平成23年度 平成22年度 平成21年度 平成20年度 平成19年度 平成18年度 平成17年度〜

     平成22年度 >  3月号 : 乳牛への玄米給与が産乳性等に及ぼす影響


乳牛への玄米給与が産乳性等に及ぼす影響
茨城県畜産センター酪農研究室 深 沢 芳 隆


  はじめに

  畜産農家の経営安定を図る上で飼料自給率の向上は最も重要な課題です。自給飼料の中でも水田で安定的に生産できる飼料米は近年各地で取り組みが進み、今後もその栽培面積の増加が想定されます。飼料米はその組成の大部分がデンプンであることから、濃厚飼料としての位置づけができ、配合飼料の代替としての利用も期待されます。しかし泌乳牛への飼料米の給与試験の例は少なく、現時点で酪農家の方が飼料米を積極的に利用できる環境にあるとはいえません。ここでは乳牛への飼料米給与技術の確立に資するため、当センターで実施した,泌乳牛に配合飼料の一部を玄米で代替給与して得られた試験結果について紹介します。



  試験方法

  畜産センター乳牛舎でホルスタイン種泌乳牛8頭(初産7頭、2産1頭、試験開始時点の平均分娩後日数218±34日、同平均体重576±23kg)を用い、2010年6月〜7月にかけて試験を実施しました。試験は,牛の個体差の影響を相殺するため,予備期9日間、試験期5日間の計14日間を1期とし、2期2飼料処理区に4頭ずつ割り付けるクロスオーバー法(反転試験法)で行いました。
  本試験における飼料給与は,混合飼料(トウモロコシサイレージ、配合飼料、アルファルファヘイキューブ、ビートパルプ)と配合飼料(対照区)または玄米(5mmのメッシュで粉砕,粒度分布は図のとおり)
  (試験区)、エン麦乾草、アルファルファ乾草を分離給与の形で行いました。試験区における玄米の給与は飼料全体に含まれる配合飼料の50%を代替する形で実施し,米への代替で減少する蛋白含量は乾草全体におけるアルファルファ乾草の割合を高めることで補正,各区の栄養価が同程度となるように給与量を設定しました(表1)。


表1 対照区と試験区の給与飼料構成(原物中%)



 乳量、乳成分は試験期間を通して調査、ルーメ ン液と血液の採取は各試験期の最終日の朝の飼料 給与前とその4時間後に実施しました。




  試験結果

  乳量は対照区の22.1±2.8kg/日に対して試験区は21.6±2.0kg/日であり,区間に差はありませんでした。また乳成分(脂肪、タンパク質、無脂固形分、尿素窒素、体細胞数)、ルーメン液のpH、血液性状(ヘマトクリット値、グルコース、尿素窒素、総蛋白、カルシウム、リン、遊離脂肪酸)も区間で大差ありませんでした(表2,表3)。またデータは省略しますが,給与飼料全体の乾物消化率や糞,尿の排泄量も区間に有意差は認められませんでした。



  まとめ

  以上のように,今年度の試験では,乳量22kg/日程度の泌乳後期の牛で配合飼料の50%(4kg/頭/日)を米で代替しても産乳性等への影響は認められませんでした。この結果を踏まえ,次年度は,より高乳量の条件下で,米への代替率をさらに高めた試験を実施することを予定しています。




図 供試粉砕玄米の粒度分布





表2 対照区と試験区の産乳成績





表3 対照区と試験区のルーメン液・血液性状