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     平成23年度 > 7月号 : 配合飼料価格差補てん制度


配合飼料価格差補てん制度
(社)茨城県配合飼料価格安定基金協会


  配合飼料は、その原料の殆どを海外からの輸入に依存しており、そのため国際的な飼料穀物の需給状況等により価格が変動します。配合飼料価格の変動によって生ずる畜産経営者の損失を緩和するため配合飼料価格差補てん制度があります。



 配合飼料価格に影響を及ぼす要因

  配合飼料価格は、飼料穀物の国際相場、海上運賃や為替レート等の動向により大きく影響します。なかでも配合飼料原料の約50%を占めるトウモロコシは、輸入の90%をアメリカに依存している状況で、作柄の豊凶、バイオ燃料需要、新興国の需要や投機マネーの流入等により価格が変動します。
  また、海上運賃は船舶需要や原油価格等によって左右され、為替レートも国際的な経済状況により変動し、これらの要因等により配合飼料価格が決定されることとなります。


 価格差補てん制度の仕組み

  価格差補てん制度は、通常価格差補てんと異常価格差補てんの2本立てで構成されています。積立により補てん準備財産を造成し、配合飼料価格高騰時に契約畜産農家(加入者)に補てん金を交付することとなりますが、通常補てん積立金は加入者と契約配合飼料製造業者、異常補てん積立金は国の補助金と契約配合飼料製造業者がそれぞれ拠出し積み立てています。


 補てん金の発動要件

  通常価格差補てん金は、当該4半期の配合飼料価格が直前1年間の平均価格を上回ったときに発動され、異常価格差補てん金は通常価格差補てん金の発動があり、かつ輸入原料価格(6品目)が直前1年間の平均輸入価格に115%を乗じた額を上回った時に発動されます。*6品目の種類と配合飼料に占める割合  とうもろこし(約50%)、大豆油かす(約15%)、  コウリャン(約6%)、大麦(約3.5%)、ふすま(約3.5%)、  小麦(約0.5%)


 畜産物生産費に占める飼料費の割合

  畜産物生産費に占める飼料費の割合は畜種によって異なりますが概ね30%〜 60%を占め、特に肥育豚生産費では60%以上の割合となっています。肥育豚及び養鶏経営においては、給与飼料のほぼ全量が配合飼料のため、配合飼料の価格変動は経営を左右する大きな要因となります。


 補てん金発動状況

  配合飼料価格は平成18 年秋以降、原料であるトウモロコシ相場がバイオエタノール需要等により急騰し、平成20 年度第4四半期まで連続して補てんの発動がありましたが、その後の配合飼料価格は高値ではあるが安定的に推移したため、補てんの発動はなくなりました。
  しかし、平成22 年夏以降とうもろこし相場が再び高騰したため、第4四半期には9期ぶりに補てんの発動があり、現在もとうもろこし相場は高値で推移している状況です。
  そのため、配合飼料価格は平成22 年第4半期から3期連続で値上りし、昨年末に比べてトン当たり約7,000 円程高くなっており、補てん発動はあるものの、畜産経営者の実質負担額はトン当たり約2,300 円増加しています。 以下に最近の補てん発動状況を示してあります。



補てん金発動状況               (円/d)
* 23 年度第2四半期の異常補てん額は未定



  配合飼料価格補てん制度は、畜産経営の根幹である飼料の大部分を占める配合飼料の価格変動に伴う損失を軽減するため設けられた制度です。
  長引く不況下のもとで消費者の低価格志向や生産資材の値上げにより、畜産経営にとっては大変厳しい状況が続いてますが、配合飼料価格差補てん制度や各種畜産業振興事業を活用し、経営の安定確保に努めることが重要です。