平成23年4月の家畜伝染病予防法の改正に伴
い、家畜の所有者が日常の飼養衛生管理を行う上
で遵守すべき基準である「飼養衛生管理基準」が
大きく見直され10月1日から施行されましたので、そ
の概要について紹介します。
新しい飼養衛生管理基準のポイント
T 家畜防疫に関する最新情報の把握等
家畜保健衛生所等から提供される家畜防疫に
関する情報を積極的に把握しましょう。
U 衛生管理区域の設定
農場敷地を、消毒等を徹底するエリア「衛生管
理区域」とそれ以外の区域にロープやプランターな
どで、両区域の境界が分かるようにしましょう。
V 衛生管理区域への病原体の持込み防止
衛生管理区域の出入口の数を必要最小限とし、
必要のない者を衛生管理区域に立ち入らせないよ
うにするとともに、出入口付近に看板などを設置し
ましょう。
衛生管理区域及び畜舎の出入口付近に消毒機
器を設置し、衛生管理区域及び畜舎に出入りする
際に車両の消毒、手指の洗浄・消毒及び靴の消毒
を行いましょう。
さらに、他の畜産関係施設等で使用した物品等
を持ち込む場合には、洗浄又は消毒をしましょう。
W 野生動物等からの病原体の感染防止
畜舎の給餌設備及び給水設備及び飼料の保管
場所にねずみ、野鳥等の等の排せつ物等が混入し
ないようにしましょう。
飲用に適した水を給与しましょう。
特に、家きん等においては、防鳥ネット等によ
り野鳥等が家きん舎への侵入するのを防ぎましょ
う。
X 衛生管理区域の衛生状態の確保
畜舎その他の衛生管理区域内にある施設及び
器具の清掃・消毒を定期的に行いましょう。
家畜の健康に悪影響を及ぼすような過密な状態
で家畜を飼養しないようにしましょう。
Y 家畜の健康観察と異状が確認された場合の
対処
飼養する家畜が特定症状を呈していることを発
見したときは、直ちに家畜保健衛生所に通報しな
ければなりません。
口蹄疫に関する特定症状(牛、水牛、鹿、めん羊、
山羊、豚及びいのしし)
(1)-@39.0℃以上の発熱を示した家畜が、
-A泡沫性流
りゅうぜん
涎(よだれ)、跛はこう行、起立不能、泌乳量の大幅な低下
又は停止のいずれかを
呈し、
-B口腔内等に水疱、びらん、潰瘍又は瘢痕を
呈している場合
(2)同一畜房内において、複数の家畜の口腔内等に
水疱等があること
(3)同一畜房内において、当日及び前日の2日間に半
数以上の哺乳畜が死亡すること
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高病原性に関する特定症状(鶏、あひる、うずら、き
じ、だちょう、ほろほろ鳥、七面鳥)
同一の舎内で、1日の死亡率が、当日から遡って
21日間における平均死亡率の2倍以上になった場合
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特定症状以外の異状で家畜の死亡率の急激な
上昇や同様の症状を呈している家畜の増加が確認
された場合には、直ちに獣医師の診療若しくは指
導又は家畜保健衛生所の指導を受け、監視伝染
病でないことが確認されるまで、農場から家畜の
出荷・移動を行わないようにし、監視伝染病である
ことが確認された場合には、家畜保健衛生所の指
導に従いましょう。
また、特定症状以外の異状が認められた場合に
も、速やかに獣医師の診療を受け、又は指導を求
めましょう。
Z 埋却等の準備
埋却の用に供する土地の確保をしましょう。
確保面積の目安
牛:5.0u/成牛1頭
豚:0.9u/肥育豚1頭
鶏:0.7u/成鶏100羽
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[ 感染ルート等の早期特定のための記録の作
成及び保管
次に掲げる事項に関する記録を作成し、1年間
以上保存しましょう。
@ 衛生管理区域に立ち入った者の氏名、住所、
所属、衛生管理区域への立入りの年月日、目的
過去一週間の海外渡航履歴の有無。
A 家畜の所有者及び従業員が海外に渡航した
場合には、その滞在期間及び国名
B 導入した家畜の種類、導入元、頭数、健康状
況及び導入日
C 出荷・移動した家畜の種類出荷・移動先、頭
数、健康状況及び出荷・移動日
D 飼養家畜の異状の有無、異状があった場合
には、症状、頭数及び月齢
\ 大規模農場における追加措置
大規模農場とは
成牛、水牛、馬 …………………………………………………200頭以上
育成牛、豚、いのしし、めん羊、山羊、鹿 ……………………3,000頭以上
鶏、うずら ………………………………………………………10万羽以上
あひる、きじ、だちょう、ほろほろ鳥、七面鳥 ………………… 1万羽以上
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農場ごとに、家畜保健衛生所と緊密に連絡を
行っている担当の獣医師又は診療施設を定め、定
期的に指導を受けるようにしましょう。
大規模所有者は、従業員が特定症状を確認した
場合に家畜保健衛生所へ、直ちに通報することを
規定したルールを作成し、全従業員に周知徹底し
ておきましょう。
飼養衛生管理基準は、家畜の所有者が最低限
守ってもらうべき事項を畜種毎にとりまとめたもの
です。本基準の遵守を徹底していただくことで、悪
性の家畜伝染病の発生を予防するのみならず、慢
性疾病の予防、育成率や増体の向上など、経営面
でも大きな効果が期待されます。また、「発生の予
防」は、地域ぐるみの対応がより効果を上げること
になります。是非、家畜保健衛生所等と連絡を密
にし、地域の畜産農家が連携して飼養衛生管理基
準の遵守に取り組んでいただきますよう、お願いい
たします。
また、不明な点があれば、お気軽に最寄りの家
畜保健衛生所へお問い合わせください。
問い合わせ先
県北家畜保健衛生所 029-225-3241
鹿行家畜保健衛生所 0291-33-6131
県南家畜保健衛生所 029-822-8518
県西家畜保健衛生所 0296-52-0345
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