配合飼料は,その原料の殆どを海外からの輸
入に依存しており,そのため国際的な飼料穀物
の需給状況等により価格が変動します。配合
飼料価格の変動によって生ずる畜産経営者の損
失を緩和するため配合飼料価格差補てん制度が
あります。
〈配合飼料価格に影響を及ぼす要因〉
配合飼料価格は,飼料穀物の国際相場,海上
運賃や為替レート等の動向により大きく影響し
ます。なかでも配合飼料原料の約50%を占め
るトウモロコシは,輸入の約90%をアメリカ
に依存している状況で,作柄の豊凶,バイオ燃
料需要,新興国の需要や投機マネーの流入等に
より価格が変動します。
また,海上運賃は船舶需要や原油価格等に
よって左右され,為替レートも国際的な経済状
況により変動し,これらの要因等により配合飼
料価格が決定されることとなります。
〈価格差補てん制度の仕組み〉
価格差補てん制度は,通常価格差補てんと異
常価格差補てんの2本立てで構成されていま
す。積立により補てん準備財産を造成し,配合
飼料価格高騰時に契約畜産農家(加入者)に補
てん金を交付することとなりますが,通常補て
ん積立金は加入者と契約配合飼料製造業者,異
常補てん積立金は国の補助金と契約配合飼料製
造業者がそれぞれ拠出し積み立てています。
〈補てん金の発動要件〉
通常価格差補てん金は,当該4半期の配合飼
料価格が直前1年間の平均価格を上回ったとき
に発動され,異常価格差補てん金は通常価格差
補てん金の発動があり,かつ輸入原料価格(6
品目)が直前1年間の平均輸入価格に115%を
乗じた額を上回った時に発動されます。
*6品目の種類と配合飼料に占める割合
とうもろこし(約50%),大豆油かす(約15%),
コウリャン(約6%),大麦(約3.5%),ふすま(約3.5%),
小麦(約0.5%)
〈畜産物生産費に占める飼料費の割合〉
畜産物生産費に占める飼料費の割合は畜種に
よって異なりますが概ね30%〜60%を占め,
特に肥育豚生産費では60%以上の割合となっ
ています。肥育豚及び養鶏経営においては,給
与飼料のほぼ全量が配合飼料のため,配合飼料
の価格変動は経営を左右する大きな要因となり
ます。
〈補てん金発動状況〉
配合飼料価格は平成18年秋以降,主な原料
であるトウモロコシ相場が燃料用エタノール生
産向け需要の増加により急騰した等から値上が
りし,平成19年1月の約50千円/tから,平
成20年10月には約68千円/tまで上昇し,
平成20年度第4四半期まで連続して補てんの
発動がありました。その後の配合飼料価格は高
値(平成21年4月約52千円/t)ではあるが
安定的に推移したため,補てんの発動はなくな
りました。
しかし,平成22年夏以降トウモロコシ相場
が再び高騰(平成23年7月には約59千円/t
まで上昇)したため,平成22年度第4四半期
から平成23年度第3四半期まで補てんの発動
がありました。本年1〜3月期については,ト
ウモロコシ価格の低下などにより,値下げがあ
り発動はありませんでした。平成24年度に入
り大豆高を反映し,値上がりしており,第2四
半期は発動が見込まれています。
以下に最近の補てん発動状況を示してあります。
●補てん金発動状況 (円/d)
年度 |
四半期 |
通常補てん |
異常補てん |
18 |
3 |
1,600 |
0 |
4 |
4,640 |
1,860 |
19 |
1 |
4,371 |
3,829 |
2 |
4,553 |
3,097 |
3 |
5,550 |
0 |
4 |
7,800 |
0 |
20 |
1 |
8,983 |
1,517 |
2 |
4,002 |
3,398 |
3 |
5,252 |
2,398 |
22 |
4 |
3,250 |
0 |
23 |
1 |
3,734 |
966 |
2 |
3,835 |
865 |
3 |
2,100 |
0 |
24 |
2 |
発動見込み |
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配合飼料価格補てん制度は,畜産経営の根幹
である飼料の大部分を占める配合飼料の価格変
動に伴う損失を軽減するため設けられた制度で
す。
長引く不況下のもとで消費者の低価格志向や
生産資材の値上げにより,畜産経営にとっては
大変厳しい状況が続いてますが,配合飼料価格
差補てん制度や各種畜産業振興事業を活用し,
経営の安定確保に努めるこ
とが重要です。
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