去る平成22年1月28日,県庁にて茨城県農村青少年プロジェクト発表会(主催:県農村青少年連絡協議会及び県)が開催されました。
 プロジェクトとは,農業後継者が自らの経営課題解決のために技術改良や実証試験へ取り組むもので、その発表会は各地域農業改良普及センター管内から1名が代表として選出され、毎年開催しています。 今年度、鬼怒4Hクラブに所属する加藤清文氏が優秀賞を受賞したので,その取組み技術の概要を紹介します。
  課題「肥育後期における肉用牛への
                稲WCS給与技術への挑戦」
                         鬼怒4Hクラブ所属 加藤清文氏
(背景とねらい)

  4年前の口蹄疫発生等で輸入わらの供給が不安定になり,肥育牛(交雑牛)の育成期に稲WCSを利用してきた。 さらに国産稲WCSを活用したいが飼料中のβカロテンによるビタミンAの肉質への影響が懸念されるため、県内では取組まれていない肥育後期での給与技術に挑戦した。
(実施内容)
(1) 稲WCS給与量と給与期間の設定

現在利用している稲WCSのβカロテン含量は以下のとおりであった。

  βカロテン1mgは体内でビタミンA400IUに転換されるので、稲WCSを1日1s給与するとビタミンAは乾物1sあたり20.3mg×400×0.445=3,616(IU)給与されることになる。   黒毛和種去勢牛の肥育後期(24ヶ月齢以降)のビタミンA給与量は5,000〜8,000IUといわれており、出荷前5ヶ月から1頭あたり稲WCS2〜3s/日なら給与可能であると考えた。
(2) 最初の挑戦
給与時期:出荷前5ヶ月間
供試牛:交雑種去勢牛3頭×3群
試験区:慣行区、3s給与区、5s給与区


  稲WCS給与区では、数字には表れなかったが、肉色が濃くなる、脂肪が硬くなる傾向がみられた。
  (3)2回目の挑戦
  1回目の結果を踏まえて稲WCS給与期間の短縮と給与量を見直した。
給与時期:出荷前3ヶ月間
供試牛:交雑種去勢牛3頭×3群
試験区:慣行区、2s給与区、3s給与区


  給与期間と給与量を見直した結果、肉質は慣行と同等になり、稲WCS給与区では瑕疵がでなかった。
(まとめ)
  2年間の結果から、当農場では肥育後期の稲WCS給与は、給与期間3ヶ月、稲WCS3s/日までであれば、肉質・枝肉重量ともに問題なく、瑕疵もでない結果が得られた。