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     平成22年度 > 1月号 : ランドレース種の系統造成が完了しました


ランドレース種の系統造成が完了しました
茨城県畜産センター養豚研究所 吉 田 繁 樹


  平成16年度に開始したランドレース種の系統 造成が今年度生産の第6世代の育成豚から系統 認定候補豚を選抜することにより完了しましたの で、その概要について報告致します。
  なお、この系統認定候補豚が、平成23年7月 の登録審議会((社)日本養豚協会に設置)で審 議を受けたのち、系統豚「ローズL−3」として 認定され、県内に広く供給できる予定となってい ます。



  系統造成と系統豚とは

  基礎豚として構成した集団を1年1世代で交 配・生産・選抜を繰り返し、目標となる形質の能 力を向上させるとともに血縁的に繋がりをもった 集団を構成していきます。最終的には能力が高く、 斉一性がある豚「系統豚」の集団が出来上がりま す。
  一方、系統豚は閉鎖的に群を維持していくため に世代を重ねる毎に近交係数が高くなり、そのた めの弊害(能力の低下)が起こると言われていま す。
  今回の系統造成は、ランドレース種の「ローズ L−2」の後継系統豚を造成することを目的とし て実施してきました。



  今回の系統造成の特徴

1 産肉能力及び繁殖形質について
  改良形質は、産肉能力として一日平均増体重(D G)、背脂肪層の厚さ(BF)、繁殖形質として一 腹平均産子数(LS)を設定し、BLUP法によ り環境の効果を排除したより正確な育種価を推定 し、選抜を実施しました。
  改良形質を含む主要な形質の成績は、表のとお りです。産肉形質、繁殖形質ともに高い能力に改 良することが出来ました。



2 遺伝子情報を活用した選抜について
  この他、今回の系統造成では、豚ストレス症候 群(PSS)によるムレ肉の発生への関与が分かっ ている豚リアノジンレセプター遺伝子(RYR1) の変異型を排除しました。また、抗病性の改良と して、豚インフルエンザの抵抗性に関与が考えら れている遺伝子(Mx1)の欠 損型については、 第1世代では雄の90%、雌の69%がホモ又はヘ テロで保有していましたが第6世代までに全て排 除しました。



3 肢蹄の強化について
  カナダ豚改良センター方式によるスコアリング をおこない、一定の点に満たない個体は除外する 方法で選抜を実施して肢蹄の強化を進めました。 最終世代では、正しく立ち、歩様も良く、問題の ある特徴は見られなくなりました。肢蹄の問題に よる種豚の淘汰率を下げることが期待できます。



4 体型について
  最終的には、各世代とも体型により選抜をおこ ないました。今回のランドレースの特徴としては、体の大きさや伸びは普通ですが、体上線、体下線 とも滑らかで背幅は広く、胸や腹、下けんも深く充 実しており、バランスの良い体型となりました。 乳器・生殖器についても良好です。





  「ローズL−3」の配布スケジュール

  平成23年8月頃から育成豚の配布を開始しま す。
 導入希望などのお問い合わせは、茨城県畜産セ ンター養豚研究所まで
 TEL 029−892−2903
 FAX 029−892−3384



産子数が多く、子豚は揃っています


第6世代育成豚(♀)


第6世代育成豚(♂)