はじめに
 自給飼料を生産する上で,適切な作付体系の選定は自給飼料生産量の拡大や効率化、ひいては酪農経営の安定化のためにも重要と思われます。加えて当センターでは飼料用トウモロコシ(以下「トウモロコシ」)を中心に新品種や有望な品種等の比較試験を
実施しており、特にトウモロコシは他の飼料作物と比べてもTDN(可消 化養分総量)収量が高い(サイレージのTDN:約65%(乾物中))ことから、自給飼料の安定生産を図る上でとても重要な草種です。
 今回は、トウモロコシを中心とした作付体系について述べるとともに、当センターで今年度実施した品種比較試験結果を紹介いたします。  

トウモロコシを中心とした作付体系
 一般に、トウモロコシは中生品種(RM(相対熟度)120−125)を5月中旬までに播種して、黄熟期に収穫します。イタリアンライグラスと組み合わせる場合、イタリアンライグラスを5月上旬までに収穫する必要があるため、極早生(ハナミワセなど)か早生(はたあおば、優春など)の品種を選定します。夏播エンバク(はえいぶきなどの極早生品種、8月下旬播種)と組み合わせる場合は、トウモロコシを8月中旬までに収穫しなければならないので、トウモロコシは4月中旬までに播種します。ソルゴー型ソルガムと組み合わせる場合は、トウモロコシの極早生品種(RM95−100)と混播し、8月上旬までにトウモロコシを主体とする1番草を収穫します。ソルガムの再生草は通常1〜2度霜にあてて乾物率を上昇させた後収穫します。
トウモロコシ品種選定試験結果の概要
 今年度は平成20年度に新たに発売された3品種を含むRM110(早生)から127(晩生)の22品種を供試しました。トウモロコシの結果を表に示しました。今年は例年に比べて若干低温傾向にありまし
たが、生育は概ね良好に推移しました。
 早生では33N29、LG3520、KD621、34B39、NS115、タカネスター、33Y45が、中生〜晩生ではDKC61−24、ZX4101、ZX7605、SH3815がそれぞれ多収でした。またTDN含量(栄養価)への影響の大きい雌穂重に着目すると、早生ではKD621、34B39、NS115、タカネスターが、中生〜晩生ではDKC61−24、ZX7605、ゆめそだちがそれぞれ大きい傾向にありました。

最後に
 より安定的、効率的な自給飼料生産のため、ここで述べた作付体系や試験結果を参考にしていただくとともに、本県の品種比較試験結果や近県の品種比較試験結果等を基に選定された県奨励品種を利用していただきたく存じます。加えて土壌診断に基づく適切な施肥の実施、雑草防除、適切なサイレージ調製により、高品質の粗飼料を生産していただければと存じます。  詳細な飼料作物や牧草の品種特性、栽培方法、作付体系などご質問等ございましたら