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     平成23年度 > 3月号 : 新規繁殖和牛経営入門講座を開催しました


新規繁殖和牛経営入門講座を開催しました
県北農林事務所常陸大宮地域農業改良普及センター 小舩恵二


 茨城県で初めて、新たに繁殖和牛経営を志向す る方を対象にした「新規繁殖和牛経営入門講座」 を、(社)茨城県畜産協会、常陸大宮地域農業改良 普及センター、常陸大宮農業改良推進協議会が主 催して開催しました。
 県内の繁殖和牛飼養農家は高齢化や後継者不 足で減少しており、肉用子牛(黒毛和種)上場頭 数も平成22年/平成元年比で約60%となっていま す。常陸牛の生産基盤を維持・拡大するには更な る規模拡大の推進とともに、新規の繁殖和牛農家 の発掘と育成・確保が必要です。
 そこで、既にこのような取組みで実績を挙げてい る岡山県の事例を参考に、本県でも入門講座を大 子町で計画しました。
 キャッチフレーズは、「田舎でカウライフ」、 「やってみっぺ。常陸牛inいばらき」とし、参加費 は無料としました。
 募集は、申込書を印刷したパンフレットを県内 全市町村、JA、関係する教育機関等に送付しまし た。また、報 道機関にも 記事掲載を お願いしまし た。同時に、 インターネッ トでも、畜産 協会始め県 畜連、県農 業総合セン ター、常陸大 宮市、大子町 等のホーム ページでも募集が行われました。
 どれだけの応募があるか大変不安でしたが、県 内各地から6名の応募がありました。受講生の内 訳は男性4名、女性2名で、20代4名、40代と60代 が各1名です。受講生は現在、酪農家や大学生、新 規就農者、農業法人従業員、農家等ですが、新規 就農や耕作放棄地対策、経営の柱にしたい等動 機は様々でした。




開講式及び第1回基礎講座

 開講式は、平成23年7月27日(水)に肉用牛研 究所(常陸大宮市)で行われました。受講生と実習 受入農家4名との顔合わせと実習日程等を決めま した。
 基礎講座は肉用牛研究所職員より、座学で「牛 に関する基礎知識」、「基本的な飼養管理」を学 び、飼養現場を回りながら種雄牛等を見学しま した。


開校式


基礎講座


第2回、第3回牧場体験実習

 受入農家は大子町畜産組合の4戸にお願いしま した。繁殖和牛10頭から33頭の規模で、それぞれ 特徴のある経営を行っています。
 受講生は、8月から1月の間で2戸の受入農家に 各1日お世話になり、経営者から飼養管理や飼料 生産の指導を受けながら実習を行いました。




牧場体験実習風景


第4回講座及び閉講式

 平成24年1月16日(月)の大子家畜市場せり日 に開催しました。午前の部は、せり場で選奨牛審査 の様子や「和牛の見方」を勉強しました。
 午後から会場を道の駅だいご研修室に移して、 閉講式が行われました。
 出席した3名の受講生に畜産協会から修了証が 手渡された後、受講生と受入農家との意見交換が ありました。将来就農した時に、講座を修了した証 である修了証が、本人たちの励みになれば幸い です。


第4回講座


受入農家と受講生


受講生の感想より

・ 実習が2戸で2日では時間不足でした。
・ セリ見学は最終的に目指す場所なので、 益々意欲が沸いてきた。
・ セリ場での牛の見方が勉強になった。
・ 入門講座の機会を増やし、1人でも多くの 新規経営者を育成して欲しい。
・ やる気のある人材への手厚い支援を希望し ます。
・ 農家と知り合えたので、今後もお付き合い をお願いしたい。


受入農家の感想より

・ 1泊2日位にしないと、24時間の繁殖経営 はわからないと思う。
・ 夏場だったので、作業があって良かった。
・ 繁忙期の手伝いになりがちなので、農閑期 の方が教えられると思う。
・ 熱心な受講生のやる気に、逆に自分が研修 した感じで、もう一分張りする気になった。


終わりに

 7月から1月という長期に渡る講座を開催して、 色々な課題が見えてきました。
 牧場実習が、台風の影響や農家の都合で予定日 に開催できなかったため、傷害保険の対象になら なかったことです。幸い事故も無く終わったので問 題にはなりませんでしたが、課題として残りました。
 また、日帰り実習のため飼養の基本である朝晩の エサやりが研修できない、ということもありました。
 開催日が平日のため、現在職を持つ希望者が参 加しづらいのでは、という意見も頂きました。
 受講者は少なかったものの、やる気のある方を 対象に本講座を開催することで、何の手当てもし なければ減る一方の生産農家の確保育成対策の ひとつとなることがわかり、当初の目標は達成され ました。
 次年度以降は、常陸大宮地域と限定せずに茨城 県全域の課題と捉えて、受講希望者や受入農家の ニーズの意見を取り入れながらカリキュラムを組ん でいきたいと思います。
 最後に、ご協力いただいた受入農家の皆様と関 係機関の皆様に、紙面をお借りしまして御礼申し上 げます。