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     平成22年度 > 7月号 : 巨枢苳_場における稲WCS,飼料用米の先駆的取り組み経過


巨枢苳_場における稲WCS,飼料用米の先駆的取り組み経過
茨城県県北農林事務所 振興・環境室 矢口 勝美


  本年度から,水田を活用して稲WCSや飼料用米などを生産し自給率向上等を図る戸別所得補償モデル対策が,開始されております。畜産部門で先駆的にその取り組みを行って,実績を積み重ね普及に貢献してきた事例を紹介します。
 常陸大宮市にある農業生産法人巨枢苳_場は,乳牛,肉牛計6千頭余を飼養する県内有数の大規模農場です。廣富社長のもと,国際情勢の影響を受けやすい海外輸入飼料依存型から脱却し,耕畜連携により国産飼料の自給率向上を目指し,積極的に県内耕種部門の全農や農協,コントラクター等に働きかけて稲WCS等を入手し,家畜に給与してきました。



 1 稲WCSの取り組み

 まだ畜産農家での利用がほとんどなかった平成13年に,全農茨城県本部と連携して,県南の稲敷市産稲WCSを肉牛にTMR形態で給与開始しました。(表1,写真1)
  その年の12月から,茨城県畜産センター肉用牛研究所とともに交雑種への給与効果を試験し,稲WCS給与区は増体,肉質とも良好な成果を得て(表2)研究報告等で広報し,その後の普及に貢献しました。



写真1-肉牛への稲WCS給与


表1 稲WCS入手経過
                                                                                                                      単位ha
 注:H22は,入手契約推進中なので見込みを計上
表2 肥育前期(9〜14ヶ月令)に稲WCSを与えた交雑種枝肉の格付け
                                                                                                              単位ha
 注:@生後28ヶ月令でと畜。Aab間に有意差有り(P<0.05)
      B全量稲WCS区は稲WCSを6.8kg/日頭給与。
      C茨城畜セ研報37号「交雑種肥育牛への稲発酵飼料給与調査」から抜粋



 2 飼料用米の取り組み

  飼料用米の組織的継続的利用を図るために,平成20年度に地元耕種部門の汲ンどりサポート等と連携して元気アップチャレンジ事業を実施しました。その後,表3のとおり年々利用が拡大しています。元気アップチャレンジ事業で設置した玄米粉砕機(写真2,事業費3,379千円)で粉砕し,主にトウモロコシの代替として原物で4kgほど搾乳牛にTMR形態で給与してきております。
  飼料用米給与牛と非給与牛で乳量,乳成分は従前と比べ特に変動は見られていませんが,味については,平成21年1~2月に3週間飼料用米を給与した牛乳(常時120頭以上)と,非給与牛乳(常時1,000頭以上)を給与3週目に農場関係者53人で飲み比べた結果,全体集計で味がさっぱりして飲みやすいとの意見が多く(32人,60.4%)を占めました。今後の研究機関の解明に期待するところです。



写真2−玄米粉砕機



写真3-乳牛への飼料用米給与


表3 飼料用米入手経過
                                                                           単位ha

 注:H22は,入手契約推進中なので見込みを計上



 3 今後について

  今までの経験から稲WCS,飼料用米とも,夏の暑熱期でも嗜好性がよく,前述のように稲WCSは自ら試験して肉質面でも効果が認められ,また飼料用米給与牛乳は場内調査で多くの意見がさっぱりして飲みやすいとのことなので,今後一層利用を拡大する方針です。
  また現在推進中ですが,平成22年度の耕種農家との利用契約は,対前年比で稲WCSは約2培の90ha以上,飼料用米は3倍以上の35ha以上と大幅な増加が見込まれております。(表1,表3)
  さらに飼料用米の肉牛への利用や,稲WCSの乳牛への利用も研究機関の成果を見ながら検討していく考えです。
  巨枢苳_場は,パートも含め常時120人ほどが働いており,地域産業としても重要となっています。廣富社長は,戸別所得補償制度が一層充実し,水田農業と畜産が連携して不作付水田等での飼料用米等飼料作物の作付増とコスト割れしない価格での流通が拡大し,安全安心な自給飼料利用による日本型畜産が一層発展するよう期待しているとのことでした。