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     平成23年度 > 3月号 : 養鶏農場における害虫発生対策について


養鶏農場における害虫発生対策について
県西農林事務所振興・環境室


  近年、養鶏飼養羽数の大規模化や都市住民と の混住化などにより、害虫発生に対する苦情が寄 せられています。
 特に、採卵鶏経営で見られる高床式鶏舎は床下 に鶏糞を堆積させることから、害虫の発生源となり やすい構造といえます。
 県西農林事務所振興・環境室では、県民セン ター、県西家畜保健衛生所及び管轄市と連携し、 害虫発生予防と畜産飼養環境の改善指導に努め てきました。
 害虫の発生が見られなくなった養鶏場の事例を ご紹介します。



 状況と対応策

   10万羽以上の採卵鶏を高床式鶏舎で飼養して おり、間口が広い鶏舎構造であること、換気機器 の能力が不足していること、さらに鶏糞への直接 送風がなされていないこと等により鶏舎1階部分 に堆積している鶏糞が乾燥しにくい状況でした。
 害虫発生予防の対策として、羽化防止剤や成虫 への定期的な殺虫剤散布をしていましたが、発生 を完全には食い止めることはできませんでした。 さらに、殺虫剤等の散布により鶏舎内湿度が上昇 し、鶏糞水分量も高くなるなど逆効果になっていま した。
 高水分の鶏糞は搬出作業を困難にし、さらに発 酵処理施設の能力以上の負荷をかけ、堆肥化が 進みにくくなっていました。
 そこで、高水分で堆積している鶏糞が、産卵場 所になるなど害虫発生の最大原因であると考え通常に処理されていればもともと所有している発 酵処理施設の規模には余裕があったため、隣接す る別鶏舎を閉鎖し飼養羽数が減ったのを契機に、 もどし堆肥で鶏糞の水分を調整しながら、一時に 原因の鶏舎から全ての高水分鶏糞を搬出し、発酵 処理施設へ投入しました。
 短期間のサイクルで定期的に鶏糞を搬出・清 掃・堆肥化し、鶏舎内を乾燥させていくシステムに 変更しました。、



 改善点

  以上のような対応をとったことで、いくつかの改 善点が見られました。
 ・前述のシステムへ変更以後、害虫の発生が劇 的に減りハエが全く見られなくなった。
 ・殺虫剤等の使用量が減ったことで、薬品代を 大幅に減らすことができた。
 ・鶏舎内の湿度や臭気が減少し、鶏舎内環境が 改善された。
 ・鶏舎内環境の改善により、薬剤散布による従 業員の体調悪化が無くなった。

 今後とも引き続き、適切な除糞・清掃の実施、殺 虫剤等の適切な使用、堆肥化の 促進などにより、害虫発 生を予防することと しています。