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     平成22年度 > 5月号 : 豚尿由来の液状コンポストを利用した飼料用イネ栽培について(中間結果)


豚尿由来の液状コンポストを利用した飼料用イネ栽培について(中間結果)
畜産センター 環境保全研究室 須藤 立




 1 はじめに

  近年,食の多様化などから,米の消費が減少し,生産調整の拡大がなされている中で,飼料用イネ生産は,食用米生産に替わり水田の有効利用や自給飼料基盤の拡大という点で注目されています。一方,畜産経営における家畜ふん尿は,多くは,たい肥化として利用されていますが,利用にあたっては,環境負荷を考慮した耕畜連携が求められています。
  今回,家畜ふん尿のうち液状物について,施肥量,施肥方法など不明な点が多く,流通量が限られている液状コンポストを利用した飼料用イネ栽培試験の結果について一部紹介します。



 2 液状コンポストとは?

  畜産環境大辞典では,「積極的な混合攪拌によって好気発酵させ臭気がなくなり圃場に施用しても作物の発芽障害などになる有害物質がなくなっており,安全な肥料として利用できるように調整された液状取扱いの家畜糞尿」と定義されています。



 3 ポット栽培試験

  今回の試験では,飼料用イネ栽培において,窒素吸収量や生育状況に着目して,効果的な液状コンポストの検討を行いました。

  1)供試液状コンポスト
      養豚農家生産液状コンポスト(A,B,C)
  2)供試品種
      飼料用イネ(品種:ホシアオバ)
  3)処理設定
    (1)元肥のみ施用区(元肥のみ区)
    (2)元肥+移植後30日追肥区(追肥30日区)
    (3)元肥+移植後60日追肥区(追肥60日区)

各区ともに以下の窒素量となる処理を設けた。
    @化成肥料N10kg,
    A液状コンポストN10kg,
    B液状コンポストN20kg(各処理とも3反復)

  4)方法
 幼苗をポットに移植し,移植後0日,30日,60日に窒素肥料として塩化アンモニウムまたは,液状コンポストを施肥した。リン,カリウムは定量施肥しました。

  5)結果
    (1)刈取り期における穂数,桿長,穂長
      追肥30日区,追肥60日区で化成肥料と比べて大きな差がなく,肥料として効果がありました。(表1)。






    (2)施肥時期の違いによる草丈の経時的変化
      元肥のみ区と追肥60 日区で移植後1ヶ月後から追 肥30 日区と生育に差がありましたが、
      刈取り期では、追肥30 日区と追肥60 日区で生長(草丈)に大きな 差はありませんでした。

    (3)液状コンポスト由来の窒素利用率
      液状コンポスト中の窒素 飼料イネの窒素利用率は、 成肥料50%程度)と元肥 示しました(図3)。








 4 まとめ

 液状コンポストを利用した飼料用イネ栽培について 検討したところ、液状コンポストの施肥時期によって 窒素利用率が異なり、追肥(穂肥え)利用で肥料とし て効果的であることが示唆されました。
 液状コンポストの水田利用については、液状コンポ スト中の窒素形態による肥料効果の検討や、現地での 圃場試験を含め、環境負荷低減を考慮した散布方法や 施肥方法等について、今後とも検討をしていきたいと 考えています。