準をクリアできない施設が出て くる可能性があります。
 暫定基準値が,今回の改正によってどの程度 まで厳しくなるか現時点で不明ですが,浄化処 理施設を利用している畜産農家は,法に基づく 年1回の水質分析に加え,今年発売が予定され ている簡易検査キットの利用等により,所有し ている施設の状態を充分に把握した上で,暫定 基準値が見直された際には簡易改修等の必要性 を検討し,健全で環境にやさしい畜産経営を目 指す必要があります。
 今回,畜産センターでは,硝酸性窒素等に加 え,BOD(基準値160r/l)とSS(200r/l) も分析し,23戸すべてが基準値を下回っていま した。しかし,浄化処理施設で設計頭数以上の 汚水を処理すると硝酸性窒素等の値が高くなる 傾向が示されましたので,設計に見合った量の 汚水を処理することが,施設を安定して管理す る上で重要となってきます。





75%値 分析結果を大きさ順に 並べたときに,結果の 75%までが入る値です。
中央値 分析結果を大きさ順に 並べたときにちょうど 真ん中にある値です。
25%値 分析結果を大きさ順に 並べたときに,結果の 25%までが入る値です。



連続式活性汚泥法


回分式活性汚泥法