県南地域は、その多くが排水基準が厳しい霞ヶ
浦流域内にあり、水質保全の面から家畜ふん尿の
農地での利用については県条例により直接還元が
禁止されるなど制限があります。
たい肥の生産についても、耕種農家が利用しや
すいように、高品質で取り扱いが容易であること
や、広域流通に適したものであることが地域内の
畜産農 このような中、石岡市にある「山崎堆肥
利用組合」(藤井哲夫組合長)では、平成21年度
家畜排せつ物処理技術実証モデル事業により豚ぷ
ん堆肥のペレット化施設を整備しましたので、そ
の状況を紹介します。
1 処理施設の概要
山崎堆肥利用組合では、堆肥舎で豚ぷんともみ
がらを混合し、切り返しにより堆肥化していまし
たが、畜産農家が多く、大きな耕種農家が少ない
土地柄もあり、たい肥の需要は思うように伸びま
せんでした。
そこで耕種農家が使い易く、広域流通にも適し
ているペレット
たい肥に着目し、
ペレット化施設
の整備を実現し
ました。
処理施設の概
要は表− 1 のと
おりです。
2 ペレットの製造過程
豚舎から搬出された豚ぷんは、1日1回、密閉
型コンポに投入され、約16日間、攪拌と発酵が行
われます。その後、コンポから搬出されたたい肥
は、ふるいにかけられ、ペレットマシンに投入さ
れます。導入されたペレットマシンは、1時間に
約300kgのペレットを製造する能力があります。
最後にペレットを乾燥させ製品となります。
3 生産ペレットの特徴
この施設で生産されるペレットたい肥は、水分
が約15%と一般的な密閉型処理施設で生産され
た豚ぷん堆肥に比べ、やや低いのが特徴です。ま
た、主要成分は、窒素3.7%、リン酸3.1%、カリ
2.4%、C/N比9となっています。
耕種農家からは、「たい肥は使いたいが散布す
る量が多く労力が大変だ。」、「散布機械を持って
いない。」といった声をよく聞きます。
ペレットたい肥は、圧縮されているため散布量
が少なくて済む上に、耕種農家の多くが所有して
いるブロードキャスタで散布できるので、上記の
ような声などにも応えられます。
4 ペレット堆肥流通に向けて
組合では、広域流通に向けてオリジナルのビ
ニール袋による袋詰めを開始しました。また、本
格的な流通に向けて、耕種農家はもちろん、家庭
菜園や週末ファーマーなど様々な場面でペレット
たい肥を使用してもらおうと考えており、希望が
あればサンプルの提供も積極的に行っているとの
ことです。
これらの取り組みがたい肥流通の新たなモデル
となるよう期待しています。
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