平成16年度に開始したランドレース種の系統
造成が今年度生産の第6世代の育成豚から系統
認定候補豚を選抜することにより完了しましたの
で、その概要について報告致します。
なお、この系統認定候補豚が、平成23年7月
の登録審議会((社)日本養豚協会に設置)で審
議を受けたのち、系統豚「ローズL−3」として
認定され、県内に広く供給できる予定となってい
ます。
系統造成と系統豚とは
基礎豚として構成した集団を1年1世代で交
配・生産・選抜を繰り返し、目標となる形質の能
力を向上させるとともに血縁的に繋がりをもった
集団を構成していきます。最終的には能力が高く、
斉一性がある豚「系統豚」の集団が出来上がりま
す。
一方、系統豚は閉鎖的に群を維持していくため
に世代を重ねる毎に近交係数が高くなり、そのた
めの弊害(能力の低下)が起こると言われていま
す。
今回の系統造成は、ランドレース種の「ローズ
L−2」の後継系統豚を造成することを目的とし
て実施してきました。
今回の系統造成の特徴
1 産肉能力及び繁殖形質について
改良形質は、産肉能力として一日平均増体重(D
G)、背脂肪層の厚さ(BF)、繁殖形質として一
腹平均産子数(LS)を設定し、BLUP法によ
り環境の効果を排除したより正確な育種価を推定
し、選抜を実施しました。
改良形質を含む主要な形質の成績は、表のとお
りです。産肉形質、繁殖形質ともに高い能力に改
良することが出来ました。
2 遺伝子情報を活用した選抜について
この他、今回の系統造成では、豚ストレス症候
群(PSS)によるムレ肉の発生への関与が分かっ
ている豚リアノジンレセプター遺伝子(RYR1)
の変異型を排除しました。また、抗病性の改良と
して、豚インフルエンザの抵抗性に関与が考えら
れている遺伝子(Mx1)の欠 損型については、
第1世代では雄の90%、雌の69%がホモ又はヘ
テロで保有していましたが第6世代までに全て排
除しました。
3 肢蹄の強化について
カナダ豚改良センター方式によるスコアリング
をおこない、一定の点に満たない個体は除外する
方法で選抜を実施して肢蹄の強化を進めました。
最終世代では、正しく立ち、歩様も良く、問題の
ある特徴は見られなくなりました。肢蹄の問題に
よる種豚の淘汰率を下げることが期待できます。
4 体型について
最終的には、各世代とも体型により選抜をおこ
ないました。今回のランドレースの特徴としては、体の大きさや伸びは普通ですが、体上線、体下線
とも滑らかで背幅は広く、胸や腹、下けんも深く充
実しており、バランスの良い体型となりました。
乳器・生殖器についても良好です。
「ローズL−3」の配布スケジュール
平成23年8月頃から育成豚の配布を開始しま
す。
導入希望などのお問い合わせは、茨城県畜産セ
ンター養豚研究所まで
TEL 029−892−2903
FAX 029−892−3384
産子数が多く、子豚は揃っています
第6世代育成豚(♀)
第6世代育成豚(♂)
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