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     平成23年度 > 11月号 : アカバネ病の近年の発生状況について


アカバネ病の近年の発生状況について
県北家畜保健衛生所 川西菜穂子


 アカバネ病はアカバネウイルスの感染により妊娠 牛に死流産や異常産子の娩出を引き起こし、多大 な経済的被害をもたらします。
 さらに近年、異常産だけでなく、生後感染によ る発症事例も多数報告されていますので、その発 生状況について報告します。



アカバネ病とは?

@原因:ヌカカ等の吸血昆虫によって媒介されるア カバネウイルスの感染
A流行時期と症状:ヌカカの発生する7月〜10月に 妊娠牛がアカバネウイルスに感染すると、夏から 秋にかけて死流産が発生し、冬から翌春には子 牛の奇形などがみられます。また、生後感染例 では、知覚過敏、後駆麻痺、起立不能などの神 経症状がみられます。治療法はなく予後不良と 判断される事例が多くみられるようです。



近年の発生状況

 アカバネ病については、毎年全国的なサーベイランス調査が行われており、本県でも年4回(6、 8、9、11月)、定期的に子牛の追跡調査を行い県 内へのウイルスの侵入を監視しています。県内では 平成10年度を最後に流行は確認されておらず、今 年度も9月末現在、本病の流行は確認されていま せん。
 アカバネ病(異常産)は例年、九州地方や西日本 といった温暖な地域で流行がみられますが、平成 22年度は、これまであまり流行のなかった北海道 や東北地方(岩手県、宮城県、山形県)においても 発生が確認されました。
 また、今年度は8月下旬以降、島根県でアカバ ネ病(生後感染例)が多数確認されています。本病 (生後感染例)については、平成18年から20年に かけて西日本で多く発生しており、今年度も同様の 流行となるおそれがあると考えられています。
 なお、島根県での発生状況は別表のとおり、品 種、性別、月齢に関係なく発症しています。



別表 平成23 年度の島根県におけるアカバネウイルスの生後感染による脳脊髄炎の発生
市町村農家品種 月齢発症月日症状
1ホルスタイン58/28知覚過敏,沈うつ,起立不能 等
  ホルスタイン109/5 
  ホルスタイン89/12 
2F158/29後躯麻痺,起立不能 等
3黒毛和牛69/1起立不能 等
4ホルスタイン179/12 
  ホルスタイン139/19 
5ホルスタイン169/5 
  ホルスタイン179/13 
 6ホルスタイン199/13 
 16ホルスタイン269/21 
  ホルスタイン19/21 
18ホルスタイン559/21 
8ホルスタイン139/18 
 11ホルスタイン119/15 
 17黒毛和牛79/21 
9ホルスタイン759/19 
7ホルスタイン19/14 
  ホルスタイン409/20 
  ホルスタイン339/20 
 12ホルスタイン329/20 
 13ホルスタイン689/20 
 14ホルスタイン229/20 
 15黒毛和牛69/20 
10黒毛和牛69/19 
( 島根県農林水産部食料安全推進課による)


対策

ワクチン接種
 アカバネ病は牛群の抗体保有率が低くなると、発生の危険性が高くなります。そのため乳用牛や肉用繁殖 用雌牛には、毎年、蚊が発生する前(4〜6月)にワクチン接種し、感染を予防します。

 アカバネ病生ワクチンの年1回接種、異常産3種混合(アカバネ病、アイノウイルス感染症、チュウザン 病、)不活化ワクチンの年2回接種(4週間隔)畜舎周囲の環境を整備し、殺虫剤を散布するなどヌカカ等 の吸血昆虫の防除対策が重要です。


飼養牛の観察を毎日行い、異常産(流産,死産,体型異常などの奇形子牛の娩出)や神経症状を示す牛を発見したときは, すぐに獣医師または家畜保健衛生所へ連絡をお願いします。

県北家畜保健衛生所:029−225−3241
鹿行家畜保健衛生所:0291−33−6131
県南家畜保健衛生所:029−822−8518
県西家畜保健衛生所:0296−52−0345